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日本IBM科学賞 第16回(2002年)受賞者

受賞者紹介
八島 栄次
(やしま えいじ)
昭和33年12月25日生まれ
名古屋大学大学院工学研究科物質制御工学専攻 教授


八島栄次氏の顔写真

  1. 昭和57年

    大阪大学基礎工学部合成化学科卒業

  2. 昭和59年

    大阪大学大学院基礎工学研究科
    化学系専攻前期課程修了

  3. 昭和61年

    大阪大学大学院基礎工学研究科
    化学系専攻後期課程中退

  4. 昭和61年

    鹿児島大学工学部応用化学科・助手

  5. 昭和63年

    マサチューセッツ大学博士研究員

  6. 平成3年

    名古屋大学工学部応用化学科・助手

  7. 平成4年

    名古屋大学工学部応用化学科・講師

  8. 平成7年

    名古屋大学工学部応用化学科・助教授

  9. 平成10年

    名古屋大学大学院工学研究科
    物質制御工学専攻・教授

  10. 平成14年

    科学技術振興事業団
    戦略的創造研究推進事業(ERATO)
    「八島超構造らせん高分子プロジェクト」 研究総括

  11. 【専門】

    高分子科学

贈賞の理由

高分子のらせん構造制御と機能に関する研究

核酸やタンパク質などの生体高分子はいずれも光学活性で、一方向巻きのらせん構造を形成し、その機能発現と深く関わっている。八島教授は、らせん高分子の構築とその片寄り(右巻きと左巻き)の制御に「動的」という発想をはじめて導入し、らせん高分子を自由自在につくるための新しい概念を創出するとともに、らせん構造の記憶や自己修復・反転現象の発見など、高分子や超分子化学の分野において傑出した業績をあげている。

八島教授は、官能基を有する光学不活性な高分子が、光学活性な低分子との相互作用を介して一方向巻きのらせん構造をとり、その結果、高分子主鎖にらせん構造特有の円二色性吸収が発現することを見い出した。さらに、誘起された一方向巻きのらせん構造が、光学活性体を完全に取り除き光学不活性な化合物で置換後も、そのらせんの形を「記憶」として長時間保持できるだけでなく「自己修復」するという極めて特異な現象を発見した。

また、八島教授は、らせん誘起の考え方をさらに発展させ、フラーレンを一方向巻きのらせん状に配列させたらせん高分子の合成に初めて成功するとともに、らせんの向きを外部の刺激、例えば分子の形やキラリティーの違いに応じて自由自在に変えることにも成功している。さらに、独自のらせん誘起の概念を水中へと展開し、これまで実現が困難とされてきた有機溶媒を全く使用しない完全水中での官能基を有するポリアセチレンやポリイソシアニド誘導体の直接合成と生成高分子への水中でのらせん誘起を達成した。生体高分子が水中で示す高度の分子認識システムを模倣したこの成果は、水中で機能する人工らせん高分子の初めての例を提供しただけでなく、アミノ酸をはじめとする多くの生体関連物質や医薬品の水中でのキラリティー識別を可能にした。

以上のように、八島教授の研究は、らせん構造の創製とその発現・応用において極めて独創的であり、その成果は高分子化学、超分子化学、材料化学などの分野に新しい概念と研究領域を開拓したものであり、本賞を贈るにふさわしいものである。

※所属名および役職は、受賞時のものです。

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