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日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者

受賞者紹介


福山 秀敏(ふくやま・ひでとし)
昭和17年7月31日生まれ
東京大学物性研究所 教授


福山秀敏氏の顔写真

  1. 昭和 40年

    東京大学理学部物理学科卒業

  2. 昭和 45年

    東京大学理学系大学院
    博士課程修了

  3. 昭和 45年

    東北大学理学部物理学科・助手

  4. 昭和 46年

    ハーバード大学ポストドクトラルフェロー

  5. 昭和 48年

    ベル研究所研究員

  6. 昭和 49年

    東北大学理学部物理学科・助手

  7. 昭和 49年

    東北大学理学部物理学科・助教授

  8. 昭和 52年

    東京大学物性研究所・助教授

  9. 昭和 59年

    東京大学物性研究所・教授

  10. 専門:

    物性理論

  11. 著書:

    『アンダーソン局在』
    (共立出版・物理学最前線2)

贈賞の理由


アンダーソン局在の理論的研究
物質の性質を決める1つの重要な要素が、結晶の中の電子の行動です。しかし、一口に結晶物質と言っても、現実には、何らかの不純物や格子欠陥が含まれていて、不規則です。

1958年、アンダーソン博士は、このような物質では、不規則性がふえてくると、電子の状態は、ブロッホ波のように空間全体に広がっているのではなく、局在する、つまり電子が限られた空間を占めると指摘しました。この局在した状態では、電流が流れないので、絶縁体になります。これが「アンダーソン局在」という現象で、固体内の電子波が、不規則性によって散乱されて、干渉作用を起こするために現われます。
アンダーソン局在の問題は、その後の物性理論物理学の中心的なテーマの1つになりました。不規則性という現象固有の複雑さのために進歩が遅れましたが、1979年、アブラハム、アンダーソン両博士らによって、『スケーリング理論』が提唱され、問題解決への突破口がひらかれました。

福山博士は、この分野で常に最先端の研究を続け、1980年には「アンダーソン局在」に対する電子間相互作用がもたらす効果について、その後のさまざまな研究の出発点となる重要な理論を導き出したのです。
これは、不規則性と相互作用の相乗効果により、2次元系での電気伝導率に温度の対数に依存する寄与があることを見出したものですが、電子物性の低温での振る舞い一般に関係する発見でした。この研究は、超伝導や強磁性の転移温度と、アンダーソン局在との関係についても、新しい理解をもたらしました。

超伝導の転移温度が、不規則性によって低下すること、また、強磁性の転移温度は逆に上昇することを理論的に予言したのです。とくに超伝導の転移温度については、 それまで『アンダーソンの定理』というものがあって、変わらないとされていただけに、まさに、常識を覆すものでした。しかしこの予言は、 実験によって、見事に証明されたのです。

※所属名および役職は、受賞時のものです。