都心から西へ約18Km、東京都のほぼ中央に位置する三鷹市では、2004年より、日本IBMのコンサルティング・サービスを利用して、International Collaborative Classrooms Project(国際交流授業)を行っています。三鷹市立の小学校5校と、中学校1校がこのプロジェクトに参画しています。
IBMからは、外国人の教育コンサルタントを派遣し、文教担当のソリューション営業部の担当者とともに、カリキュラム案作成、授業支援、海外の学校とのコーディネイト、機器の設定などを行っています。今回は、10月24日に三鷹市立第二中学校で行われた、国際交流授業の様子をご紹介します。
IBMと三鷹市の取り組み
IBMは1994年より、教育改善改革プログラム「Reinventing Education Program」を社会貢献プログラムのひとつの重点分野として、全世界レベルで実施しています。これは、各国・各地域ごとの教育課題の解決にIBMがもつテクノロジー、サービス、ノウハウという総合力を発揮することにより支援する、教育機関との共同プロジェクトです。

授業に使用した ThinkPad三鷹市では、2001年に東京都三鷹市教育委員会と日本IBMの社会貢献部門が共同で、ブロードバンド・ネットワークインフラなどを整え、学校・家庭・地域社会が連携するプロジェクトを発足させました。
そして三鷹市立第二中学校では、IBMオーストラリアの社会貢献部門を通して、オーストラリアで日本語を教えている公立中学校をコーディネイトし、プロジェクトが始まりました。
今回は、学校・家庭・地域連携教育プロジェクトで整備した、サーバーやネットワークインフラを使用して、第二中学校3年生と、オーストラリア・メルボルンのバックレイ・パーク・カレッジの生徒が、インターネットを使った交流授業を行いました。
授業の様子
オーストラリアの生徒は、選択授業で日本語を勉強してる生徒たちです。オーストラリアからは、日本語でプレゼンテーションし、そのプレゼンテーションに対して日本側から日本語で質問をします。また、日本の生徒が英語でプレゼンテーションをして、オーストラリアから英語で質問を受けるというスタイルです。英語での質問に関しては、IBMの教育コンサルタントと英語科の先生が、質問を繰り返したり、一部通訳したりして、コミュニケーションをとっています。

授業風景オーストラリアの動物を紹介した後に、日本から「コアラはペットにできますか ?」と質問したり、日本からサッカーの中田選手を紹介した後に、「二中にはサッカー部がありますか ?」と英語で質問が来たりしていました。
そして、生徒たちが、とても楽しそうに授業に参加したのが印象的でした。日本語の教科書を紹介してくれたときは、全員が熱心にスクリーンを見ていました。
1時間の授業のために

日本語の教科書授業を担当する、英語科の山田 睦子先生は、この国際交流授業に関してこのように話しています。
「生徒は、ライブで向こうの反応がわかるのが、とても楽しいと言っています。メールだとやはり字はあっても、顔は見えないし音声もない。この授業は、生徒の映像が見えますし、音声があります。こちらのプレゼンテーションが終わると拍手をしてくれるので、理解してくれているのかな、という反応が嬉しいようです」。
「ただ、準備は大変ですね。生徒にプレゼンテーションの原稿を用意させ、何度もチェックし、スピーチの練習をして、と夏休み前から少しずつ準備をすすめました。プレゼンテーションの資料は、技術科の先生にも協力してもらって作っています。新聞や雑誌から説明に使う画像を探して持って来させました」。
「英語の授業は週3時間で、行事などもありますから、教科書を終わらせるのが精一杯です。ですが、この国際交流授業だけでなく、普段の授業の中でもスピーチをさせる機会を作っています。アウトプットの時間、スピーチの時間が大切だと思うので、少ない時間をやりくりしているんです」。
「それに、提携校との授業の調整も大変でした。学校行事やバケーションがそれぞれあるので、何度もIBMを通して交渉したりして、やっとスケジュールが決まりました。授業が始まる時間も違うので、本当は1時限50分授業なんですが、40分間になってしまうんですよ」。
スケジュールの調整や、授業の内容、その他の事前の打ち合わせのために、授業で使うインターネットの設備を使って、4回もテレビ会議を行ったそうです。
お互いの国の言葉でスピーチ
山田先生は、提携校のスピーチに関して、「今回は日本語も聞ける、っていうのがおもしろいですね。生徒が、『先生、オーストラリア人はカタカタした日本語でしゃべってたね。うちらの英語も向こうには、カタカタ聞こえるのかな ?』なんて言っています。日本語の勉強をしている向こうの生徒が、日本語を使ってくれるのがいいです。向こうの子供にとっても、自分の国の言葉を、たどたどしくしゃべってるな、と思ってるんでしょうね」と話しています。

Stewart先生と山田先生「子供にとってはいい経験ですよ。これを機会に、もっと英語を勉強したいな、と思う子も出てくると思いますよ」。
また、オーストラリアの提携校で日本語を教える、Stewart Milner先生は、次のように語っています。
「生徒は、この授業をとても楽しみにしています。日本語があまり上手じゃないので、それは少し不安でしたね。やはりライブでやるのが、いいですね」。
「生徒はみんな日本に行きたいし、日本に興味を持っています。でもここ(オーストラリア)では日本語を話すチャンスがない。この授業がとてもいいチャンスになっています」。
