すべてを買う側に合わせることはない
M&Aにおける事業統合で留意すべき点はどこでしょうか。
統合作業の対象は、戦略、組織、制度、人事、業務プロセス、情報システムなど多岐に渡ります。そうした対象のどこを自社のやり方にするのか、どこを相手のやり方にするのか、どこを2本立てで以前のままにするのかを明確にしておくことが大切。すべて同じ論理で決めようとしたら勢力争いやイデオロギーの議論になってしまう。買収されたからといって、すべて買う側に合わせることもありません。会社によっても統合のポイント、タイミング、順番は異なります。それを見極めることが大切です。
会社によって、統合の順番は異なるということですが、一般的には何から統合すべきでしょうか。
最も重視するステークホルダーに対して、何を統合の姿として示すかによって異なります。2005年、IBMはパーソナルコンピューター事業を分離し、中国Lenovoと戦略提携しました。わずか4カ月で新会社を設立することができましたが、この提携で一番に取り組んだことがブランド統一です。当時知名度が低かったLenovoが何をする会社であり、ThinkPadブランドを受け継ぐということをお客様に明確に示すことが重要でした。
企業統合は綱引き

新事業体の営業開始日DAY1がゴールではない
契約を締結すると、ポストM&Aを迎えます。ここまでくると、M&Aを無事に終えたような気になりがちです。
ポストM&AのStageは、さらに3つのフェーズに分けられます。最初のフェーズの目的は、分離・統合の対象となる事業体が法的に買い手企業に移り、新しい事業体として営業できる状態にまで持っていくことです。ポストM&Aの中でも、ここが最もハードルが高いフェーズなのです。このフェーズが終わるタイミングが新事業体の営業開始日、すなわちDAY1です。このDAY1までをどのように迎え、その後のフェーズ2、3をどうするかがM&Aの成功に大きく影響します。契約を終えてほっとしている場合ではないんですね。
実際、M&A直後に売り上げが落ちる例は多くあります。これは、何が起こるか不安なので営業担当は新規の案件を開拓しようとしないし、顧客もこの後どうなるのかと様子をうかがってしまうことから生じます。それが回復し、売上が上がるか否かは、DAY1以降の企業の対応にかかっています。社内の人材だけでM&Aを進めようとすると、調整などに時間がかかるゆえにDAY1をゴールと思いがちですが、本当のゴールはDAY1以降にあるのです。
一般的なポストM&Aステージの流れ
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