タブの始まり
- 部門の個別利用から全社の標準グループウェアへ
- キラー・コンテンツとワークフロー・エンジンの自社開発で全社に普及
- 利用者は全世界で25,000人。グローバルなコミュニケーション基盤として定着
- 現場の創造性や改善意欲をサポートする理想的なツール
- 次回も楽しみにしてください
国内外の多くの企業がコラボレーション・ソリューションとして採用するIBM Lotus Notes/Domino(以下、Lotus Notes)。その使われ方はさまざまですが、中には驚くほど積極的に活用している企業もあります。そうした代表的な企業の一つが、世界有数の精密機器メーカー、オリンパスグループです。各部門が業務に役立つアプリケーション/データベースを独自に開発するなど、Lotus Notesを日常業務に欠かせない情報基盤としてさまざまな用途に使いこなす、エンドユーザー・コンピューティングを実践しています。
部門の個別利用から全社の標準グループウェアへ
オリンパス株式会社を中核とするオリンパスグループは、デジタルカメラやICレコーダー、医療機器などを中心に、ライフサイエンスから産業分野まで幅広い事業領域向けの光学機器・精密機器を製造する日本有数の精密機器メーカーです。情報共有体制の確立に早い時期から取り組んできた同社では、1990年代に部門単位でグループウェアの導入が始まりました。そうした個別利用の流れを受け、1999年には全社の標準グループウェアとしてLotus Notesが採用されます。当時使われていた複数のメール・システムを統合するとともに、スケジューラーや掲示板などの仕組みをLotus Notes上に構築し、運用を開始しました。

オリンパス株式
会社 IT本部 本
部長 北村 正仁
氏「当初は、一部の部門内あるいは部門間の情報共有のみに利用されていましたが、社内にはLotus Notesに関する情報交換を目的とした連絡会も作られて、少しずつ利用が広まりつつありました。それが1990年代の終盤、2000年問題をきっかけに全社の情報システムを見直すことになり、共通の情報基盤の必要性から導入が決定しました」
こう話すのは、オリンパスグループのCIO、北村正仁氏(オリンパス株式会社 IT本部 本部長)です。当時、事業部門に在籍していた北村氏は、実はLotus Notesの全社展開を情報システム部門に働きかけた“張本人”だったそうです。
「単純にメールだけであれば、別の選択肢があったかもしれません。しかし、エンドユーザーからのニーズが多かったスケジューラーや掲示板の機能が一体化されていることや、事業部門ですでに実績が出ていることが導入の決め手になりました」(北村氏)
キラー・コンテンツとワークフロー・エンジンの自社開発で全社に普及

IT本部 IT基盤
技術部 技術統
括グループ グ
ループリーダー
井本 敏彦 氏当初はメールとスケジューラー、掲示板の運用から始めたLotus Notesシステムでしたが、2000年から独自開発したアプリケーションやデータベースを業務に取り入れます。情報システム部門でLotus Notesシステムを担当する井本敏彦氏(IT本部 IT基盤技術部 技術統括グループ グループリーダー)は、当時を次のように振り返ります。
「Lotus Notesを定着させるキラー・コンテンツになったのが旅費精算システムでした。全社員が利用するシステムを作れば、利用が広がりやすいと考えたのです。続いて、財務稟議システムを用意しました」
また井本氏は、オリンパスのシステムの特徴として、ワークフロー・エンジンを自社開発したことと、ユーザー情報DBの存在があると話します。
ワークフロー・エンジンは、Lotus Notesのとある課題を解決するために必要不可欠だったといいます。
「Lotus Notesはローカルにもデータベースのレプリカを簡単に作成できる機能がありますが、人事情報のような重要な情報は一元管理し、丸秘データをローカルにコピーできない工夫が必要でした。そこで、当社はRDBMSで運用している人事データベースと連携し、人事情報を自動的に引いてくるワークフロー・エンジンを独自に開発しました。ワークフローは起票者によって承認者が変わりますが、この仕組みによって組織変更や人事異動があっても、常に正確な情報を利用することができます。当時はこのような作り込みが必要でしたが、バージョン7.0.2からはデータベースの複製を制限する機能が実装されたため、この機能も併せて活用しています」(井本氏)
ワークフロー・エンジンは、2003年に導入したERPシステムとも連携。旅費精算や勤怠管理などのLotus Notesアプリケーションのデータが、そのままERPシステムに反映されています。

宛先漢字表示

漢字宛先選択ワークフロー・エンジンと並んで特徴的なのが、「ユーザー情報DB」です。
オリンパスでは、メール・システムの負荷軽減、およびグローバル化対応のために漢字アドレス帳を廃止。アドレス帳には必要な情報のみを残し漢字の情報をすべて削除した代わりに、アドレス帳と切り離した漢字情報を持つデータベースを用意しています。このユーザー情報DBは、人事情報とデータ連携しており、常に最新の所属や役職などの情報に更新されます。独自にカスタマイズしたメール・テンプレートからも利用可能で、アドレス帳からメール・アドレスを指定した際、ボタンをクリックすると漢字の名前と所属部署の情報が確認できる仕組みです。
また、ユーザー情報DBは当初想定されていなかった用途にも活用されているといいます。
「グループ・アドレスや担当者リストをつくるために利用する人が結構いるんです。名前を打ち込むだけで所属等の最新情報が出てくるので、メールとは別に便利に使われているようです」(井本氏)
利用者は全世界で25,000人。グローバルなコミュニケーション基盤として定着
そのほか、業務に役立てられているLotus Notesのアプリケーションやデータベースは合計で約2万にもおよびます。その大半は、各事業部門のエンドユーザーによって開発されています。エンドユーザーが自由自在に開発できる環境を用意しているのも、オリンパスの大きな特徴です(これについては、次回の記事で詳しくご紹介します)。

グローバルの利用拡大Louts Notesのバーションは、1999年当初がR4.6。2002年にはR5.0へバージョンアップし、クラスタリングを導入するなど、システムの安定化を重視した機能強化、および携帯電話アクセスなどの利便性向上を実現しました。2006年には、セキュリティーと災害対策の強化、コンプライアンス対応を目指して7.02へバージョンアップ。さらに、2010年には、現行の8.52を導入しました。
利用者数は現在、国内で約11,500名。海外のグループ各社を含めると、約25,000名が利用するグローバルなコミュニケーション基盤として定着しています。
今後の予定として、オリンパスグループではWebブラウザーをクライアントとして利用できるLotus iNotesも活用していく計画です。これは主に、新規にグループに加わった海外企業など、小規模でメールとスケジューラーだけで十分だというユーザーに対してのことです。また、大容量ファイル交換システムやLotus Quickrによる社外・海外との情報共有システムも試行中です。さらに、Lotus Notesクライアントを利用しない関係会社や海外との情報交換、モバイル対応を目的として、データベースのWeb化にも着手。現在は、XPagesを使って掲示板や設備予約などのアプリケーションをWeb対応にする作業を進めています。
現場の創造性や改善意欲をサポートする理想的なツール
オリンパスグループでは、もともと事業部門側からLotus Notesが導入された経緯もあり、ユーザー自身が現場で必要なアプリケーション/データベースを開発し、利用するかたちが推進されています。北村氏は、こうしたエンドユーザー・コンピューティングに関して肯定的な意見を持っています。
「日本の強みは現場にあると思っています。マニュアルどおりの作業しかしないのではなく、現場の担当者自身が考え創造性や改善意欲を発揮するところに強みがあるのです。ホスト側で決められたものを端末に供給するクラウド・コンピューティングにももちろんさまざまなメリットがありますが、その対局にあるエンドユーザー・コンピューティングも現場の力をサポートするとてもいい仕組みです。最近、この言葉はあまり聞かれなくなりましたが、今の時代でも必要だし大事なものだと思っています」
そして、Lotus Notesこそがエンドユーザー・コンピューティングを推進できる強力なツールだと北村氏は評価します。
「ERPのような基幹システムは、情報システム部門が強固に運用しなければいけません。一方、オフィス・アプリケーションのようなものはユーザー自身が自由に使うものです。Lotus Notesはその両方のバランスが取れている理想形であり、それが製品自体の持つ潜在的な能力だととらえています。しかも、データベースやワークフローが専門家でなくとも手軽に開発できて、それでいてかなり凝ったものもつくれる懐の深さがある。Web中心の時代になってもこれほど便利なものはほかにないと思いますし、私自身、Lotus Notesに出会えたことはすごくラッキーだったと感じています」
次回も楽しみにしてください
今回は、オリンパスでのLotus Notesの導入から現在に至るまでの流れを中心にご紹介しました。次回は、活用を促進するために社内でどのような取り組みがなされているのか、その秘けつに迫ります。初めて開催されたという社内のLotus Notes開発コンテストについてもたっぷり伺いました。どうぞお楽しみに!
[次回を見る]
※当記事に記載の肩書きや数値、固有名詞等は2011年7月現在のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
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