タブの始まり
- 震災と企業リスク選択中タブ,
- BCMの必要性
- IBMによるBCP支援
自社の震災リスクは、競合他社にとっての「ビジネスチャンス」
企業がビジネスを続けるためには、他社との生存競争に打ち勝っていく必要があります。競争優位戦略において、「お客様が希望するQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期の略)で安定的に商品・サービスをお届けする力」を強化することは、最も重要なポイントであることは言うまでもありません。特に競争がグローバル化している昨今、日本企業の「自然災害リスク-特に震災リスクの高さ」は、中国・韓国・台湾企業にとって格好の攻撃材料です。「長期安定的な製品供給パートナーとして日本企業と組むことは、自社のサプライチェーンの中に大きな震災リスクを抱え込むのと同じです」。このような中国・韓国企業のプレゼンテーションが現実に行われている以上、震災リスクに対し、事業継続マネジメント施策を的確に実施しているかどうかは企業競争力の根幹に直結しているのです。
極めて高い日本の自然災害リスク
2003年3月にミュンヘン再保険会社が公表した「世界大都市の自然災害リスク指数」によれば、東京・横浜は世界主要都市50都市の中でリスクが格段に高いとされています。
レポートでは、今後は減災の目標を示し、適切な対策を実施すること等により諸外国の信頼性を高めることが望まれる、と結論づけています。
都市圏で巨大地震が発生した場合は
2007年11月8日(木曜日)に日本IBM名古屋事業所で開催されたIBM情報マネージメント・フォーラム中部において「東南海地震における被害被災状況を推定する」というテーマで講演した名古屋大学理学博士 林 能成氏は、「企業にとって地震のリスクは実に大きく、被災時の対応次第では企業の存続そのものを危うくします」と述べました。
林氏によれば、地震とは「いつくるかわからないもの」ではなく、同じ場所で次も「起こり得るべきもの」であるとしています。
我が国では、古書にも地震による災害の様子がしばしば記録されていますが、近い将来の発生が警告されている東海地震・東南海地震・南海地震については、過去にマグニチュード8を越える巨大地震が周期的に発生している記録があり、最も古いものは684年(飛鳥時代)の南海地震までさかのぼることができます。まさに、巨大地震は次も「起こり得るべきこと」なのです。
内閣府 中央防災会議によれば、仮に東海・南海・東南海連動型地震が発生した場合、静岡県から高知県までの広い範囲で被害が発生、その経済被害は1995年1月の阪神淡路大震災の4~5倍になると予測しています。
林氏は、「例えば、2003年9月26日に発生した十勝沖地震は、マグニチュード8を超える地震でしたが、被害が大きくなかったためさほど注目されませんでした。ところが、この地震における震度6弱の範囲を見ると、長さ200キロくらいの広さにわたっています。この規模の地震が北海道ではなく、仮に中部地方で発生したとすると、名古屋から静岡あたりまでの広い範囲が震度6弱の揺れに襲われたことになります。つまり地震の発生場所によっては、甚大な被害が発生する可能性が高いのです」と、都市圏での大地震発生による被害を懸念しています。
すでにリスクは顕在化している
このように、震災発生時の地域・都市・地区毎の被災状況の予測は年々精度が高まっています。こうしたシミュレーションから、「自社が抱えている震災リスクを見える化し、事業継続のために何をすべきかということも想定できる」というのが 政府・金融機関・国際社会が事業継続マネジメントを推進せしめる根拠となっています。
林 能成氏 プロフィール
1968年東京都出身。東京大学大学院理学系研究科博士課程終了後
2003年より名古屋大学 大学院環境学研究科に勤務。
名古屋大学・災害対策室において、大学内及び地域の防災力向上に向けた施策を推進されています。
著書:「いま活断層が危ない 中部の内陸直下型地震」(共著・中日新聞社刊)
「三河地震 60年目の真実」(共著・中日新聞社刊)
