18年間、CRMを見つめ続けるスペシャリストが語る
CRM(Customer Relationship Management)とは、お客様の視点で経営を見直し、お客様と企業の“継続的な共栄関係”を築き、ビジネスを達成すること。
今回登場するのは、IBMでCRMのスペシャリストと呼ばれる門倉純一です。1980年代後半からIBMでコールセンタービジネスを中心に担当し、CRM部門の立ち上げに参加。現在はCRMの営業支援を担当しています。2001年からは、日本でのCRMのあるべき姿を研究・追求・推進する会員組織、CRM協議会の専務理事を兼任しています。
2007年8月、IBM箱崎事業所で開催された門倉のCRMセミナー「顧客接点を経営に活かす」から、CRMの成功事例とCRM成功のカギを探ります。

日本アイ・ビー・エム株式会社
経営イノベーション クロスISVソリューションズ
CRM協議会専務理事
企業情報化協会ヘルプデスクセンター運営委員
門倉 純一
CRMベストプラクティス賞受賞企業にみる「CRM」の進展
2004年からすでに3回行われているCRM協議会の「CRMベストプラクティス賞」には様々な企業の知恵が詰まっています。CRMは他のビジネスソリューション分野と異なり、企業それぞれが「独自」のアイディアをシステムに活かしていることが特徴です。そのため、賞は1位2位といった形ではなく、どんな「モデル」で秀でているかという基準で表彰することにしています。
2004年の受賞企業は下記のとおりですが、ここではさらに特徴を付記してあります。
受賞企業名
受賞モデル名
特徴
アールエス
コンポーネンツ株式会社
新規ビジネス戦略・モデル
総合型/新モデル
構築型
オムロンフィールドエン
ジニアリング株式会社
ビジネス変革・モデル
コンタクトセンター/
総合型
キヤノンマーケティング
ジャパン株式会社
パートナーCRM・モデル
PRM(SFA)
株式会社コスモスライフ
カスタマー・モデル
コンタクトセンター
札幌市役所
自治体CRMパイロット・モデル
コンタクトセンター
スルガ銀行株式会社
リーダーシップ・モデル
総合型
株式会社千趣会
データドリブン・モデル
BI
株式会社ニチレイ
リスク管理型CRM・モデル
コンタクトセンター
ノバルティスファーマ
株式会社
セールス変革・モデル
コンタクトセンター
協同組合ほくほく
スタンプ会
地域活性化・モデル
新モデル構築型
特徴には「コンタクトセンター」や「SFA」といった核となるシステム的な特徴が書かれています。この年は「こうしたことが言えた」時代だったのです。中でもこのリストの最初の2社は、そのビジネスモデル構築と全社的な取組みが多くの企業に参考となるものになった事例、ということができるでしょう。ここで活かされたのは、
- 顧客を定めて、その視点に立った顧客接点モデルを構築し、CRM、SCM、ERP、EC、BI等すべてが連携したシステムを構築した。
- 顧客の声を基に自社のビジネスモデルの再構築を行い、その接点であるコールセンターに大きな権限を持たせ、企業の司令塔のように活用した。
といったものです。今でもここまでデザインされている企業は少ないと思います。
2005年の受賞企業は下記になります。
受賞企業名
受賞モデル名
株式会社アイスタイル
eコミュニティ・モデル
株式会社阿寒グランドホテル
カスタマーセントリック・モデル
株式会社アートネイチャー
ワンツーワン・モデル
NECフィールディング株式会社
カスタマーサポート・モデル
コープ東北サンネット事業連合
トレーサビリティ・モデル
住友信託銀行株式会社
アウトバウンド・モデル
第一生命保険相互会社
CSR・モデル
株式会社ニード
ビジネスモデル革新・モデル
日本アムウェイ株式会社
グローバル・モデル
バリューコマース株式会社
アフィリエイト・モデル
ブックサービス株式会社
デマンドチェーン・モデル
松下電器産業株式会社
ナショナルアプライアンスマーケティング本部
パナソニックAVCネットワーク社
VOC・モデル
VOC・モデル
三重県病院事業庁
ホスピタルメトリックス・モデル
横浜市役所
シチズン展開・モデル
株式会社リコー
価値創造・モデル
ここでは2004年にあったシステム的な特徴はもう言えなくなっています。全てのモデルにおいて、各企業/団体のビジネスモデルにこうした機能が複数統合されてきた。そういっても過言ではないような気がします。特に「VOC(Voice of Customer 顧客の声)」を収集し、それを分析して自社のサービスや製品に活かしていくという仕組みが、ビジネスプロセスにしっかりと組み込まれてきたということと、チャネル統合(電話やWebでコンタクトした情報が営業マンにも伝わっていて、といった仕組み)が実現されてきています。ベンチャー企業の中には「顧客の声」だけでビジネスが成り立っている企業も登場しました。
2006年になると、それぞれの多様化はさらに進展してきました。
受賞企業名
受賞モデル名
一般企業部門
味の素株式会社
食品安全・モデル
アスクル株式会社
シンクロ・モデル
NECパーソナルプロダクツ株式会社
予防保全・モデル
オリンパス株式会社
SOA志向・モデル
トヨタファイナンス株式会社
カイゼン・モデル
ブラザー工業株式会社
グローバル・イン・モデル
松下電器株式会社/
パナソニックAVCネットワークス社
グローバル展開・モデル
三井住友カード株式会社
Webコラボレーション・モデル
地域・中小企業部門
市川市役所
市民政策参加型・モデル
株式会社イビサ
ロイヤルカスタマー・モデル
株式会社ウィークエンドホームズ社
建築プロセス見える化・モデル
オイシックス株式会社
フード・コーディネーター・モデル
株式会社オギノ
ポイントカード・モデル
株式会社ジェイ・マーチ
eクチコミ・リサーチ・モデル
特に注目だったのは、ITではない「人間系」の取組みです。顧客は企業に接するすべての場面、すべてのプロセスでの経験からその企業に対する「感情」を育み、それによって購入する。古くて新しい命題が浮かび上がります。米国ではCEM(Customer Experience Management)といって近年話題になっているそうです。ここには現れていませんが、ブログやSNSの活用も研究会では話題になりました。
どうしたら、こんなことができるのか
ご紹介したように、CRMはその企業に「合った戦略システム」です。まずは対象とすべき「顧客」をはっきりとさせなければなりません。そして企業の目指すべき「姿」を明確にしなければなりません。その上で目指す「姿」に至る現状の「課題」を明らかにしていきます。それを解くために「施策」(行動指針やプロセスデザイン)を設計していきます。そして顧客と接する現場のエンパワーメントを図る。成功企業がやってきたのはこういうことではなかったでしょうか。現在多くの企業がブームのように導入したCRMシステムが更改期を迎えています。その時にこのことを考慮してこなかったことが問題化するケースが多くなっているように思います。もう一度原点に帰る良い機会です。まず「誰に(顧客は誰?)、何を(製品・サービスは何を?)、どのように(顧客にどんな方法で届ける?)」といったことが自社のCRMプロジェクトで決まっているかどうか考えてみてください。そして、決まった「改革コンセプト」を社内合意形成していくことが重要なこともわかっています。現在自社がおかれている状況を考えてどの部分ができていないか、もう一度検討してみましょう。
経営に活かすためには
3.システム化の検討
- Call Center
- SFA
- Web Site 整理
- BI(顧客情報分析)
- BI(顧客Data収集)
- 業種別Solution
1.企業改革への課題の整理
- 新規事業立ち上げ
- 既存ビジネスの維持
- 顧客満足
- コストの削減
- 企業戦略の策定
- 生産性の向上
- 営業改革
- サービス事業の改革
- 競争力の強化
- 企業戦略の立案
2,戦略設計、プロセスデザイン、現場力の向上策
課題の整理や合意形成に役立つ社内グループディスカッションの手法として、IBMが以前より利用しているCPS(Customer Planning Session)という手法が役に立つと思います。自分たちが「コンセプト」を「合意形成」できなかったら、システムは何のために使われているのか、いつのまにかわからなくなってしまいます。「手段」が「目的」に変貌するのです。
CRMベストプラクティス賞の各事例の詳細は、年度別ベストプラクティス白書として発行されていますので、下記より購入可能です。
