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グリーン物流による環境物流の未来

地球にやさしい物流を目指して

地球温暖化の影響は、猛暑、巨大台風、生態系への影響など、身近な脅威と感じられるところまできています。物流事業者が目指すべきグリーン物流は、地球温暖化対策の重要な鍵のひとつとされる取り組みで、社会的に期待の大きな分野です。環境問題の現状や日本の取り組みはどうなっているのか、また、期待されるグリーン物流やグリーンSCMとはなにか。ここでは、環境問題をベースに物流の未来について考え、グリーン物流の実現を支援するIBMソリューションについてもご案内します。

地球環境の変化と対応

地球の温暖化が確実に進んでいることは、疑いのない事実でしょう。地球温暖化問題は解決すべき大きな課題だという認識は、世界共通です。しかしながら、解決に向けた方向性では、足並みが揃わないというのが現実です。温暖化ガスの削減に具体的な目標値を設定した京都議定書も、背景には排出権取引を含む環境ビジネスに乗り遅れてはならないという思惑があります。

日本では、CO2の排出量が2010年には6%増加すると予想されており、京都議定書に示された目標達成のためには、現行施策に加えて12%の削減が必要となると考えられています。それには、排出権取引の活用や森林によるCO2の吸収も必要ですが、やはり、その中心は排出量そのものを削減する取り組みとなるのは間違いありません。

図1. 京都議定書を受けたわが国の取り組み
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SCMに求められている変化

環境問題をサプライチェーン・マネジメント(SCM:Supply Chain Management)全体で考えてみましょう。SCMは、調達、生産、販売だけでなく、販売後の回収やリサイクルまで含めて考える必要があります。そして物流は、ものを調達するにも、生産したものを販売店に運ぶにも、お客様に直接お届けするような場合にもかかわってきます。さらに、お客様のもとから梱包材を回収したり、リサイクルのために商品を引き取ったりするような場合にも、やはり物流がかかわります。物流のグリーン化は、SCM全体のグリーン化に寄与しているのです。

図2. 物流とグリーンSCM
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環境に配慮したSCM - - グリーンSCMを考える場合、環境への配慮が求められるのは、もちろん物流だけではありません。調達、生産、販売、回収、リサイクルのそれぞれのフェーズにおいても、取り組みが必要です。たとえば、非ハロゲン系プラスチックの使用、スマートエネルギーの活用、梱包材料の少量化などです。

今後求められる、グリーンSCMとは、環境を配慮した(環境負荷の少ない)製品を提供できることです。従来、SCMの提供価値はQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)と言われてきましたが、加えて、E(Environment:環境)が求められます。つまりSCMは、QCDからQCD+Eへの変化を求められているのです。環境問題は、SCMのすべての関係者が主体となって取り組まなければならない大きな課題です。

国内の物流業界の動向

国内の環境問題への取り組みを、物流に絞って見てみましょう。国土交通省が昨年(2007年)発表した「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告」を物流の視点で読むと、2008年から取り組むべき対策・施策の方向性には次の5つが挙げられます。

  1. 物流効率化への一層の取り組み支援
  2. 都市内物流の効率化への推進
  3. グリーン経営認証制度
  4. 船舶からのCO2排出削減の取り組み
  5. 新たな物流システムを目指した取り組み

物流効率化への一層の取り組み支援では、カーボンオフセット対応物流や、多頻度配送から小頻度配送への移行が求められています。カーボンオフセットとは、排出するCO2を、植林あるいは排出量取り引きなどの方法で相殺する仕組みです。都市内物流の効率化への推進では、商店街などの地域の配送の集約(地域配送)、協業会社・競業会社の配送集約(共同配送)、ビルや商業施設の中の配送集約(館内配送)などが行われています。新たな物流システムを目指した取り組みでは、貨物の輸送距離の短絡化(物流拠点の集約)、幹線物流の効率化(トラック輸送から鉄道輸送への移行、幹線輸送の共同化)が求められています。

IBMが考えるグリーン物流ソリューション

IBMでは、物流におけるCO2の削減に向けた方向性、グリーン物流の実現を、モーダルシフト(輸送手段の転換)、共同配送と一括輸送化など、7つに分けて考えています。ここからは、グリーン物流実現を支援するIBMのソリューションの中から、5つをご紹介しましょう。

図3. IBMが考えるグリーン物流ソリューション体系
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(1) 輸送計画ツールによる最適な輸送計画作成 - 1
「幹線輸送最適化ツール(MSTP:Modal Shift Transportation Planner)」が、全国にある拠点間でトラック、鉄道、船舶、航空便などを用いて貨物を輸送する業務において、輸送にかかる総輸送コストを最小化します。メーカーの国内生産拠点と出荷地間の輸送手段、輸送経路の最適化(モーダルシフト)、輸送業(路線便)のトラック手配数の最適化、輸送業(路線便)のハブ新設の効果予測などをご支援します。

(2) 輸送計画ツールによる最適な輸送計画作成 - 2
「輸配送最適化ツール(VRP:Vehicle Routing Planner)」が、配送・集荷、時間枠など、さまざまな条件を反映してトラックのルートを決定し、トラックの輸送コストを最小化します。

(3) 館内配送による集配効率向上
物流サービスの一元化によって車両削減・車両削減を行い、CO2・NOx量を抑制します。

以上3つのソリューションは、どれも現状の運用と最適化後の輸送量を計りCO2削減量を計算・検証することが可能です。

(4) シミュレーションツールによる拠点配置最適化
「倉庫最適配置ツール(WLP:Warehouse Location Planner)」とは、現状の拠点を統合・再配置する際、および新規拠点の立地候補を決定する最適化ツールです。これにより、輸送費と固定費の総和(トータルコスト)を最小にする拠点の数と位置を決定することができます。これにより、コスト削減(数値目標)の明確化、物流ネットワークの最適化、物流サービスレベルの向上が可能となります。

(5) グリーン物流コンサルティング
CO2の排出は、ロジスティクス活動にともなう環境負荷の一形態であり、継続的に取り組みを推進するためには、日々の活動の中でのPDCAサイクルを確立し、継続的にCO2削減を行う仕組みを構築することが必要です。IBMは、環境管理のPDCAサイクル確立をコンサルティングで支援いたします。

地球温暖化の問題を考える上で難しいポイントが2点あると思います。1つは、空間的なスケールの大きさ、2つ目は時間的なスケールの長さです。現時点で地球温暖化がどれだけの被害を及ぼしているかというのは、具体的には測ることができません。しかし、50年後、100年後のことを考えて、いまから対策を進めていかなくてはならないのは間違いありません。その地球規模の空間的スケール、100年規模の時間のスケールこそが、取り組みの難しさにつながっているのだと思います。企業に求められているのは未来の子供たちのために、なにができるのかを考え行動することです。IBMでは、こうした環境問題に取り組みグリーン物流実現を目指す物流事業者の皆さまを強力に支援していきます。

筆者紹介

  • 進藤 智之の顔写真

    日本アイ・ビー・エム株式会社
    流通サービス事業部 運輸・旅行ソリューション(国内運輸担当)
    ビジネスソリューション・プロフェッショナル
    進藤 智之

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