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日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者

受賞者紹介


浅野 孝夫(あさの・たかお)
昭和24年1月7日生まれ
上智大学理工学部 助教授


浅野孝夫氏の顔写真

  1. 昭和 47年

    東北大学工学部通信工学科卒業

  2. 昭和 52年

    東北大学大学院工学研究科修了

  3. 昭和 52年

    東北大学工学部通信工学科・助手

  4. 昭和 55年

    東京大学工学部計数工学科・講師

  5. 昭和 60年

    上智大学理工学部・助教授

  6. 専門:

    計算機科学-計算幾何学
    ネットワーク理論
    アルゴリズム理論

  7. 著書:

    『計算とアルゴリズムー計算機の科学』
    (オーム社、1986年)

贈賞の理由


幾何学的構造を有する情報の計算機処理に対する
計算の効率化とその限界の究明

コンピュータ・グラフィックス、VLSIのCAD、パターン認識、コンピュータ・ネットワークなど、大規模な幾何学的構造をもつネットワークや図形情報を、コンピュータによって効率的に処理することは、大変重要なテーマです。これに対して、実際的な側面からの研究が多くなされてきましたが、そうした試行錯誤とは別に、理論的な観点、つまり計算機科学の立場からの見直しも大きな意味をもっています。
計算機科学の進歩によって、いまでは、現実的な計算の手数では解けないと思われる問題も存在することが理論的に証明されています。たとえば、NP完全問題と呼ばれるものはそのような問題です。ある問題がNP完全であるという主張は、実用上は、入カデータのサイズとともにその問題を解く計算の手数が指数関数的に増えるということを意味します。

浅野助教授は、この分野で、精力的な研究を続けていますが、とくに1987年の論文では、ネットワークに関連する問題がNP完全であることを証明する系統的な手法を発見しました。これによって、これまで問題ごとになされていたNP完全性の証明が、統一的にできるようになりました。この成果は、米国計算機学会の『計算の理論シンポジウム』で発表され、反響を呼びました。

また、1986年の論文では、多角形状の障害物があるときに、任意に指定された2点間の最短経路を求める問題について、効率的なアルゴリズムを導き出しています。

さらに、与えられた地図に対して、質問点qを与えたとき、qを含む領域を求める実際的なアルゴリズムを提案するとともに、計算機実験を通して、従来のアルゴリズムと性能の比較・検討・評価を行いました。これにより、理論的な評価と実際的な評価の橋渡しをするとともに、両面を考慮に入れたアルゴリズムの必要性を指摘しました。

※所属名および役職は、受賞時のものです。