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導入事例:ベルリッツ コーポレーション (旧 ベルリッツ インターナショナル インク)

大規模イントラネット・システムによりグローバル1万人規模の社内コミュニケーションを活性化




ベルリッツ コーポレーション(以下、ベルリッツ)は、グローバル規模での社内コミュニケーションの強化を目的に、世界75の国と地域で567拠点の約1万人の社員や講師を対象とした大規模イントラネット・システム「Smart Place to Accelerate Community of Excellence(以下、SPACE)」を構築し、2010年1月に稼働を開始しました。

同システムは、会社側からの情報を一人一人の社員に効率良く伝える“縦のコミュニケーション”と、世界各地の社員同士が自然発生的に連携し合う“横のコミュニケーション”とを融合・促進することを目的とするものです。すでに組織階層を越えたダイレクトな情報伝達、国や拠点の違いを問わないバーチャルなコミュニティーを舞台とした協働作業など、かつてなかった形態のコミュニケーションがSPACEにより活性化し、ベルリッツの仕事の進め方を大きく変えつつあります。

ベルリッツが推進するグローバルITプロジェクトの主要メンバーとして、このSPACEの構築ならびに運用に携わってきた久保田大介 氏、清水智満 氏、青山希 氏の3氏にお話をうかがいました。

インタビュイーのご紹介

ベルリッツ コーポレーション

  • 久保田 大介 氏の顔写真

    バイス・プレジデント
    最高技術責任者
    久保田 大介 氏

  • 清水 智満 氏の顔写真

    グローバルIT
    ITプロジェクト推進 部長
    清水 智満 氏

  • 青山 希 氏の顔写真

    グローバルIT
    開発リーダー
    青山 希 氏

  •  

新たな社内ミュニケーション基盤「SPACE」構築の狙い

――まず、社内のコミュニケーション基盤を全面的に改革しようと考えられた経緯について教えてください。

ベルリッツ社 久保田 大介氏
久保田:ベルリッツは、130年以上に及ぶ歴史を通じて、ランゲージ・センター(語学教室)を中心にお客様(受講生)とのフェース・トゥ・フェースのビジネスを世界中で展開してきました。しかし、ビジネス環境が激しく変化していく中で、多くのお客様の間に、単なる語学サービスにとどまらないグローバルな人材育成をサポートしてほしいというニーズが高まってきています。そうしたお客様のご要望に添う質の高いサービスを提供していくためにはグローバル・レベルのオペレーションへの転換が求められていました。

そこで、世界567拠点をカバーするネットワークの強化、基幹系システムや人事情報システムの刷新を含む「グローバルITプロジェクト」を2009年3月にスタートさせました。その中で最初に重視したのが、“ベルリッツ社内の英知を結集する場”としての、イントラネットをベースとしたコミュニケーション基盤の強化です。

――以前のベルリッツのコミュニケーション環境には、どのような課題があったのでしょうか。

久保田:ランゲージセンター単位のオペレーションが中心で、「社内のどこに、どのような人材がいて、どんな活動を行っているのか」が全体で把握できておらず、世界規模でのイントラネットが整備されていませんでした。そのため、多様な人材を有機的かつ効率的に連携させることが難しいという課題がありました。

――そんな状況を打開するためにSPACEの設計に込めたコンセプトを教えてください。

久保田:SPACEは、“縦のコミュニケーション”と“横のコミュニケーション”を融合・促進し、グローバル・レベルで会社を活性化させていくことをコンセプトとしています。

前者は、会社の方針や戦略をグローバルな組織の隅々まで伝えていく、トップダウン型コミュニケーションです。これによりビジネス環境の変化に俊敏に対応できる機動力を持つことができます。後者は、同じような課題や関心事などを持っている世界各地の社員同士がコンタクトし、連携し合えるようなコミュニケーション形態の実現です。教材開発を例にとると、一つの部門内だけで考えるのではなく、組織を越えて多くの人材から広くアイデアを募ることで、より良いものができるはずです。また、お客様への対応で悩んでいるとき、別の拠点にいる誰かが既に同様の問題を解決しており、的確なアドバイスをもらえるかもしれません。

縦横のコミュニケーション実現のため、IBMのソリューションを採用

――その“あるべき姿”を実現するにあたり、企業ポータル・ソフトウェア「IBM WebSphere® Portal V6.1」ならびにソーシャル・ソフトウェア「IBM Lotus® Connections 2.5」を導入されました。採用理由はどのようなものだったのでしょうか?

久保田:大きく言うと、会社側からのトップダウン的な情報配信をWebSphere Portalが持つ企業ポータル機能で実現し、社員間の自発的な情報発信や交流をLotus Connectionsのソーシャル機能によってサポートしています。もっとも、“企業ポータル”に関する知識は持っていたものの、最初から“ソーシャル”という概念まで熟知していたわけではありません。私たちの目指すコミュニケーションの理想像を突き詰めていった結果、あとから考えてみると、それがソーシャルの世界だったというのが率直なところです。

ベルリッツ社 青山 希 氏
青山:構想段階では、数社のソリューションを比較検討しました。クラウドをベースにしたソリューションも候補に挙がりました。しかし、開発期間やコストの条件に加え、既存のコンテンツの移行など、多くの考慮点を抱えていた私たち開発・運用チームにとって、的確なサポートやコンサルティングを提供してくれることが必須条件でした。充実したサービス体系が整っていることが、IBMを採用する決め手となりました。

――システムを自社保有するか、外部のサービスを使うかという点も選定の判断材料となっているのでしょうか。

久保田:社員の個人情報を含むすべてのデータを社外に持っていくとなると、各国との交渉や調整に難航し、かなりの時間を費やしていただろうと思います。情報セキュリティーに対する考え方や文化は国によってかなり異なります。特にヨーロッパでは個人情報や重要情報を社外に出すことが制限されています。そうした差異はグローバルなプロジェクトを推進していく上で最も難しいと感じる部分でもあり、総合的な観点から、やはり自社保有した方が良いだろうという判断に落ち着きました。今後も、その時々の状況を判断して、最も効率の良いソリューションを選択していきたいと考えています。

ダイレクトなコミュニケーションが組織の風通しに変化をもたらした

ベルリッツ社 清水 智満 氏 ――現在、SPACEはどのように活用されているのですか。

清水:利用は確実に広がっています。中でも先頭を切って、積極的に使いこなしているのがブラジルの社員たちです。SPACEにログインすれば、CEOのメッセージやエグゼクティブのブログ等に誰でもコメントを書き込むことができますが、そうは言ってもトップクラスのエグゼクティブに直接“物申す”など、なかなかできることではありませんでした。しかしブラジルの社員たちは、そうしたことも臆することなく行っています。直接電話したりメールを送ったりすることはできなくとも、ここにはコメントを残せる。しかもエグゼクティブも返事を書き込んでいる。そんな今までにない、気軽でインフォーマルなコミュニケーションを目の当たりにして、本当に驚きました。

――“横のコミュニケーション”についても変化が起きているのでしょうか。

――コミュニティーは一般社員が自発的に作って運営しているのでしょうか。

清水:現時点においては申請ベースで作るようにしています。ソーシャルの世界はまだまだ未知の部分があり、必ずしも業務に関するポジティブなコミュニティーにならないリスクや、コミュニティーの乱立による逆効果も考えられます。動向を見極めつつ、徐々に開放していきたいというのが私たちの考えです。

SPACEをさらに広く根付かせていくためにさまざまな施策を展開

――SPACEによるコミュニケーションを活性化させるため、取り組んでいる施策はありますか。

久保田:CEOからのメッセージは、最低でも毎月1回は更新することとしています。さらに、グローバルのコミュニケーション・リーダーを新たに任命し、各地域や部門のトップに更新を促しています。いかに鮮度の高い情報を発信するかはコミュニケーションにとって非常に重要な要素であり、まず上層部自らが実践しています。
また、グローバルのオペレーションで必要となる情報もSPACEに載せています。例えば、各国のプライス・リストをまとめて一覧できるようにしました。これは、お客様に対して一国にとどまらず国を超えてサービスを提供する場合にプライスの相関関係を検証する際など、利用頻度の高い情報です。その他、さまざまな社内規定の通達にもSPACEを利用しています。

――SPACEの利用実績を測るため、何らかのKPI (重要業績評価指標)も設定しているのでしょうか。

清水:もちろん、KPIは設定しています。基礎数値として常に見ているのは、SPACEの展開国数および利用者数の推移です。さらに、コミュニティーの数、月次でアップデートされたブログやWikiの数、ページ・アクセス・ビューといった数値も注視しています。最近では、マイクロブログに対するフォローコメントの数や、プロフィールに顔写真を載せてくれた社員の数などもカウントするようになりました。

久保田:国や拠点ごとの競争意識を煽っているわけではありませんが、KPIの数値も公表しています。こうした取り組みも、広い意味でコミュニケーションを活性化させていくための施策の一つと言えるでしょう。

ユーザーからの高い評価を得て、より高度な知的創造の“場”への発展に期待

――SPACEを導入することで、実際にどのような効果が上がっているのでしょうか。

久保田: この種のシステムの場合、ROIのような定量的な効果を測ることは難しいのですが、コミュニケーションが進めやすくなったという定性的な効果は確実に上がっています。実のところ、当初は社内で「やはりビジネスに直結する基幹系システムの構築を優先すべきではないか」という意見も多数ありました。それがSPACEの稼働が始まってからは状況が一変し、CEOをはじめとするエグゼクティブたちも、「これは実は基幹系システム以上に重要かもしれない」と言い始めています。

清水:ブラジルのカントリー・マネージャーからも「30年ベルリッツにいるけれども、これほど便利にコミュニケーションができるプラットフォームは初めて」というメッセージを受けました。

青山:ユーザーの感想という意味では、一般社員からも「SPACEは、ワールドワイドなベルリッツチームにとって理想的なコミュニケーション・ツールです」、「SPACEを活用したコミュニケーションが、ベルリッツに大きな成長をもたらすと思います」、「他のチームメンバーとリアルタイムで接続して協働作業ができる。そんな素晴ら しい“場”を提供してくれるSPACEに感謝します」といった声が寄せられています。

――最後に、今後SPACEをどのように発展させていくのか、皆様の考えをお聞かせください。

青山:世界各国のベルリッツの拠点には、優れた能力を持つ社員がたくさんいます。しかし、これまでは社員同士が国を超えて交流する機会があまりありませんでした。こうした壁をITの力によって打ち崩していきたいというのがSPACEの狙いです。グローバルなコミュニケーションをさらに加速させるため、今後もさまざまな仕掛けを積極的に打ち出していきたいと思います。

清水:実は、Lotus Connectionsが持っている有益な機能の中でも、まだ使っていないものがたくさんあります。例えば、各自のページをカスタマイズするホームページ機能、複数のメンバー間でタスクの進捗(To Do)を管理するアクティビティー機能などです。また、スマートフォンなどのモバイル端末からSPACEにアクセスできるようにするインターフェースにも期待が高まっています。運用管理上の問題もあり、これらを一気に開放するわけにはいきませんが、一つひとつ検証を進めながら、より便利なコミュニケーション環境を提供していきたいと考えています。

久保田:最初に申し上げたように、現在のベルリッツのビジネスでは、グローバル・レベルのオペレーションが非常に重要となっています。

例えば従来の教室ベースの語学サービス事業だけではなく、最近ではネットワーク上のバーチャルなサービスを組み合わせたハイブリッド型の研修ビジネスも伸びています。こういう実態を考えると、何も一つの国といった単位でビジネスを展開する必要はありません。世界中で最も質が高く、リーズナブルなコストで活動できるチームをどこかの国に置き、一括してサービスを提供していくといったことも考えられています。そうしたビジネス・モデルを実現していく上では、国や拠点を超えた担当者間のコミュニケーションはもちろん、より専門的なレベルでタスクフォースを構成し、情報やノウハウの共有を促進するとともに、問題解決やアイデア創出をナビゲートしていく必要があります。そんな課題に応えられる知的活動の原動力として、SPACEを発展させていきたいと思います。

――とても有益なお話を、ありがとうございました。

企業概要

1878年創業。創業者マクシミリアン.D.ベルリッツが開発した「ベルリッツ・メソッド」による質の高いレッスンを提供し、語学サービス市場をリードしてきた。2001年より、株式会社ベネッセホールディングスのグループ会社となり、現在、全世界75の国と地域に567以上の拠点を展開。近年では語学教育を基盤に、グローバル人材育成事業に注力し、個人や組織の発展と社会のグローバル化に貢献することを目指している。

ベルリッツ社 ロゴ

画面1-1 SPACE「CEOメッセージ」

画面1-1 SPACE「CEOメッセージ」

画面1-2 SPACE「コミュニティー一覧」

画面1-2 SPACE「コミュニティー一覧」

画面2「顔を載せましょうキャンペーン」画面

画面2「顔を載せましょうキャンペーン」画面

当事例に掲載されている情報は2010年4月のものです。事前の予告なしに変更する場合があります。本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は初掲載当事のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。製品、サービスなどの詳細については、弊社もしくはIBMビジネスパートナーの営業担当員にご相談ください。

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