
タブの始まり
- 次世代アプリケーション基盤での人間系プロセス・コントロールの実現
- SOA基盤の中でのワークフロー製品の活用ソリューション
- ケース1 : ワークフロー製品とSAP ERPとのSOA連携
- ケース2 : SOA基盤の中でプロセス制御エンジンとしてのワークフロー製品を利用
- ワークフロー製品の内部統制対応機能
- 内部統制対応にワークフロー製品を活用するメリット
- 人間系プロセス制御と帳票出力サービス SOA連携ソリューション
- SOA対応した帳票ツールのソリューションイメージ
内部統制にも対応したワークフロー製品を人間系プロセス制御エンジンとしてSOA基盤の中での活用例をご紹介します。
SOA対応した帳票製品とワークフロー製品がSOA連携させるソリューションをご紹介します。
次世代アプリケーション基盤での人間系プロセス・コントロールの実現
ビジネス・プロセス制御は、SOA関連技術で重要な役割を持ちます。この機能を実現するBusiness Process Management(BPM)製品は、分散するシステム機能をWebサービスなどを通して呼び出し、一連のビジネス・プロセスとして互いに協調して動作する制御機能を持ちます。
このようにBPM製品はSOAにおける中心的な役割を果たしますが、人間系のワークフロー(Human Task)の実現にはまだ苦手な領域が残っています。特に、日本企業における申請・承認ワークフローの要件には標準機能での対応が難しく、Java開発などでBPMツールの不足する機能を補う必要がある物もあります。例えば、一括承認機能、動的な承認経路の追加・削除、添付書類の参照権限設定機能、回付先重複時の削除、既存伝票データからのコピー機能、時間切れによる自動承認機能などが例として挙げられます。
人間系プロセス制御に求められる要件例については、図1をご覧ください。
図1 日本企業における申請・承認ワークフローの要件例
- 回付経路の自動判定
- 動的な経路追加・削除
- 並列経路への対応
- 回付先重複時の削除
- ドラフト保存機能
- 既存データからのCOPY機能
- 回付状況の可視化
- 差し戻し機能
- 代理承認・代理申請機能
- 一括承認機能
- 根回し機能
- 期限設定による督促機能
- 時間切れによる自動承認機能
- 添付書類の参照権限設定機能
- 承認者の意見記入機能
- 承認権限の委譲
- 組織変更機能
- メール通知の集約機能(個別登録による)
また、人間系プロセスには、ビジネス上の意思決定を行う際の職務権限の統制や処理履歴の記録など、内部統制上のトレーサビリティーの確保も求められています。このように現在多くの日本企業で必要要件として挙げられるものの実現に対しては、BPM製品の標準機能のみでは必ずしも要件に適合しないことがあります。
ワークフロー製品とBPM製品の人間系プロセスにおける特徴については、表1をご覧ください。
表1 人間系プロセス制御機能を実現する製品例の表
| 製品概要 | 特徴 | |
|---|---|---|
| 人間系プロセス制御製品 SAP NetWeaver Guided Procedure |
人間系のプロセス連携コンポジットアプリケーション 開発機能を持つNetWeaver Portal上のアプリケーション |
・複雑なワークフロー制御の実現は困難 ・開発生産性、メンテナンス性に欠ける |
| BPM製品 SAP NetWeaver BPM(Galaxy) 2009初頭リリース予定 |
BPMエンジンとして、複数システムを跨る一連のビジネス・プロセスの実行・制御が可能な製品 システム系プロセス制御機能、および、人間系プロセス制御を管理可能 |
・BPMNによるモデリングにより人間系・システム系の一連のビジネス・プロセスの定義・実行・制御が可能 ・プロセス途中の人間系アクティビティーをWebServiceで公開不可(2008/9月時点の情報) (ヒューマンタスクUIやプロセス開始トリガーはWebDynpro-JavaによるAPI経由のみ) ・バックエンド・システムとの連携はWebServiceのみ |
| ワークフロー製品 IBM FormWave for WebSphere® |
帳票回覧型のワークフロー製品 あらかじめ決められた経路定義に従ってドキュメントの決裁処理を行う(経路途中での動的な閉路変更にも対応可能) |
・豊富な実績を持つ、ワークフロー統合パッケージ ・WebService連携機能を備え、SOA基盤の中のワークフローエンジンとして、UI選択の自由度もあり、既存の紙ベースの帳票から申請書を自動で生成する機能を有し、開発生産性が高い ・日本固有の複雑な申請・承認ワークフローに強み(後述) ・内部統制対応機能も備える |
| BPM製品 IBM WebSphere Process Server |
BPMエンジンとして、複数システムを跨る一連のビジネス・プロセスの実行・制御が可能な製品 システム系プロセス制御機能、および、人間系プロセス制御を管理可能 別製品(Business Monitor)と組み合わせてBusiness Activity Monitor(BAM)機能を提供 |
・人間系プロセスとシステム系プロセスを一つのBPELとして定義・実行・制御が可能(WebSphere Integration Developerを利用) ※WebSphere Business ModelerにてBPMNモデルでデザインしたビジネス・プロセスをWebSphere Integration Developerに読み込み可能 ・BPELを基にしたBPMエンジンとしての位置づけのため、複雑なワークフロー要件の実現には開発が必要な場合がある ・人間系ワークフローを実現する製品としての歴史は浅い |
2008年9月においてSAP社、IBM社から出荷、または、発表されている情報をもとに作成。
一方、従来から存在するワークフロー製品は、日本企業に求められるワークフロー機能を備えつつ、SOA対応によるシステム間連携の柔軟性確保などの機能追加が図られています。
ワークフロー製品の内部統制対応の具体例については、後述します。
日本固有の申請・承認ワークフロー要件にも標準機能で対応できるワークフロー製品を、SOAの考えのもとでアプリケーション基盤に組み入れることで、法令順守や企業独自のこだわりを実現しつつ、柔軟な変化対応も可能なシステム基盤の実現が可能となります。
SOA基盤の中でのワークフロー製品の活用ソリューション

図2 人間系プロセス制御の実現
パターンのイメージ図 拡大図

図3 購買申請業務シナリオの
概要イメージ図
ワークフロー製品をSOAの基盤の中で適用した具体的なシナリオとして、企業内の購買プロセスを例としてご紹介します。
申請者による購買申請の起票、承認者による承認から最終的にERPに購買依頼伝票が作成されるまでのビジネス・プロセスを題材にした活用例となります。具体的な製品としては、ワークフロー製品であるIBM FormWave for WebSphereとSAP ERP (IBM外のWebサイトへ) がSOA技術を用いて連携される例を2つのケース(ケース1、ケース2)を用いてご紹介します。
どちらのケースにおいても、人間の意思決定に至る複雑なビジネス・プロセスはワークフロー製品にて実行・制御し、最終的なビジネス・データはERPに購買依頼伝票として登録されます。
ケース1と2の違いは、ワークフロー製品のSOA基盤への統合度の違いです。ケース2はよりSOA基盤への統合度が高くなっています。
ケース1と2の概要説明、および、具体例としての購買申請のシナリオについては、図2、図3、および、Flash画像をご覧ください。
ケース1 : ワークフロー製品とSAP ERPとのSOA連携
ケース1では、ワークフロー製品とERPシステムをSOAにて連携させています。
Webサービスを用いることでシステム間のインターフェース連携が簡素化され、より柔軟な連携が可能となるとともに、リアルタイムな連携が可能になっています。ワークフロー製品内で最終的な承認処理が実行された時点でWebサービス呼び出し機能が実行され、SAP Enterprise Service (IBM外のWebサイトへ) を通してSAP ERPに購買依頼伝票が登録されます。
このソリューションのビジネス面でのメリットについてご説明します。この例では人間の意思決定が最終的にシステムに反映されるまでのリードタイム短縮や業務処理統制におけるトレーサビリティーの確保などが期待できます。具体的な適用事例としては、ここで挙げた購買申請業務の他、マスタデータ登録業務におけるリードタイムの短縮による販売機会ロスの削減効果などが考えられます。
また、システム面でのメリットは、Webサービスを利用していることで連携先システムの追加・変更などのビジネス変化に対して、柔軟かつ短期間に対応できる基盤であることなどが期待できます。
ケース1のソリューションについては、実際のアプリケーション動作をFlash動画にてご確認いただくことができますので、ご覧ください。
ケース2 : SOA基盤の中でプロセス制御エンジンとしてのワークフロー製品を利用
ケース2では、ユーザー・インターフェースの部分にもSOA技術を活用しています。ワークフロー製品のSOA基盤への統合度を更に進め、ワークフロー製品を純粋にプロセス制御のエンジンとして活用しています。
ユーザー・インターフェースとして、SAP NetWeaver (IBM外のWebサイトへ) 上のVisual Composer (IBM外のWebサイトへ) で開発したUI画面を用いており、ユーザー・インターフェース層からワークフロー製品の承認機能呼び出し、承認経路情報などをWebサービス経由で利用しています。ユーザー・インターフェースの部分にもSOA技術を活用することで、例えばポータル上で稼動する他の業務アプリケーションとほぼ同一の操作性にてワークフロー業務を行うことが可能となり、ユーザーは特定のワークフロー製品の意識や習熟の必要がありません。
つまり、ケース2は、ケース1で期待できるビジネス面での効果に加え、新しいアプリケーション展開に伴うユーザー教育の実施の負担やアプリケーション操作の未習熟による業務効率の低下を減らすなどのビジネス面のメリットを期待できます。
システム面で期待されるメリットとしては、お客様環境でのアプリケーション基盤の統一や標準化にそった展開などの自由度が高まるとともに、アプリケーションの開発面ではNetWeaver Visual ComposerのようなNon-Coding開発ツールを選択可能になり、開発生産性の向上を期待できます。つまり、SOAに対応したプロセス制御製品を活用することで、開発生産性・メンテナンス性を犠牲にせずにアプリケーション基盤を構築することが期待できます。
ケース2のソリューションについては、実際のアプリケーション動作をFlash動画にてご確認いただくことができますので、ご覧ください。
ワークフロー製品の内部統制対応機能
これまでご覧いただいたデモンストレーションを通して、ワークフロー製品を使って人間系のプロセス制御を行いSOA基盤の中で活用することで、バックエンド・システムとのリアルタイム連携が可能になることや、Webサービスを利用したシステム間の柔軟な連携が可能になることをご確認いただけたかと思います。
変化に強いIT基盤の実現につながるシステム間連携の柔軟性確保は、SOAによって得られる重要なメリットの一つです。
一方で、先にも挙げましたように、人間系プロセスには、ビジネス上の意思決定を行う際の内部統制上のトレーサビリティーの確保も求められています。

図4 データ・アクセス権のフィー
ルド・レベルの指定例 拡大図
人間系プロセスにおける業務の適正を確保する手段の一つとして、内部統制機能に対応しているワークフロー製品を利用することができます。ここでは、内部統制のIT業務処理統制面で、ワークフロー製品がどのように対応しているのか、どのようなメリットがあるのかについてご説明いたします。
具体的な例として、ワークフロー製品(IBM FormWave for WebSphere)で伝票操作に対する変更記録、および、データ・アクセス権限のフィールド・レベルの指定などが標準機能としてどのような形で対応できるのかご覧いただきます。

図5 伝票の項目レベルでの
変更記録の設定例 拡大図
図4は、今回利用した購買申請アプリケーションにて、データ・アクセス権をフィールド・レベルで指定したサンプル画面になります。購買申請において、申請者が入力した“申請理由”について、承認者が変更できないように制限している例になります。
図5は、伝票操作に対する変更記録を保持する設定画面の例になります。ここでは、購買申請のアプリケーションにおいて、承認者が承認行為を行った際にそれを記録として残すように設定を行った例になります。また、保持された変更記録への参照権限の設定も可能で、この画面例では管理者のみがアクセスできるように設定しています。
内部統制対応にワークフロー製品を活用するメリット
内部統制に必要な機能を標準機能として備えるワークフロー製品を利用してどのように実現できるのかご確認いただけたかと思います。今回ご覧いただいたものは一例ですが、業務上の適切な処理者のみが業務を行えること、および、業務処理記録や記録への参照などの内部統制機能の実現が、アプリケーションの設定レベルで実現できる点がワークフロー製品を利用することのメリットになります。
つまり、多大なアプリケーション開発が不要になることで、開発時の費用面のみではなく、業務プロセス変更に対する変化対応スピードやアプリケーション保守面での費用削減効果などが期待できます。
また、ビジネス・プロセス実行上のKPIとして、プロセス完了までの所要時間や特定のプロセスでの滞留時間を測定したい場合があります。人間系プロセス制御も含めたビジネス・プロセスのKPI測定については、ワークフロー製品も対応を行っています。IBM FormWave for WebSphereには、BPMアナライザと呼ばれる統計・分析機能を提供しています。詳細については、関連情報をご覧ください。
人間系プロセス制御と帳票出力サービス SOA連携ソリューション
帳票出力がビジネス遂行に重要な役割を果たす場合があります。
例えば、受注におけるビジネス・プロセスを考えてみます。顧客企業からの受注を受けた後、受注に対する社内プロセス(例 : 信用審査などの与信管理)を行い、最終的に顧客企業との契約書を帳票の形で出力するケースが挙げられます。契約書のようなビジネス上 センシティブな帳票の出力については、帳票データへのアクセス権限の管理や印刷出力回数の制限・管理などの機能が求められます。また、企業内には経理帳簿などの大量印刷やオフィスにおけるPDF出力など多様な印刷出力の要件が存在します。
帳票印刷製品の中にはSOAのコンセプトのもとで製品機能を拡張しているものがあります。具体的には、製品の持つ従来からの帳票生成機能をWebサービスとして公開することでSOA対応を行い、企業内の多様な帳票出力要件に応えられる機能を提供しています。

図6 帳票出力サービスのアーキ
テクチャー・イメージ 拡大図SOA対応した帳票印刷製品を企業内のIT基盤で利用することで、帳票生成機能を企業ITシステム間で共通して利用できる「帳票サービス」として公開することが可能となります。このように、企業内のIT基盤最適化を図る一環の中で帳票出力を捉えることができます。
図6にて帳票出力サービスのアーキテクチャー・イメージをご確認ください。
ウイングアーク テクノロジーズ社は帳票SOAのコンセプトのもとで帳票印刷製品SVFの帳票生成機能をWebサービス経由で利用できるように機能拡張しています。帳票SOAのコンセプトについては関連情報をご覧ください。
人間系プロセス制御機能と帳票出力機能をSOAの技術で連携させることで、これまで分断されていたビジネス・プロセスを一連の流れとして実行することが可能となり、業務効率化や顧客サービスの向上につなげることが可能となります。
SOA対応した帳票ツールのソリューションイメージ
具体的な例として、購買申請業務シナリオを使って、ワークフロー製品と帳票印刷製品のSOA連携のソリューションが実際のビジネスにどのようなメリットをもたらすのかについて、ご説明いたします。
ワークフロー製品としてIBM FormWave for WebSphere、帳票印刷製品としてウイングアーク テクノロジーズ社のSVF for PDF SOA Editionとの連携を例にして、ソリューションのイメージをご紹介します。
SVF for PDF SOA Edition は、SVF (IBM外のWebサイトへ) のPDF帳票出力機能をWebサービスとして公開する機能を持ち、SVFをSOA対応にします。この機能とワークフロー製品であるFormWaveのSOA連携機能を組み合わせることで、購買担当者が処理を行った後で取引先に送付する購買発注書のPDF表示・出力を行うことがシームレスに可能となります。
図7は、IBM FormWave for WebSphereのビジネス・プロセス・モデリング・ツール(FormWaveプロジェクト・デザイナー)を使って、上記のプロセス定義を行ったサンプル画面です。購買発注書の出力は、「発注書出力Webサービス」というアイコン(注1)で定義されていることがご確認いただけると思います。このように帳票ツールがSOA対応していることによってビジネス・プロセス・モデリングツール上でのデザインが容易に実施可能なことがご確認いただけます。
注1 : FormWaveのワークフロー経路上のプロセスの単位(申請/承認アクションやWebサービス呼出し)の定義の機能単位を“ノード”と呼びます。ここではFormWave上の「ノード」がアイコンとして表示されています。
図7 FormWave プロジェクト・デザイナーでのモデリング サンプルのイメージ図

図8 SVF for PDF
SOA Editionからの
PDF出力サンプル図8は、このプロセス定義から実際にPDF出力した購買発注伝票のイメージとなります。
SOA対応した基盤を利用することによって、意思決定後のビジネス・データの生成とビジネス上必要な帳票書類の出力が、一連のビジネス・プロセスとして有機的に連携されます。
購買申請のワークフローから利用した「帳票サービス」は、Webサービスという共通の呼び出し方法によって他のシステムからも汎用的に利用可能です。つまり、単にワークフローから利用するだけでなく、他のアプリケーションもSOA対応していれば容易に「帳票サービス」を利用することが可能となります。このように企業内のIT全体最適化の中で帳票印刷システムを捉える事が可能となり、変化に強い柔軟なITアーキテクチャーを検討する上での重要なポイントになります。
IBM, IBMロゴ, WebSphereは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは Sun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
