受賞者紹介
林 正人 (はやし まさひと)
1971年12月28日生まれ
東北大学 大学院情報科学研究科 准教授

1994年
京都大学理学部卒業(数学および物理学)
1996年
京都大学大学院 理学研究科 数学数理解析専攻(数学系)修士課程修了
1998年~2000年
日本学術振興会 特別研究員
1999年
京都大学大学院 理学研究科 数学数理解析専攻(数学系)博士後期課程 修了
2000年~2003年
理化学研究所 脳科学総合研究センター 脳数理研究チーム 研究員
2003年~2006年
ERATO今井量子計算機構プロジェクト 技術参事
2004年~2007年
東京大学大学院情報理工学系研究科 21世紀COE「情報科学技術戦略コア」超ロバスト計算原理プロジェクト 特任助教授(兼務)
2006年~2007年
ERATO-SORST量子情報システムアーキテクチャ グループリーダー
2007年4月~2007年8月
東北大学 大学院情報科学研究科 客員准教授(兼任)
2007年
東北大学 大学院情報科学研究科 准教授
2009年
Visiting Research Associate Professor,Centre for Quantum Technologies,National University of Singapore(兼任)
専門:
量子情報理論
※所属先・役職は受賞当時のものです。
贈賞の理由
量子情報におけるユニバーサルプロトコル理論の構築と量子暗号への応用
情報処理に関するユニバーサル性(=情報源や通信路の特性を事前に知る必要がない性質)の概念はLZ符号やモデル選択基準など現代情報理論の根幹をなす成果を数多く生み出してきた。事前の観測が状態の破壊につながる量子系の情報処理ではこの性質は古典系以上に重要である。ただし、物理量が非可換演算子で表現される量子系に古典系の理論を直接適用することはできない。そのため、量子情報に関するユニバーサル性を備えた情報処理方式(=量子ユニバーサルプロトコル)は従来ほとんど明らかにされていなかった。
これに対し、林氏は、群の表現論に基づいて情報理論的な解析に適した表現を量子系に導入することにより、古典情報での理論を量子情報へ拡張することに成功した。これにより、データ圧縮、誤り訂正、量子もつれ状態生成など基本的な情報処理に対して量子ユニバーサルプロトコルを統一的に与えることが可能になった。加えて、林氏は現在最も有望視されている量子情報の応用技術である量子暗号(鍵配送方式)の解析にこの理論を転用し、世界で初めて、実際的量子暗号システムの無条件安全性を示した。
林氏の業績は、量子情報の分野において、理論/応用の両面で画期的かつ重要な展開をもたらしており、日本IBM科学賞にふさわしいと認められる。
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