タブの始まり
パワー・アップ環境教育授業
IBM環境シンポジウム2009の併催イベントの一つとして「パワー・アップ環境教育授業」を実施し、広島市立美鈴が丘中学校と阿戸中学校の生徒さん合計約100人に参加いただきました。
環境問題は日常生活に根ざしたものであり、私たち一人ひとりが自然とのかかわりについて理解と認識を高め、責任ある行動をとることが求められています。そのためには、教育の現場においても、将来を担う子どもたちに環境問題への関心や興味を高める機会の提供が求められています。
このような声に対応して、日本IBMは社会貢献活動の一つとして、NPO早稲田環境教育推進機構(WE)と協力し、IBMが開発した三次元ゲーム「パワー・アップ(Power Up)」を活用した無償の環境教育プログラムを提供しています。
ここでは、2時間にわたって行われた授業の模様をご紹介します。
当日は、授業の進行支援のため、IBMから大歳会長および社員4名がボランティアとして参加しました。
新エネルギーについて学習
まずはWEの環境教育専門家、早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科の塩田真吾さんによる講義からスタート。
現在、風力発電や太陽光発電など「新エネルギー」が注目されているのはなぜか——。塩田さんは、日本で利用されている発電方法の種類や仕組みを紹介し、中でも今回の授業のテーマである風力発電について、写真やクイズを交えてわかりやすく説明しました。

写真1:講師役の塩田真吾さん

写真2:講義に熱心に耳を傾ける生徒
たち
仮想世界で風力発電機の組み立てに挑戦
続いて、ゲームを通じて風力発電を体験します。
「パワー・アップ(Power Up)」は、テクノロジーや環境問題への意識を高めることを目的にIBMの社会貢献部門が開発し、世界中で展開している教育用の三次元ゲームです。子どもたちは仮想世界で環境問題に取り組み、解決を図ることで、エネルギーやエンジニアリングに関して学ぶことができます。
ゲームの使命は、環境危機に瀕している架空の惑星ヘリオスを新エネルギーのテクノロジー(今回の体験では風力発電)で救うこと。仮想空間の中でプレーヤーはバギーに乗って険しい山々を駆けめぐり、モンスターと戦いながら、壊れた風力発電装置の部品を拾い集め組み立て直します。でき上がった発電機では、風車や支柱の違いによって発電量が変わることも表示されるため、どんな風車を使い、高さをどうすると、どれだけ発電できるのかを仮想体験することができます。
教室では3つのグループに分かれて、ゲームを体験しました。

写真3:ゲーム世代の子どもたちはマ
ウスの扱いは手慣れたもの。スムーズ
な動きで発電機を組み立てていく。

写真4:出来上がった、仮想世界の風
力発電機
エンジニアになって風力発電機を作ってみよう
「パワー・アップ」で学んだとおり、発電量は発電機の設計によって変わります。そこで今度は4、5人ずつのチームに分かれ、どうしたら発電量を多くできるかを考えて、効率よく発電ができるような風力発電の模型を各自が実際に作ってみます。
発電機の土台は市販の風力発電工作セットを使用。授業では風車の部分を厚紙で作り、扇風機で風をあて、どんな形にしたらよく回るかを試していきます。最初は皆、道具を前にとまどい気味でしたが、先生方や日本IBMのボランティア・社員のアドバイスを受けながら、次第に作業に夢中になっていきます。細い羽をたくさん付ける人、大きく3、4枚の羽を付ける人、長さを変えたり、ねじる角度を変えたり・・・。休憩時間もそこそこに、試行錯誤が続きます。

写真5:一人ひとり、個性的な風車が
できていく。

写真6:どうすれば、うまく回るんだろ
う?試行錯誤の連続。
風車ができたところで、いよいよ発電です。
チームの中で一番速く回った風車を選び出し、発電機に取りつけ、蓄電機能を備えたミニカーに4分間充電させます。風で生まれた電気でミニカーをどれだけ早く走らせることができるか——風車の発電効果を、チーム対抗レースで競いました。

写真7:どんどん回れ!風車に連結さ
れた発電用モーターが回り、モーター
駆動車に蓄電。

写真8:いよいよレース開始。それ行
けー!
レースの後は、1位になった風車はどんな形だったのか、ボランティア・社員が講評を行いました。その後、世界のさまざまな風車の形や実際の発電量、あるいは風力発電の長所と短所などについて、まとめの講義がありました。
将来の仕事や環境問題について考える
この授業は、子どもたちがゲームや実験を活用しながら新エネルギーについての基礎知識を体得できるだけでなく、試行錯誤しながら物を作り上げていくエンジニアという仕事がどういうものなのか体感することも目的にしています。
授業の終わりには、IBMのボランティア社員がエンジニアの仕事について説明しました。また、今回の授業には広島県出身の大歳会長もボランティアとして参加し、後輩に向けて将来の仕事選びに対するアドバイスや地球環境の大切さについて語り、「自分のやりたいことについて目標を作り、友だちと励まし合いながらがんばってほしい」と結びました。

写真9:エンジニアについて語るボラン
ティア・社員の藤田さん

写真10:職業のこと、そして地球環境
について語る大歳会長
授業終了後、生徒さんからは、次のような感想が寄せられました。
「パワー・アップのゲームがとても楽しかった。地球が将来ああなる前に、新エネルギーをたくさん活用したらいいと思いました」
「今回の活動を通して、環境問題への関心が深まりました。だけど、私たちには風車を作ったりはできないので、小さなことからでもエコ活動をしていきたいと思いました」
「この授業で、エンジニアのことについて知りたくなった」
「会長さんの話で、地球の年齢を1年とすると、人の誕生は最後の20分だけと聞き、とても驚きました。環境について本気で考えないといけないと思いました」
「ただ見るだけでなく自分が体験して理解することができて、とてもわかりやすかったし、楽しかった」

写真11:各自、作った風車を手に持ち、
全員で記念撮影!
IBMはこうした活動を通じて、子どもたちが環境や将来のことを考えるひとつのきっかけになればと願っており、今後も活動を続けていく予定です。
