タブの始まり
- 導入から14年、重要な情報基盤としてグループ内に浸透
- 二度の移行により経験と実績を積む
- エンドユーザー・コンピューティングとITガバナンスとをバランス
- 品質向上のためのさまざまな取り組みを実施
- 次回も楽しみにしてください
国内の大手生命保険会社の一つ、第一生命保険株式会社(以下、第一生命)では、業務に欠かせない重要なツールとしてIBM Lotus Notes/Domino(以下、Lotus Notes)が活用されています。そのシステムを運用管理するのが、第一生命グループのSI会社、第一生命情報システム株式会社(以下、DLS)です。日本最大級のユーザー数・サーバー数を抱え、しかも申請ワークフローや顧客対応の進捗管理システムなど、重要なアプリケーションが多数稼働する第一生命のLotus Notesシステムについて、DLSのLotus Notes開発部門のご担当者にお話を伺いました。
導入から14年、重要な情報基盤としてグループ内に浸透
第一生命では1997年という早い時期に、日本全国にある事業所・営業拠点の情報共有のスピードアップを目的として、Lotus Notesを導入しました。以来、グループ内での積極的な展開が始まり、メール、掲示板、会議室などのコミュニケーション・ツールとしてだけではなく、会計や保険、総務、人事等の日常業務に広く活用されています。現在、3,000のLotus Notesアプリケーションが稼働しており、利用ユーザーは第一生命全社で約2万人にのぼります。

基盤システム
第三部
NOTES開発第
一グループ長
岡崎 宏昭氏そうした第一生命グループのLotus Notesシステムを運用管理しているのが、第一生命の子会社であるDLSです。同社には、Lotus Notesシステムを専門に担当する部門があり、その開発・運用要員は約150名に及びます。その主導的な役割を果たす DLS 基盤システム第三部 NOTES開発第一グループ長 岡崎宏昭氏は、第一生命のLotus Notesの導入当初について、次のように振り返ります。
「第一生命では1997年に、Lotus Notesが導入されて以来、エンドユーザー・コンピューティング(EUC)を積極的に推奨していた時期があり、利用が広がっていきました。そして、業務アプリケーションとしてLotus Notesデータベースの活用が進むにつれ、ユーザーから次第に複雑なアプリケーションが求められるようになり、DLSに開発が依頼されるケースが多くなっていきました」
二度の移行により経験と実績を積む
第一生命に最初に導入されたのは、Lotus Notes R4.1でした。本社・支社、関連会社を対象とし、サーバーは各拠点に約250台設置。約1万人が利用するシステムとしてスタートしました。2年後の1999年にR4.6へと移行したときには、全国の各営業オフィスに展開され、サーバー台数約2,000台、保険営業を担当する職員も含めた約7万人のユーザーが利用する大規模Lotus Notesシステムへと拡大しました。
2002年から1年半をかけて、R4.6から6.0へと初めてのメジャー・バージョンアップを経験します。すでに、人事、総務、経理などの業務アプリケーションが稼働していたため、移行作業は基盤部分から業務アプリケーション、EUCアプリケーションまで入念なテストが繰り返されました。移行に際して最も負荷が大きい作業となったのが、このテストです。業務上の重要度をあらかじめ設定した上で、影響の大きいものからテストを実施するとともに、当時システム数が多かったEUCアプリケーションの棚卸しを行い、不要となっているものを洗い出して廃止しました。2005年には、各支社(約100カ所)・営業オフィス(約1,400カ所)に設置していたサーバーをすべて本社に引き上げて統合化し、サーバー台数が約80台、ユーザー数は約2万人という現在とほぼ同等規模のシステムに生まれ変わりました。

基盤システム
第三部
NOTES開発
第一グループ
チーフシステム
エンジニア
平工 陽一氏6.0への移行時にさまざまな経験を積んだこと、そして着実に基盤の効率化を進めてきたことが、この後の運用管理の効率化に成果を現します。
2010年にはバージョン6.0から8.0への2度目のメジャー・バージョンアップが行われましたが、前回のバージョンアップに比べて作業を大幅に効率化できた、とインフラを担当するチーフシステムエンジニアの平工陽一氏は話します。
「2010年のバージョンアップでは、過去の経験を活かすことができました。前回の移行では非互換とされる部分が多く、多くのアプリケーションをテストする必要がありました。しかし、バージョン8では製品の非互換はあったものの、事前に実施した先行検証でほとんど洗い出せていたため、効率よく検証することができました」
その結果、システム数は増加しているにもかかわらず、バージョンアップにかかるコストは、計画段階の約4分の1に削減されたといいます。また平工氏は、移行の容易さばかりでなく、Lotus Dominoの最新版は製品自体の信頼性が一層向上したと感じていると話します。
さらに岡崎氏は、バージョンアップを経ながらも、Lotus Notes導入当初から稼働しているアプリケーションを使い続けられているという点についても評価します。
「従来使われてきた古いロジックもサポートされている点は、製品自体に感謝したいと思います」
エンドユーザー・コンピューティングとITガバナンスとをバランス

基盤システム
第三部
NOTES開発第
一グループ
担当リーダー
竹尾 大介氏このような変遷をたどりながら、機能の向上や効率的な運用管理が進められてきたLotus Notesシステムですが、開発・運用のスタイルも変化してきました。
Lotus Notesによる業務アプリケーションの開発に携わってきた担当リーダーの竹尾大介氏は次のように話します。
「当初は、ユーザー部門で構築されたLotus Notesデータベースが主に使われていましたが、開発担当者に異動あると保守が困難になる事から、ユーザー側でも保守の大変さに気づき始め、核となるような業務アプリケーションはDLSに発注することが多くなっていきました。そうした際に、DLSではユーザー部門で自由に作られたDBについて、コードの統一を図るなどの標準化を推進しました」

基盤システム
第三部
NOTES開発
第一グループ
チーフシステム
エンジニア
杉本 亮太郎氏DLSが担当する全社のアプリケーションや複雑なアプリケーションでそうした取り組みを進める一方、エンドユーザーが開発する部分についてもアプリケーションの運用・開発ルールが整備されます。チーフシステムエンジニアの杉本亮太郎氏は、第一生命におけるアプリケーション統制について、次のように説明します。
「第一生命とDLSは、Lotus Notesアプリケーションを効率的に運用するために、2007年に運用・開発ルールを定めました。これは、DLSが受託開発するアプリケーションだけでなく、各部門のユーザーが開発するLotus Notesデータベースにも適用されるものです。例えば、データベースの文書数や容量に基準を設け、サーバーに負荷をかけないようなチェックを行っています」
Lotus Notesアプリケーションの運用・開発ルール例
- ワークフロー、ホストシステムと連係するような複雑なアプリはEUC開発を禁止し、DLSのシステム担当へ委託する
- パフォーマンス悪化の原因となる関数は使用頻度を低くする
- 開発する前に類似するデータベースの存在を確認し、存在する場合は機能追加で対応する
- 1DBの文書数、容量が基準値を超えないか確認する
- 定期的に掲載内容を見直し、不要な文書があったら削除する
など
品質を維持向上させるさまざまな取り組みを実施
エンドユーザー向けの基本ルールとして、Lotus Notesデータベースの開発手順を学ぶ研修を受講しなければ開発できない決まりとなっています。実際に、研修を終え、申請した人のみがLotus Notes Designerを導入できる仕組みです。
さらに、Lotus Notesデータベース開設時には申請が必要ですが、そうすることにより、データベースの開設理由やルールの遵守状況が明確になるだけでなく、管理者に対する棚卸しが容易になるというメリットもあります。
また、DLSではエンドユーザーから寄せられるLotus Notesに関するさまざまな問い合わせに対応するヘルプデスクや保守サービスを提供しているほか、Lotus Notes/Dominoの教育サービスなども充実させることで、さらなる運用管理基盤の品質向上に取り組んでいます。
次回も楽しみにしてください
次回は、いよいよ第一生命が現在運用しているLotus Notesシステムの構成、および代表的なLotus Notesアプリケーションについて、DLS 基盤システム第三部 NOTES開発第一グループの皆さんに紹介していただきます。どうぞお楽しみに!
※当記事に記載の肩書きや数値、固有名詞等は2011年11月現在のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、Lotus、Lotus Domino、およびLotus Notesは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。


