本文へジャンプ

日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者

受賞者紹介


湯浅 太一(ゆあさ・たいいち)
昭和27年8月7日生まれ
豊橋技術科学大学 講師


湯浅太一氏の顔写真

  1. 昭和 52年

    京都大学理学部数学科卒業

  2. 昭和 52年

    京都大学理学部修士課程進学

  3. 昭和 54年

    京都大学理学部博士課程進学

  4. 昭和 56年

    南カリフォルニア大学博士課程留学

  5. 昭和 57年

    京都大学数理解析研究所・助手

  6. 昭和 62年

    理学博士

  7. 昭和 62年

    豊橋技術科学大学情報工学系・講師

  8. 専門:

    コンピュータ・サイエンス
    ハード、ソフトも含めた汎用の高並列計算機

  9. 著書:

    『Common Lisp入門』
    (萩谷昌己氏との共著、岩波書店)
    この本は『lntroduction to Common Lisp』(Academic Press)として英訳されている。

贈賞の理由


Kyoto Common Lispの開発と実時間ごみ集め算法の研究
情報社会の進展とともに、コンピュータの役割はますます重要になっていますが、人工知能は、ソフトウェアの分野で今後とくに大切なテーマです。
人工知能開発で一番の基本になるのがプログラミング言語です。この言語としては現在、PrologとLispが広く使われています。とくにLispは比較的古い言語で、すでにさまざまな「方言」が作られていますが、その中で、いま世界中の研究者に盛んに使われていて、いわば標準となっているのがCommon Lispであり、それをいち早く実現したのがKyoto Common Lispなのです。

この開発者の1人が湯浅講師です。世界の人々に人工知能開発のための使いやすい道具を提供した功績は、特筆されるべきでしょう。
また、湯浅講師は、Lispなどの「リスト処理」が本質的にもっている欠点を克服するための優れた研究も行いました。それが「実時間ごみ集め算法」です。

リスト処理では、リスト・セルが単位となっており、使用可能なセルがなくなると、プログラムは実行をいったん止めて、不要になったリスト・セルをかき集めます。この処理が「ごみ集め」です。このような操作があると、実時間(リアルタイム)処理ができません。
そこで、多くの研究者が、プログラムの実行と並行して「ごみ集め」を行う方法を、いろいろ提案してきました。ところが、そうした算法(アルゴリズム)はすべて、専用のブロセッサやマイクロコード・レベルの並列性を前提にしており、汎用計算機向きではありませんでした。

湯浅講師は、この問題に対して、汎用計算機に適したアルゴリズムを発見しました。それは、使用頻度の高いcarとcdrという操作に全く影響を与えないで、 分割処理をまちがいなく実行させる、というアイデアに基づいています。これによって、汎用計算機でもLispのリアルタイム処理が可能になり、 人工知能の研究はますます加速されることでしょう。

※所属名および役職は、受賞時のものです。