日本IBM科学賞第13回(1999年)受賞者
受賞者紹介
松本 眞(まつもと・まこと)
昭和40年2月18日生まれ
九州大学大学院数理学研究科 助教授

昭和 62年
東京大学理学部情報科学科卒業
平成 2年
京都大学数理解析研究所・助手
平成 7年
慶應義塾大学理工学部・専任講師
平成 9年
ドイツ マックス プランク数学研究所
滞在研究員併任平成 10年
フランス ニース大学数学科招聘講師併任
慶應義塾大学理工学部助教授平成 11年
九州大学大学院数理学研究科助教授
アメリカMSRI数理科学研究所滞在研究員併任専門:
疑似乱数、数論、
組み合わせ論、トポロジー
贈賞の理由
超高次元均等分布性を持つ高速疑似乱数発生法とその並列化
コンピュータによる疑似乱数の発生法は、本質的に不確定性を含んだ現象のシミュレーションや暗号乱数を使ったコンピュータ通
信のためには不可欠の基礎である。特に、物理や金融現象などのモンテカルロシミュレーションでは、極めて大規模に乱数が消費され、高品質の乱数を高速に発生させることができなければならない。しかし、これまでの方法では、物理のIsing
Modelシミュレーションなどにおいて有意の誤差を生むことが報告され、その理論的欠陥が指摘されている。疑似乱数の研究とその利用
は混沌の歴史をたどってきたといえよう。
松本助教授は、第24番目のメルセンヌ素数 219937-1を周期とするMersenneTwister (MT)という疑似乱数発生アルゴリズム創り出した。MTは、これまでの疑似乱数発生法にあった様々の欠点を一掃し、メモリ効率、周期の長さ、乱数性、速度のすべての面
で画期的なアルゴリズムとして全世界から注目されている。MTの優れた乱数性は緻密な数論に基づいて証明されており、その実装は現代のコンピュータアーキテクチャを有効に反映したものとして実現されている。さらにMTを利用して並列乱数発生スキーム
Dynamic Creator を開発し、超並列環境で高品質の疑似乱数を効率のよく発生させることも可能にした。
MTのアルゴリズムは様々の言語で実装されインターネットを通して配布され、物理、金融をはじめ世界中の極めて幅広い分野のユーザーに急速に広がっていき、高い評価を得ている。その一つとして、フェルミ研究所では、大きな周期性をもつ疑似乱数発生法としては現在最高のものであろうと評価されている。
MTは、数論的概念とコンピュータアーキテクチャが美しく融合した疑似乱数発生法の尤物であり、世界標準の疑似乱数発生アルゴリズムとして位
置付けられるものである。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
