普及は、メーカー主導か小売業主導か
司会:
日本でもヨドバシカメラがメーカーにICタグ装着をさせて、運用を開始した。さらに米ウォルマートのような巨大量販店がICタグ装着をメーカーに伝えれば普及するかもしれない。それとも日本で普及するにはもっと別のシナリオが必要なのか。
傘:
家電の量販店が動けば変わるのではないか。メーカーにすると、一斉にではなくヨドバシカメラに卸す製品だけICタグ装着というのは困難。お客様にICタグを提案すると、そのタグの費用は誰が払ってくれるのかということを聞かれるが、物流会社がタグを負担していたのではビジネスが成り立たない。ICタグを普及させるためには、メーカー出荷段階から装着する必要がある。そのために、法整備や補助金制度を国に要請する必要があるかもしれない。
吉本氏:
メーカー主導で進むことはないと思う。家電製品協会でICタグを使う検討を行っているが、あくまでもリサイクル法に対処するためのもの。それよりも、万一欠陥製品が出てしまったら、○月△日××工場から出荷された製品のみ回収するということができる。クローズドから丁寧に始めてもいいのではないか。問題はバーコードの成功体験を引きずりすぎていること。RFIDとバーコードはまったく別のものだと考えてほしい。ただ、バーコードで30年かかったことをRFIDは10年でできると思う。RFIDはバーコードほど汎用的でないが、ロケーション管理、データの組み合わせに気をつければうまくいくのではないか。
沼田氏:
ウォルマートでは商品が無くなることがあり、それを防ぐためにICタグを利用したという裏の理由があったと思う。日本は今のバーコードで細かく管理できているし、欠品率も低い。普及させるにはRFIDにすると、もっとこれだけ効果があるということを打ち出さないとならない。タグもアメリカはただのラベルと考えるから、品質はよくない。日本は電子デバイスととらえている。日本のRFIDは品質がよく、読み取りが確実だし耐久性もある。とはいっても、アメリカのようにラベルとしてとらえるRFIDが一気に普及する可能性もないわけではない。
司会:
三菱化学物流は、製品でなく通い容器をRFIDで管理しているが、その方法にしたのはなぜか。
児崎氏:
今回報告の通い容器は高価であり、容器が返ってこないと充填・出荷という次の工程へ進めないという問題があった。RFIDを容器に装着すれば、流通過程においてどのような状態でどこにあるかがわかる。つまり見える化。この見える化により、充填計画が立てられ、充填員の待ちも無くなったし、電話で空容器を探しまくるムダも省けた。
司会:
製品工程の実態が見えてないという企業は日本に多いのか。日本の製造業はきちんとできているのではないか。
傘:
日本企業はちゃんとできていても、やり取りする海外企業ができていないという例が多い。IBMも海外の会社から部品を買うようになってから見えなくなったところがある。まずは日本の中で部分最適をし、そこから全体最適にもっていくしかないのでは。日本がICタグのグローバル化の中心になる、という覚悟がいるのかもしれない。
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