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日本IBM科学賞 第17回(2003年)受賞者

受賞者紹介
田中 雅明
(たなか まさあき)
昭和36年5月23日生まれ
東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻 助教授


田中雅明氏の顔写真

  1. 昭和59年

    東京大学工学部電子工学科卒業

  2. 昭和61年

    東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程修了

  3. 平成元年

    東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了(工学博士)

  4. 平成元年

    東京大学工学部電子工学科・助手

  5. 平成2年

    東京大学工学部電気工学科・講師

  6. 平成4年~
    平成6年

    米国ベル通信研究所(Bell Communications Research) 客員研究員

  7. 平成6年

    東京大学工学部電子情報工学科・助教授

  8. 平成7年~
    現在

    同大学院工学系研究科電子工学専攻 助教授

  9. 平成7年~
    平成10年

    科学技術振興事業団さきがけ研究21 「場と反応」領域研究者を兼務

  10. 平成13年~
    現在

    科学技術振興事業団さきがけ研究21 「光と制御」領域研究者を兼務

  11. 【専門】

    電子物性・デバイス工学、スピンエレクトロニクス

贈賞の理由

磁性体/半導体ヘテロ構造のエピタキシャル成長とスピンエレクトロニクスへの展開

スピンエレクトロニクスという大きな技術分野が今まさに開花しようとしている。これは、能動デバイスの動作に、これまでかかわってこなかった“スピン”という物理量を積極的に利用して、新しいデバイス体系を構築しようとするものである。この新分野の誕生と発展は田中氏の10年以上に渡る磁性体・半導体へテロ結晶成長の研究におうところが極めて大きい。

田中氏は、「磁性・スピン」と「半導体」の両者の機能を合わせ持つヘテロ構造の創出をこころざし、半導体/金属、半導体/強磁性体などの複合へテロ構造のエピタキシャル成長技術を研究・開発して、原子レベルで急峻性な界面を有する良質の単結晶を実現した。この成功は、田中氏の開発したテンプレート法と呼ばれる独特の手法に依拠しており、この方法により、結晶構造、格子定数、化学結合、電子構造等といった基本的物性の異なる物質間での高品質へテロエピタキシャル成長が実現され、デバイス応用の可能性が飛躍的に拡大化した。

より具体的に述べると、田中氏は、テンプレート法を用いて強磁性金属間化合物(MnGa,MaAs)/半導体の結晶成長を実現するとともに、これを用いて不揮発性メモリの原理的動作を室温で確認した。その後、この技術を発展させて、強磁性金属(MnAs)/半導体(GaAs)/強磁性金属(MnAs)からなるヘテロ多層構造を実現し、スピンバブル効果やトンネル磁気抵抗効果を室温で観測するなどの先駆的な成果をあげた。更に、強磁性混晶半導体GaMnAs薄膜ヘテロ構造の作製にも成功し、III-V族磁性半導体としては初めて量子効果を観測すると共に、GaMnAsをベースとした強磁性トンネル接合素子を作製し、極めて大きなトンネル磁気抵抗比(75%)を得、スピンデバイス分野の研究者達に大きなインパクトを与えた。また、III-V族強磁性混晶半導体のキュリー温度として従来報告されている最高値110Kを大幅に越える172Kを達成し、スピンエレクトロニクスデバイス実現への大きな一歩を進めた。更に、III-V族ベースの磁性半導体を高温でアニールすることによって、GaAsのマトリクス中に強磁性金属MnAsのナノ微粒子が埋め込まれた構造およびそのヘテロ構造を形成し、室温での大きな磁気光学効果を観測して磁気光学デバイスへの指針を与えた。

以上のように、田中氏の研究は、スピンエレクトロニクスの研究を発展させる基盤となる結晶成長において極めて独創的であり、その成果は本賞を贈るにふさわしいものである。

※所属名および役職は、受賞時のものです。

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