日本IBM科学賞第2回(1988年)受賞者
受賞者紹介
北澤 宏一(きたざわ・こういち)
昭和18年4月7日生まれ
東京大学工学部 教授

昭和 41年
東京大学理学部化学科卒業
昭和 43年
東京大学工学系大学院修士課程修了
昭和 44年
マサチューセッツ工科大学大学院留学
昭和 47年
マサチューセッツ工科大学客員研究員
昭和 48年
東京大学工学部・助手
昭和 54年
東京大学工学部・講師
昭和 57年
東京大学工学部・助教授
昭和 62年
東京大学工学部・教授
専門:
酸化物超伝導体
著書:
『電子材料の化学』
(丸善)
『セラミックス材料科学入門』
(内田老鶴圃新社)
内田 慎一(うちだ・しんいち)
昭和23年8月4日生まれ
東京大学工学部 助教授

昭和 46年
東京大学工学部物理工学科卒業
昭和 51年
東京大学工学系大学院博士課程修了
昭和 51年
東京大学工学部・助手
昭和 56年
マックス・プランク研究所客員研究員
昭和 61年
東京大学工学部・講師
昭和 62年
東京大学工学部・助教授
専門:
高温超伝導体の物性
高木 英典(たかぎ・ひでのり)
昭和36年3月20日生まれ
東京大学工学部 助手

昭和 58年
東京大学工学部物理工学科卒業
昭和 60年
東京大学工学系大学院修士課程修了
昭和 61年
東京大学工学部・助手
専門:
酸化物超伝導体の物性
贈賞の理由
高温超伝導体における、超伝導性の実証と、超伝導物質の同定
1986年4月、IBMチューリッヒ研究所のベドノルツ、ミューラーの両博士は、新しい超伝導体の発見を伝える論文を、発表しました。その後10月に、マイスナー効果および超伝導層の決定を報告し、この物質の超伝導性を確立しました。ただし、国際的に認知を得るにはいたりませんでした。この最初の論文にいち早く着目し、北澤教授、内田助教授、高木助手の3人は、田中昭二教授と協力して、両博士の発見したランタン・バリウム・銅酸化物が新しい超伝導体であることを独自に示し、その後の異常ともいえる超伝導フィーバーのきっかけをつくりました。
このグループは、第1の論文で、電気抵抗ゼロの測定、マイスナー効果の確認、その物質の組成解析という総合的な方法で、ベドノルツ、ミューラー両博士のランタン・バリウム・銅酸化物が超伝導体であることを、誰にでもわかる一般的な形で証明しました。この仕事は、高温超伝導体研究の「実質的な発端」になり、その後のイットリウム・バリウム・銅酸化物による液体窒素温度の実現、ビスマス系超伝導体による絶対温度100度以上での超伝導性の発見へとつながっていきました。
続いて発表した第2の論文では、IBMチューリッヒ研究所のその後の経緯とは独立に、ランタン・バリウム・銅酸化物系物質のうち、(La1-xBax)2CuO4という化学式で記述できる物質が高温で超伝導現象を示し、K2NiF4型ペロブスカイトに似た構造をもっていることをつきとめました。
このとき、直流磁化率によるマイスナー効果測定と粉末X線回折とを組み合わせて、結晶構造と超伝導性との関係を詳細に調べましたが、この方法は、複雑な構造をもつ酸化物超伝導体を探索する場合、最も有効な方法として、世界的に認められているものです。イットリウム系、ビスマス・ストロンチウム系の超伝導体発見でも、この確認方法が使われました。
この2つの論文を端緒として、彼らは、その後1年半の間に高温超伝導体に関する論文を約45編発表し、高温超伝導体研究の基礎を構築するために大きく貢献しました。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
