日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者
受賞者紹介
川口 正美(かわぐち・まさみ)
昭和24年4月20日生まれ
三重大学工学部 助手
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昭和 48年
名古屋工業大学工学部
繊維高分子工学科卒業 -
昭和 50年
名古屋工業大学工学研究科
繊維高分子専攻修了 -
昭和 50年
三重大学・助手
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昭和 59年
工学博士(名古屋大学)
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昭和 59年
~61年ウィスコンシン大学化学科博士研究員
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専門:
高分子物理化学
高分子吸着、高分子膜や単分子膜など2次元における高分子の挙動 -
著書:
『高分子の化学』
(共立出版、1985年、共訳)
贈賞の理由
高分子吸着の研究
高分子吸着の研究溶液中の高分子が、固体の表面にどのように吸着するのかという問題は、高分子がさまざまな空間的形をとりうること、また、それを調べる有効な測定方法がないことから、大変むずかしい研究テーマです。実質的には、ほとんど何もわかっていません。
しかし、この問題は、きわめて重要な研究です。高分子はどんな形になって吸着するのか、溶液中の構造とどう違うのか、といったことがわかれば、化学現象の本質的な理解へとつながっていきます。また、現在、医用材料分野で問題になっている抗血栓性材料の開発など、応用技術の分野で、強力な指針を与えることにもなります。
この困難なテーマに、川口助手は、あえて挑戦しました。そして、確かに簡単な系ではありますが、一石を投じたといえます。
川口助手のテーマは「吸着層の厚さは、どのような条件のときにどれくらいになるか」というものです。これについての理論は、いろいろ提出されてきましたが、その正否を実験的に証明することは、これまで行なわれてきませんでした。
川口助手は、分子量が吸着層の厚さを決めているのではないかと考え、エリプソメトリー(偏光解析法)という手法を駆使し、吸着層の厚さが分子量によってどう変わるかを、厳密に測定しました。
その結果、高分子と溶媒間の斥力と引力が打ち消されるシータ温度では、厚さは分子量の平方根に比例し、また、良溶媒系では、分子量の0.4乗に比例することを、世界に先駆けて発見しました。
しかも、この0.4乗という指数が、ふつう考えられるような熱力学的な理論によってではなく、高分子物理化学におけるドゥ・ジャーンのスケーリング則によって記述できることも、あわせて示しました。
川口助手の仕事は、この分野の研究に新しい視点をもたらしたといえます。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
