新技術・新システムを導入、堺第7-3区は先進リサイクル施設の一大拠点
大阪府エコタウン(堺第7-3区)
関西経済の中核都市である大阪は、地域の特性として廃棄物が大量に発生すると同時に、全国レベルに比べリサイクル率が低いこと、廃棄物の不適正処理などが以前から課題になっていました。
大阪府エコタウンプランは、大阪都市圏に循環型社会の全国的なモデルを形成することを目指すとともに、環境関連産業の育成にも配慮しながら、廃棄物処理・リサイクル施設の整備をはじめとした各種事業を推進するものです。7事業から成る大阪エコタウンプランでが、今回のツアーでは、堺市臨海部(第7-3区)に立地する、RAC関西と近畿環境興産を訪問しました。
混合廃棄物のリサイクル率を向上する"高品質マテリアル生産工場"
株式会社RAC関西
まず訪れたのは、関西最大規模の混合廃棄物リサイクル施設、RAC(Recycling Assort Center)関西です。ツアーの参加者には会社の環境部門や廃棄物処理の担当者もおり、「廃棄物処理とリサイクルは会社にとって重要課題だから、きちんと見ておかなければ」、と意気込んで見学に向かいました。
RAC関西が対象とする建設系混合廃棄物は、多種の品目で扱いが難しい上、処理に対する責任が重くなっており、発生の削減と資源の再利用が急務とされています。一方、リサイクルをうまく循環させていくためには、生み出された製品がうまく流通に乗るかどうかが重要となってきます。いかに手間(コスト)をかけずに、純度の高いリサイクル原料を"生産"できるか、ここではどのような工夫がなされているのでしょうか?
RAC関西の特徴は、最新の設備で人や機械が高度な選別をしていることです。ヤード選別、手選別、破砕、機械選別、圧縮・梱包、成形等の高度選別処理工程を経て、リサイクル原料および固形燃料等のリサイクル燃料・原料を生産[図]。機械だけでなく、人の手を工程に加え、何度も選別をかけることで純度の高いリサイクル原料が生まれるといいます。その資源化率目標*はなんと90%以上!
また、作業はすべて屋内で行われるため、天候に左右されず効率が高いほか、アスベスト対策や屋外への排出空気・粉じん対策の設備を設置し、近隣や従業員に対する安全対策も万全に整えています。
こうした仕組みにより、RAC関西の施設規模は500t/日でリサイクル原料を生産。同時に、関西2府6県の廃棄物物流ネットワークと資源の循環情報ネットワークを効率的に結び、高品質のリサイクル原料の安定供給を実現し、混合廃棄物の再資源化率の向上を図っています。
注)資源化率: (再資源化量)/(総廃棄物量)×100
[図] RAC関西の高度選別フロー

(出典:RAC関西ホームページより)
処理に手間がかかる混合廃棄物。ヤード選別、手選別、機械
選別(高度選別)の順で高度選別される。写真(左)は1次手
選別ラインで、右は機械選別ライン。大きな廃棄物は破砕され
た後に、振動や風力、比重差等により選別される。
混合廃棄物の選別前と選別後。選別を重ねることで、最終的
に純度の高いリサイクルが行われている。
これまでは最終処分として埋め立てられていたゴミが、手間をかけつつも効率的に選別することにより、ほとんどが資源やエネルギーに転換できることを目指している--ここは処分場ではなく、まさしく"生産工場"です。長年リサイクルが遅れていた建設系廃棄物ですが、選別やネットワークの活用により、新たな潮流が生み出されていることを強く感じました。
廃棄物を資源に変える?!--魔法の水「亜臨界水」
近畿環境興産株式会社 堺SC工場
続いて訪れたのは、「亜臨界水反応」を利用して廃棄物の再資源化を行っている近畿環境興産です。「亜臨界水」とは聞き慣れない言葉ですが、水は高温・高圧下に高めた亜臨界の状態になると、加水分解能力や反応溶媒としての効果が高まり、有機物を分解したり、目的物質を抽出したりすることが可能になります。この特性を用いて、主に有機性廃棄物を対象に、アミノ酸や糖類、コラーゲンなどの有用物質を分離・分解し、回収することで付加価値の高いリサイクルを実現しようとするものです。近畿環境興産は、21世紀COEプログラム採択拠点リーダー 大阪府立大学吉田弘之教授と共同で研究に取り組み、世界初の商用プラントとしてここ堺SC(Sub-Critical:亜臨界)工場を稼働させました。
処理の対象としているのは、廃油や廃溶剤、廃インクなどの液体廃棄物、廃タイヤ、廃プラスチックなどの固形廃棄物、魚のあらや廃木材などの有機性廃棄物など幅広い廃棄物。中でも食品・バイオマス系のリサイクルにこの技術がかなり適しているということで、研究開発が進められていると言います。しかも排水・排ガスはゼロ。従来の焼却や埋め立て処理に比べて環境負荷がかかりません。このように安全無害な水を利用し、廃棄物を資源に変える亜臨界水は、産業界から多くの注目を集めています。
[図] 亜臨界とは

水の温度・圧力を374℃、22Mpa(大気圧の約220倍)まで高めると、水(液体)でも水蒸気(気体)でもない状態になる。この臨界点よりもやや低い近傍の状態「亜臨界水」は高い加水分解能力や抽出能力をもつ。もっと高温(すなわち超臨界)になると、たとえば食品などは炭酸ガス化してしまい、抽出はできないという。
[図] 「亜臨界水を用いた廃棄物再資源化プラント」による資源リサイクルシステム

(出典:近畿環境興産株式会社ホームページより)
近畿環境興産はこのSC事業とセメント工場向け補助燃料製造事業(RF事業)との相乗効果も図り、資源循環型社会の構築に貢献するゼロエミッションエンジニアリングカンパニーを目指している。
日量で70tの処理能力をもつこのプラントはすべて自社設計、自社エンジニアリングで建設された。通常こうしたプラントは一定処理ごとに停止する「バッチ式」だが、ここでは24時間連続稼働を実現している。
日本で発生する廃棄物のうち、約70%が有機性廃棄物だと言われています。ごみと捉えられていたものが資源やエネルギーになるとしたら・・・。参加者は皆、この画期的な技術に興味津々の様子で、技術的な質問だけでなく、経営や事業化にあたっての苦労話や将来構想など、さまざまな質問を投げかけていました。
近畿環境興産の田中社長は、「廃棄物には多くの有用資源が含まれている。資源もしくはエネルギーとして有効に利用することによって資源循環型社会の構築に貢献したい」、と熱く語ります。田中社長によると、プラントは特定の用途に絞れば、もっとコンパクトにまとめることもできるといいます。物流コストをかけてわざわざ遠方に焼却処理に出さずとも、自社の敷地内に小さなプラントを設けて処理するといった方法もとり得るとのこと。将来の廃棄物削減に向けて、さまざまなヒントと期待が高まるお話をいただきました。
