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日本IBM科学賞 第18回(2004年)受賞者

受賞者紹介
岩佐 義宏
(いわさ よしひろ)
昭和33年12月12日生まれ
東北大学金属材料研究所 教授


岩佐義宏氏の顔写真

  1. 昭和56年

    東京大学工学部物理工学科卒業

  2. 昭和61年

    東京大学大学院工学系研究科
    物理工学専門課程博士課程修了(工学博士)

  3. 昭和61年

    東京大学工学部物理工学科・助手

  4. 平成3年

    東京大学工学部物理工学科・講師

  5. 平成5年

    AT&Tベル研究所・客員研究員

  6. 平成6年

    北陸先端科学技術大学院大学
    材料科学研究科物性科学専攻・助教授

  7. 平成13年

    東北大学金属材料研究所・教授

  8. 平成13年

    科学技術振興機構
    戦略的創造研究推進事業・研究代表者

  9. 【専門】

    固体物理学

贈賞の理由

ナノカーボン材料の開拓と物性機能の研究

炭素原子60個からなるフラーレンC60や、炭素原子が円筒状に結合したカーボンナノチューブを中心とするナノカーボン材料は、その特殊な形状に由来する物性を発現する新物質として、あるいはナノテクノロジーの基幹素材として各方面から注目されている。このような特徴ある新物質の特性を引き出し機能化につなげることは、固体物理学者に課せられた一つの大きな研究課題である。その流れの中で、岩佐義宏氏は、ナノカーボン材料をベースにした化合物や誘導体の探索、合成、超構造などの作製などによって、これらの素材がもつ特性を反映した物性物理の新側面を切り開くことにより、以下のような業績をあげた。

C60は、分子間相互作用の小さいファンデルワールス結晶を形成することが知られていたが、岩佐氏は、この固体に高温下で高圧力を加えることによって、分子が相互につながった全く新しい共有結合固体、C60ポリマーが形成されることを発見した。このポリマー化現象は、フラーレンを基点に非常に多彩な炭素のネットワーク構造が存在することを明らかにし、純炭素固体の相図の理解を深めた。さらに、これらのフラーレン化合物が低次元電子物性という新しい側面をもたらすとともに、レジスト材料、強磁性材料、さらには超硬炭素材料などの応用へと発展している。

一方、アルカリ金属とフラーレンC60を3:1の比で作製した化合物は超伝導を示すことが知られ、この電子状態はバンド理論によって理解できると考えられていた。岩佐氏は、それに中性のアンモニア分子を導入することにより、C60の伝導電子が局在化し、反強磁性を伴った絶縁体へ転移することを発見した。これによって、フラーレン化合物が、バンド描像が随所で破綻する強相関電子系であることを示すと同時に、高温超伝導体に対応する相図を作成した。さらに、バンドフィリングや構造を系統的に変化させながらいくつかのC60超伝導体の発見をし、C60固体の俯瞰的な物理描像を提案した。

以上の研究によって、岩佐氏はC60分子の特徴的な形状に起因する固体物性の世界を切り開くとともに、最近では分子形状の特徴を生かしたナノカーボンの複合物質の開発と物性研究へと発展しつつある。このように、氏は、フラーレンを中心とするナノカーボン材料の開拓と物性物理の発展において先駆的且つ本質的な貢献を果たしており、日本IBM科学賞を贈るにふさわしいものである。

※所属名および役職は、受賞時のものです。

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