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人事部の明日

人事改革の焦点にせまる、3つの視点

人事部の仕事は、社員の向こうにいるお客様のためにある
 

人材マネジメントのオピニオン・リーダーに聞く

人材マネジメント論、人的資源管理論、組織行動論について、長年研究を続けている一橋大学大学院教授の守島 基博 氏に、今求められる「人材マネジメント」について聞きました。

顔写真
守島 基博(もりしま もとひろ)
1980年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。82年慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻修士課程修了。86年米国イリノイ大学大学院産業労使関係研究所博士課程修了、組織行動論・労使関係論・人的資源管理論でPh.D.を取得。同年カナダ・サイモン・フレーザー大学経営学部助教授就任。90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、99年同大学大学院経営管理研究科教授を経て、一橋大学大学院商学研究科教授に就任。

経営戦略を見据えた人事戦略を持つ

Q. 企業の経営のスピードが早くなる中で、人事部の役割も変化しています。これからの人事部はどのような視点を持たなくてはならないのでしょうか。
A. 今、人事部に求められる機能は何なのか、まずはそれを考えなくてはなりません。人事部は、3つの機能を持つべきと、私は唱えています。

1つめは、「人材ポートフォリオの作成」。企業の戦略・ビジョンというのは、一種類の人材だけでは達成できません。様々な種類の人材という資源の組み合わせによって、企業は成立しています。こうした企業戦略・ビジョンと連動した人材の組み合わせという考え方を、人材マネジメント論では、人材ポートフォリオといいます。戦略を達成するために、どういう人材が求められるのか、スキルや役割を明確にし、その組み合わせを考える。となると、人事部も経営戦略を理解し、人事の視点から捉えなおす目が求められます。

2つめは、「Employee Champion:社員の働きやすさや働き甲斐を提供する機能」。組織が自律分散的になり、働く人たちが自分の意志・自分のプロセスで仕事の成果を出さなくてはいけない、という時代になっています。働く人がやる気にならないと何も出てこない。仕事がクリエイティブになると、モチベーションを高める環境こそ重要です。人事部の役割は大きいと言えます。

3つめは、「Change Agent:変革の担い手になる」。企業変革とは、働く人、一人ひとりの意識と行動を変えることです。社員にとって、変革というのは、処遇や評価も変わるのではないか、今後の成果を上げ続けることができるのか、という不安と隣り合わせです。これをいかに原動力に変えられるかがポイントです。変革のプロセスを社員が無事に通過できるような支援を人事部がしなくてはなりません。人事部が長期的なスパンで企業を考え、そのための変革のルートマップを社員に提示する。安心と変化の組み合わせが大切です。

人材マネジメントの基本機能

人材マネジメントの基本機能

Q. 人事部にも、経営戦略を見据えた視点が求められるのですね。
A. CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)も、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)やCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)と同じ経営者の視点を持つべきでしょう。人という資源を戦略達成のために供給するのが、人事の第一番目の役割です。

Q. そのためには、まず何から始めればいいのでしょうか。
A. 最初のステップは、自社が何で儲かっているかを根本的に考えることです。お客様はどのような人か、どんな価値を自社が提供しているのか。人事部の仕事も、一つひとつのアクションが、お客様につながっていることを認識しなくてはなりません。人事部の仕事も、社員の向こうにいるお客様に価値を提供するためにあるのです。


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