
タブの始まり
- 入社1年後にオープン・ソースに社内で初めて取り組む
- アウトソーシングをやめるお客様が増えてきた理由
- System iで「黒い画面」を要望するお客様の考え方
- シリコンバレーの企業が見せてくれた資本主義の原理
- オープンなシステムにしっかりと取り組める企業が高知にあることを知ってほしい
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株式会社アイビスは、高知県、四国地方を中心として、機器販売、ソフトウェア開発、保守サポート・サービスなどのITシステム・サービスを総合的に行う会社です。多数の基幹系システムの実績もあり、近年はネットワーク系、OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)関連の実績も拡大しています。2009年には、ミッド・マーケット・エクセレント・パートナーを受賞しました。今回は、同社でウェブやネットワーク関係の開発チームを統括するトップタレントを、龍馬ブームに沸く高知に訪ねました。
トップタレント
株式会社アイビス
ネット事業部部長 石本博昭(いしもと・ひろあき)氏
2台のバイクを所有。休日は1200ccのバイクに乗って、四国山地にツーリングに出かける。
入社1年後にオープン・ソースに社内で初めて取り組む
のどかな田園地帯に会社があるんですね。
ここは南国市にある南国オフィスパークという企業団地で、高知市の中心部から車で30分ほどです。10年以上前に移転してきたのですが、それまでは高知市内の賑やかな場所に会社があったので、かなりの環境の違いを感じました。
気軽に飲みにも行けませんが、おかげで健康を維持できますし、仕事に打ち込めることは確かですね。でも、見たことのない虫が飛んでくるのには、最初のうちは驚きました(笑)
石本さんは、どのようなお仕事をしているのですか。
ウェブのシステム開発が中心で、9人の開発チームを束ねています。得意なのはjava™を利用した開発で、Linux®系のウェブ、オープン・ソース関連には自信があります。メインで担当しているのが、「カメラのキタムラ」で知られている株式会社キタムラさんです。現在、キタムラさんの本社は新横浜なのですが、もともとは高知の会社なので、長いお付き合いがあります。ほかにも、当社のお客様は、ほとんどが高知県内の企業か、あるいは高知にゆかりがある企業です。
ウェブ関連に取り組んだきっかけは?
高知人というのは、新しもの好きなんです。私にもその血が流れているようで、1988年に入社して
1年くらいは汎用機の開発をやっていたのですが、どうも性に合わない。
そこで、社内で初めてオープン系の開発(ウェブ関連)に取り組んだわけです。自由にやらせてくれた現会長には感謝しています。
社内はどのような雰囲気でしょうか。
従業員数は53人で、みんな和気あいあいという感じですね。当社では役職がついていてもプレイングマネージャーばかりですから、完全な管理職という人はいません。フラットな組織なので、自由に発言や提案ができるのは非常にいい雰囲気だと思っています。
アウトソーシングをやめるお客様が増えてきた理由
これまでに印象に残った仕事はありますか。
入社してまもなく、株式会社キタムラさんのコンペで、私の選んだLotus Notes®が採用されたことですね。日本の名だたるメーカーが参加しているコンペに、まだ無名だったNotesを提案し、採用していただきました。純粋に商品を比較して採用してくださったんですね。地場の企業を、大メーカーと対等に見てくれたことに感激しました。
担当はOさんという方なんですが、この方にはその後もお世話になりました。私がウェブ開発を始めたのも、Oさんの「これからはウェブをやるべきだよ」という言葉がきっかけでした。
そして、Notesをキタムラさんの各店舗に配布したことが実績になって、銀行系や電力系の企業に対しても、IBMのサポートのもとで手伝いに行くようになりました。
高知のお客様に特徴的な点というのはありますか。
東京では開発部門をアウトソーシングするのが最近の傾向ですが、高知では逆なんです。
私が担当しているお客様では、逆に内部で開発をするように変わってきました。東京に出ていた人がUターンして、システム管理者として採用されるケースが多いようですね。
その理由として、アウトソーシングのデメリットが、ここに来て目に見える形で出てきたためではないかと思います。実際にお客様からも、「アウトソーシングをした結果、社内に技術がなくなってしまった」という話をよく聞きます。社内で技術を継承していくために、揺り戻しが起きているのではないでしょうか。
System iで「黒い画面」を要望するお客様の考え方
高知県の中堅企業では、どのような課題や悩みを聞きますか。
同じ中堅企業でも、比較的規模の大きな会社は、数多くのサーバーをどう統合しようかというのが課題となっています。ところが、小さい会社は「新しいサーバーへの買い替えが大変」という悩みなんですね。新しもの好きの高知県人ですから、本当なら新型のサーバーを欲しいはずですが、5年以上たったサーバーを使い続けているのが現状です。そうした小さい会社に対しては、将来的にはクラウドの方向にリードするのが正解だと思っています。
ミッド・マーケット・エクセレント・パートナー受賞のポイントは?
私自身が関わっている業務ではありませんが、受賞した理由はSystem iの売上が大きかったためだと聞いています。中堅企業では、販売管理一つとっても以前から独自のやり方をしているため、システム移行に伴って再構築が必要になり、多大な時間と労力がかかってしまいます。
その点、System iならば互換性がありますから、過去に作ったものが使えます。そうしたメリットが評価されて、買い換えの需要が増えたのでしょう。興味深いことに、System iを導入する際に、昔ながらの黒い画面を要望するお客様がいらっしゃるそうです。理由を尋ねると、「無駄なリソースを消費したくない」「画面に凝っても、その分速度が遅くなるだけで利益は生まない」とのこと。それでいて、システムの信頼性に関わる点については出費を惜しまないというのです。
これを聞いて、なるほどと思いました。お金をかけるべき部分と、かけない部分とをきちんと切り分けているんですね。こうしたお客様が最近では増えているといいますから、時代が少し変わってきたのかもしれません。
お客様からは、IBM製品に対してどのような評判を聞いていますか。
実は、私が担当している株式会社キタムラさんは、使用しているPCサーバーの8割がIBM製品なんです。ですから、性能や価格などで他社製品とは比較なさっていないようです。
ただ、ハードウェアの保守の点からすると、明らかなメリットがありますね。たとえばハードウェアを交換する場合、他社は担当者とハードウェアが別々に到着しますが、IBMの保守では担当者がハードウェアを持ってきて交換してくれます。少なくとも、私たちにとってはお客様に説明しやすく、私たちの作業も楽であることは確かです。
シリコンバレーの企業が見せてくれた資本主義の原理
ところで、よく海外の視察にいらっしゃるとか。
2、3年前に、シリコンバレーに1週間ほど滞在して、10社以上を訪問しました。
このときは、非常に大きな刺激を受けました。第一印象は建物の外観ですね。日本では外観も大切にしますが、あちらではまるで崩れそうな倉庫同然。それでいて、中にある設備が素晴らしいのです。オープン・ソースに対する意識もよく理解できました。日本から見ていると、「オープン・ソースはタダ」「儲けは二の次でボランティアで作っている人も多い」という印象を持ちがちです。
ところが、シリコンバレーに行ってみると、ボランティアの精神などかけらもない。まるで資本主義の権化です。ごく一部の会社を除けば、どうやってお金を儲けるか、どうやって世界を支配してやろうかと考えている人たちばかりでした。確かに、メーカーからはボランティアで社員を出しているところもありましたが、目的はその先にある大儲けや世界支配なんですね。そうした仕組みが、よく見えてきたのは収穫です。
シリコンバレー以外には、どこかへいらっしゃいましたか。
韓国や中国にも行きました。韓国ではEC(電子商取引)や検索系の会社も訪問していますが、
日本よりはるかに上昇志向が強いという印象を受けました。お金を儲けることに対しても意識が高かったですね。
日本ならエンジニアは金に無頓着という人が多いのですが、韓国ではエンジニアもギラギラしていました。中国はそれ以上で、誰も彼もがギラギラしていたのが印象的です。
東京にも、月に1、2回、出かけています。ソフトウェアハウスやメーカーなどを訪ねて勉強することで、自分を高めると同時に、高知のお客様に還元しています。やはり、高知だけに閉じこもっていてはいけませんね。
オープンなシステムにしっかりと取り組める企業が高知にあることを知って
今後、アイビスの業務はどのような方向に進むのでしょうか。
やはり、各種のクラウド・サービスを扱っていくという方針でいます。中堅企業でも小規模な会社では、まだまだ「クラウドとは何?」というレベルなので、まずクラウドについての知識の普及を図ることが必要になるでしょう。クラウドは、大企業よりも、むしろハードウェアやソフトウェアにコストをかけられない企業にとって不可欠な存在になるはずです。
とはいえ、ソフトウェアもハードウェアも価格が下がり、どんどん無料に近づいていくなかで、どうやって会社が継続するための利益を出すのか、正直なところ、全員が頭を悩ませているところです。
でも、社長がこういうことを言っていました。冷蔵庫のような家電はコンセントを挿すだけで使えるが、コンピューターは何でもできることを目指す機械であると。そうした機械に何か特定のことをやらせようとすると、極めて不完全で、必ず人の助けが必要となる。そこにビジネス・チャンスが生まれるというわけです。もちろん、業務の内容は変わっていくでしょうが、コンピューターに関係する仕事自体がなくなることは当分ない、というのが社長の持論です。
将来に向けて、石本さんの個人的な抱負をお聞かせください。
もっと表現力やコミュニケーション力を磨きたいですね。最近になって、IT関係のセミナーや地元の自治会、子どもの学校の役員会など、人前で話をする機会が増えているのですが、他人に物事を伝えるのがいかに大変かを実感しています。
そして、高知みたいなローカルなところで、LinuxをはじめとするOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)に取り組み、しっかりした業務を行っている会社があることを、全国の人に知ってほしいですね。
単にハードウェアを販売してシステムをインストールしているのではなく、OSSを最大限に利用して、OS導入からアプリケーション構築まで行いますし、大規模なトランザクションがあるシステムを組むといった面倒なこともしています。そうした高度な技術を持ちながら、地域と顧客に密着し、さらには世界を目指している会社が高知にあるということを知って欲しいと思います。
