日本IBM科学賞 第18回(2004年)受賞者
受賞者紹介
五十嵐 健夫(いがらし たけお)
昭和48年3月13日生まれ
東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 講師
-
平成7年
東京大学工学部計数工学科卒業
-
平成9年
東京大学大学院工学系研究科
情報工学専攻修士課程終了 -
平成12年
東京大学大学院工学系研究科
情報工学専攻博士課程終了(工学博士)
ブラウン大学・博士研究員 -
平成14年
東京大学大学院情報理工学研究科
コンピュータ科学専攻・講師 -
【専門】
ユーザインタフェース・コンピュータグラフィクス
贈賞の理由
スケッチ入力によるユーザインタフェースに関する研究
計算機の高機能化と一般化に伴い、より使いやすいユーザインタフェースが求められている。現在の計算機インタフェースは、主にボタンやメニューを用いたグラフィカルインタフェースが主流であるが、今後は多様な計算機利用形態をサポートするためにより先進的なインタフェースが求められている。五十嵐氏は、ユーザインタフェースに関する分野において世界的に活躍している研究者である。
五十嵐氏の手掛けた数々の革新的なユーザインタフェースの中でも、ペンを用いて入力された二次元のスケッチから三次元モデルを瞬時に生成するインタフェースの開発はこの分野に多大な影響を与えた。このインタフェースは、ペン入力の技術、三次元モデルとその表示に関する技術、Java言語におけるプログラミング技術と、五十嵐氏の持つユーザインタフェースのセンスが、ぎりぎりの限界点において統合されてはじめて可能となったものである。このようなインタフェースが可能であることを世に示したこと自体が五十嵐氏の大きな業績である。
技法的には、計算幾何学のコンピュータグラフィクスへの応用として、五十嵐氏の成果は顕著である。五十嵐氏は、二次元の閉曲線から、それを投影図の境界として持つ自然な三次元図形の自動類推という非常にインテリジェントな作業を、最新の計算幾何学に由来する形状処理手法にオリジナルなメッシュ処理のアイデアを加えて実現している。これは計算幾何学とコンピュータグラフィクスの新しい架け橋であり、世界的に多くの研究者により新しい分野開拓として注目された成果である。五十嵐氏の手法は、モデルの作成だけでなく三次元モデルの多くの操作に対して有効であり、三次元インタフェースの標準的な手法として長く後世に残るものである。特に、博士課程学生の大和田氏と共同で行っている、内部構造のある三次元物体のモデリングに関する研究においては、内部構造の張り付けやモデル断面の表示に対して五十嵐氏のインタフェースが活用され、大きな成果が得られている。
五十嵐氏はスケッチ入力以外にも各種の革新的なインタフェースを提案してきており、その成果はコンピュータグラフィクス関連で最大の国際会議であるSIGGRAPHにおいてインパクトペーパーに選ばれるなど複数の国際学会においてベストペーパー賞を受賞し、更にThe New York TimesやBBCなどのメディアでも広く紹介されるなど、国際的に高く評価されており、日本IBM科学賞を贈るにふさわしいものである。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
