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日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者

受賞者紹介


広瀬 全孝(ひろせ・まさたか)
昭和14年9月30日生まれ
広島大学工学部 教授


広瀬全孝氏の顔写真

  1. 昭和 45年

    名古屋大学大学院工学研究科修了

  2. 昭和 45年

    広島大学工学部・講師

  3. 昭和 50年

    広島大学工学部・助教授

  4. 昭和 57年

    広島大学工学部・教授

  5. 昭和 61年

    広島大学集積化システム研究所
    センター長(併任)

  6. 専門:

    半導体工学一般
    とくに励起ビームを用いた半導体プロセスとその基礎過程、表面・界面物性

  7. 著書:

    『アモルファス半導体の基礎』
    (オーム社、1982年)
    『Semiconductor and Semimetals』
    (Academic Press、1984年、共著)

贈賞の理由


アモルファス半導体の研究
結晶半導体は、LSIに代表されるように、現代のエレクトロニクスを支える基盤材料となっています。こうした結晶材料では、原子が規則正しい配列をしていることが大きな特徴です。
一方、物質を構成する原子の種類はほとんど同じなのに、原子が不規則に並んでいる半導体材料があります。それがアモルファス半導体で、太陽電池や液晶テレビの薄膜トランジスタなどに、広く使われています。

このような状況の中で、第三の半導体とも呼ぶべきものが、江崎玲於奈博士たちによって作られました。それが、半導体超格子です。これは、二種類の物質を、何層も、くり返し重ね合わせたもので、物質の組み合わせ方によって望ましい特性をもった新物質を人工的に作ることができるため、光デバイス用材料などとして、その将来が期待されています。
しかし、この半導体超格子は、結晶材料を前提としているので、格子間隔(格子定数)が大きく異なる物質の組み合わせは、不可能でした。

そこで、広瀬教授は、アモルファス材料の不規則な配列をしている原子の間の距離にも、秩序性があることに着目して、アモルファス半導体の超薄膜で超格子を構成し、それが超格子物質の特徴である「量子準位」を形成していることを明らかにしました。これは世界で初めてのことです。

つまり、不規則な原子配列をもつアモルファスと、規則正しく配列した超格子という、一見矛盾するように見える2つの性質が組み合わされて、全く新しい特性が引き出される可能性が示されたのです。
そして、この成果から、アモルファス材料の新しい物性が明らかになり、結晶格子では実現できなかった物質の組み合わせで超格子ができるようになりました。また、結晶に比べて大面積のものを作りやすいという利点もあります。

この独創的な研究によって、アモルファスの新しい分野が開け、材料科学の分野も大きく広がったのです。

※所属名および役職は、受賞時のものです。