グリッド・コンピューティングは、コンピューター、ネットワーク、ストレージなどのコンピューティング資源を仮想コンピューティング・システム化することで、グリッドを利用するユーザーやアプリケーションが、その莫大なIT資源を利用できるようにするものです。グリッド・ユーザーは、インターネット・ユーザーがWebコンテンツを見るように、大規模な仮想コンピューターをひとつのシステムとして利用することができるのです。
グリッド・コンピューティングの重要な部分は、異機種混合環境や各コンピューティング資源が分散IT環境下でのコミュニケーションを可能にする、オープンな標準プロトコル(オープン・グリッド・サービス・アーキテクチャー:OGSA)に基づいています。
それでは、グリッドでは、クラスターやWeb、ピア・ツー・ピア・コンピューティングとどう異なり、どう関連しているのでしょうか。
たとえばクラスターは、同機種間においての物理接続を実現しますが、グリッドは、異機種間接続環境や分散IT環境下での接続を可能にします。つまりクラスターとは、グリッドに含まれるプロセス処理の一例に過ぎないのです。
Webがインターネット・コミュニケーションの最初の段階であるのに対し、グリッドでは、あるひとつの目標に対して、インターネット上の複数の資源がコラボレーションで作用することを可能にしています。Webは、Webブラウザー(HTML経由)で情報への自由なアクセスを可能にしました。それに対してグリッドは、行政機関や民間組織による利用のために、コンピューターやデータ・ストレージといった、さまざまなインターネットで接続されたIT資源へのアクセスを可能にします。
ピア・ツー・ピア・コンピューティングは2ユーザー間で資源を共用しますが、グリッド・コンピューティングは、複数のユーザー間での資源を共有します。
Globusプロジェクト
IBMはグリッド・コンピューティングとオープン・スタンダードに積極的に取り組んでおり、グリッド・ベースのアーキテクチャーと多数の研究所が参加する研究開発プロジェクトであるGlobusプロジェクトを強力に支援しています。Globusプロジェクトの目標は、グリッド・コンピューティングを世界に普及させるため、その技術、およびビジネス課題を解決することです。
Globusプロジェクトは技術者と研究者のチームによって創設され、これまでにオープン・ソースのグリッド・リファレンス・アーキテクチャーと多数の研究所が参加する研究開発プロジェクトであるGlobusプロジェクト、およびグリッドの実装を支援するための一連のツールを定義してきました。IBMおよびGlobusは、「グローバル・グリッド・フォーラム(GGF)」のスポンサーでもありますが、このフォーラムの使命はグリッド・コンピューティングの業界標準を策定することです。フォーラムのメンバーには、大手ITサプライヤーや各種産業界からの代表者などがいます。この組織は、Globusプロジェクトと共同し、Globusプロジェクトが策定した仕様および規格をサポートするグリッド・テクノロジーの開発に従事しています。
Globus Toolkit
Globusプロジェクトによって開発されたGlobus Toolkitは、グリッド・アプリケーションやプログラミング・ツールの開発が、共同、または独立して使用できる構成になっています。このGlobus Toolkitは、セキュリティー、情報インフラストラクチャー、資源管理、データ管理、コミュニケーション、エラー検出、システムの幅広いポータビリティーなど、包括的なソフトウェアをご提供します。は、すでに何十もの世界的なグリッド・プロジェクトや、数百のサイトで使用されています。
オープン・グリッド・サービス・アーキテクチャー(OGSA)
GlobusプロジェクトとIBMは、Webサービスとグリッド・コンピューティングの統合と推進の標準化(OGSA)を発表しました。OGSAは、各インダストリーにおける最適な設計や技術力のコラボレーションの成果を示しています。この標準の開発に、IBMは積極的に参加しています。
Globusプロジェクトによって開発された、XML、WSDL、UDDI、SOAPといったWebサービスに重要とされる要素を、OGSAはグリッド・コンピューティングの標準機能として集約しています。OGSAを通して、GlobusとIBMは、オープン・スタンダード、グリッド・コンピューティング・プロトコル、Webサービスを、アプリケーションが行政機関や民間企業などのネットワークを超えて、大規模な協業やアクセスを可能にするように設計し始めました。
