日本IBM科学賞第11回(1997年)受賞者
受賞者紹介
広井 善二(ひろい・ぜんじ)
昭和35年11月23日生まれ
京都大学化学研究所 助教授
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昭和 58年
京都大学理学部卒業
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昭和 62年
日本学術振興会特別研究員
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昭和 62年
京都大学大学院理学研究科
博士後期課程中途退学 -
昭和 62年
京都大学化学研究所・文部技官
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平成 元年
京都大学理学博士学位取得
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平成 4年
京都大学化学研究所・助手
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平成 5年
科学技術庁無機材質研究所
客員研究官併任 -
平成 7年
京都大学化学研究所・助教授
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平成 7年
アントワープ大学・日本学術振興会
特定国派遣研究者 -
専門:
固体化学
贈賞の理由
銅酸化物超伝導体およびスピンラダー化合物の高圧合成と物性
近年盛んに研究されている高温超伝導体の重要な要素は、銅と酸素である。銅と酸素によって構成される二次元面が超伝導にとって本質的であると考えられている。一方、銅と酸素を直線上に並べた、いわゆる一次元鎖は非常に特異な磁性を示すことが理論的に予言され、実験的にも確認された。
このような、一次元系と二次元系を結ぶものとして、一次元鎖を二本、三本と並べたものが考えられる。実際、このような系も理論的に考察され、奇数本の一次元鎖を並べたものでは最低励起エネルギーが無限小であり、偶数本の場合には有限であることが予言されていた。広井助教授は、このような、いわゆるラダー(梯子)型の物質の合成に成功し、磁化測定、核磁気共鳴、中性子散乱、あるいはミュー中間子を用いた測定により、その性質が理論の予言通りであることを世界で初めて確かめた。最低励起エネルギーが有限であることは、銅と酸素の二次元面をもつ高温超伝導体でも観測されており、高温超伝導のメカニズムとの関連が注目されている。実際、二本鎖の物質の超伝導は、後になって他のグループによって確認された。
広井助教授の用いる方法は、数万気圧の圧力下における高圧合成法である。この方法によれば、常圧下では不安定な構造や組成を持つ化合物も安定化され、合成することが出来る。広井助教授は、上に述べたラダー型の物質以外に、いくつかの新しい種類の高温超伝導体の合成にも成功した。この中で特筆すべきものは、従来の銅酸化物の酸素の一部を塩素で置き換えたタイプのものである。藤森助教授等の研究により、最近では銅よりもむしろ酸素が超伝導に本質的な役割を果たしているとの見解が広まっていることを考えると、このような、塩素を含む超伝導体の発見は、超伝導の発現のメカニズム、特に酸素の果たす役割に関して大きなヒントを与えるものである。
以上のように、広井助教授は高圧合成法を駆使して次々と新しい物質を合成し、低次元系の性質及び高温超伝導との関連を調べることにより、その理解に大きく貢献したことが受賞の理由である。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
