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消費財業界における未来企業のあるべき姿

Global CEO Studyでわかった消費財企業のこれからの取り組みエリア

消費財産業は他産業とは違った傾向が?

IBMでは、2年に1度グローバル規模で「Global CEO Study」と呼ばれるサーベイを実施しています。これは、世界中のCEOや公共機関のリーダーを対象に行われる聞き取り調査で、3回目となる今回は、「未来企業のあるべき姿(Enterprise of the Future)」をテーマに1,130人のリーダーへのインタビューが行われました。ここでは、先日公開されたその調査結果をもとに、今後とくに消費財企業が取り組むべきエリアはどこなのか、未来の消費財企業のあるべき姿とはどのようなものなのか、IBMグローバル・ビジネス・サービスの宮崎 信秀に話を聞きます。

未来企業の5つの条件

――最近、IBMからGlobal CEO Studyの調査結果をまとめたものが公開されたそうですね。

宮崎:はい。アメリカでは今年(2008年)の春に、日本でもこの7月に翻訳版が発表になりました。今回のテーマは「未来企業のあるべき姿(Enterprise of the Future)」ということで、「未来企業」の条件は次の5つだとまとめられています。

図1. 未来企業の5つの条件
CPとグローバルで条件に対する関心の高さを比較。条件1.変化の速さを機会ととらえる:CP、グローバルともに同じくらいの関心、条件2.顧客の創造を超える:グローバルの関心が高い、条件3.世界中の優れた能力を活用する:CPの関心が高い、条件4.ビジネスの常識を破壊する:CPの関心が高い、条件5.社会問題に誠実に取り組む:グローバルの関心が高い

簡単にご説明すると、1が環境の変化に追従していくこと、2は顧客指向ですがお客様よりも1歩も2歩も先を行くアクションを起こすこと、3はグローバルにどう展開していくかを考えること、4はいままでとはまったく違うビジネス・モデルを作ること、5はCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)や環境問題などで社会貢献を行うこと、ということです。

――さらに、調査結果からとくに消費財企業にフォーカスしたレポートも出されたとお聞きました。

宮崎:Global CEO Studyでは、1,100社を超える企業の調査を行いました。その中で、消費財企業は70から80社ほどで、それらをフォーカスし、まとめたレポートが、これからご説明するものになります。この70から80社の中には、みなさんもよくご存じのグローバル企業も入っていますし、もちろん日本の企業も含まれています。

――それでは、Global CEO Study全体と消費財企業を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか?

宮崎:消費財企業は変革に対して慎重な姿勢がみられるものの、市場の成長や情報武装した顧客、そしてCSRをポジティブに受け止めている、といえると思います。さきほどの未来企業の5つの条件でいうと、「1 変化の速さを機会ととらえる」、「2 顧客の想像を超える」、「5 社会問題に誠実に取り組む」の3つについて、とくに関心が高いようです。

自動車業界、家電業界、通信業界などのほかの業界に比べると消費財業界は保守的な傾向が強く、グローバルに展開する一部の大企業をのぞけば全体的には「3 世界中の優れた能力を活用する」、「4 ビジネスの常識を破壊する」に対する関心は低いといえるでしょう。ただ、関心がまったくないわけではないのですが、全体的に比べると低いという程度の差です。

――未来企業の5つの条件を消費財企業の立場で考えると、どのようなことになりますか?

宮崎:調査結果を消費財企業に絞って見てみましょう。
「1.変化の速さを機会ととらえる」では、抜本的な変革の必要性を認識していて、実際に必要な変革レベルのマネジメントにも自信を持っています。「2.顧客の創造を超える」では、成長市場における購買力の高まりや、より情報武装され積極的な顧客についてはポジティブに受け止めている一方、投資レベルは限定的と考えているようです。

「3.世界中の優れた能力を活用する」ということでは、グローバル統合によるメリットを認識していて、自社の組織機能やナレッジ、アセットなどを大きく変革し、さらに新規市場に参入する場合にはパートナーリングを行っているのが消費財企業です。「4.ビジネスの常識を破壊する」という観点では、消費財企業はビジネス・モデルの変革に対してより保守的なアプローチをプランしていて、差別化および、既存市場と製品・サービスの新しいミックスの再定義に重点を置いています。

「5.社会問題に誠実に取り組む」では、環境に対する自社のイニシアティブ、新しい商品そして自社の透明性のコンビネーションを高めることを通じて、顧客のCSRに対する期待の高まりをとらえています。

消費財業界における未来企業のあるべき姿

――消費財企業の関心が高いという3つの条件について、もう少し詳しく説明していただけますか?

宮崎:「1. 変化の速さを機会ととらえる」ということですが、必要と認識される変革と実行された変革のギャップを見ると、全体ではおよそ22%ありますが、消費財企業に限ると16%とその差は小さくなっています。消費財企業のCEOは抜本的な変化の必要性を理解しており、実現度も高いのです。消費財企業の大多数は必要とされる変化の度合いをうまくコントロールしているというのが、今回の調査結果です。消費財企業にとっての変化とはなにかというと、急騰する食料価格やエネルギー価格などの市場要因、人材、グローバル化、それに次いで法規制や環境問題などが挙げられていました。

図2. 今後必要とされる変革の度合いと過去の変革実現度合いとの差
グローバル(全体)では、今後必要とされる変革の度合い:抜本的83%、中規模11%、限定的または不要6%。過去の変革実現度合い:抜本的61%、中規模20%、限定的または不要19%。抜本的な変化を比較をすると、22%の変化ギャップとなる。それに較べ消費財企業では、今後必要とされる変革の度合い:抜本的82%、中規模14%、限定的または不要4%。過去の変革実現度合い:抜本的66%、中規模22%、限定的または不要11%。抜本的な変化比較をすると、16%の変化ギャップとなり、その差は小さくなっている。(なお、変化ギャップとは、今後必要とされる変革の度合いと過去の変革実現度合いとの差を表す)
※出典:IBM Global CEO Study 2008; n (2006) = 709, n (2008) = 1,104, n (CP) = 73

「2. 顧客の想像を超える」では、消費財企業は新興市場に積極的に投資しているということが重要です。消費財企業は、新たなセグメントや市場の高まる顧客購買力をプラスに受け止め、積極的に活用しようとしています。一方で、より情報武装された、積極的な顧客についてもプラスに受け止めてはいるものの、限定的な投資増加しか計画されていません。成熟した市場よりも成長市場への投資に積極的というのが、消費財企業の傾向です。

図3. 成長市場における購買力の高まりと関連投資
欧米経済諸国の成長市場における購買力の高まりと反映(円グラフ):プラスの影響74%、影響なし11%、マイナスの影響16%。関連する投資は、過去3年間における投資から今後3年間における投資を推移すると27%増加。
※出典:IBM Global CEO Study 2008, n (グローバル) = 609; n (CP) = 38

「5 社会問題に誠実に取り組む」ということでは、これは消費財企業に限らないのですが、以前は義務としていた社会貢献を積極的に行い、自社の武器にして、イメージアップやビジネスの拡大に役立てていこうというのが現在の共通した意識です。消費財企業の大半はCSRをチャンスとしてとらえており、この領域への急速な投資増加を計画しています。

図4. 消費財企業の大半がCSRへの急速な投資増加を計画
企業の社会的責任に関するお客様の期待増加(円グラフ):プラスの影響71%、24%、6%。関連する投資は、過去3年間から今後3年間を推移してみると33%増加を計画。消費財企業のCEOの投資焦点として「環境イニシアチブ」と「新製品」が挙げられる。
※出典:IBM Global CEO Study 2008, n (グローバル) = 609; n (CP) = 73

――このレポートは世界的な調査をベースにしているわけですが、日本の消費財企業に対して強調しておくようなことはありますか?

宮崎:「3. 世界中の優れた能力を活用する」、「4. ビジネスの常識を破壊する」について、全体に比べると関心は高くないと申し上げたのですが、日本の大手消費財企業に限っていえば、やはり関心は高いように思います。「2. 顧客の想像を超える」とも関連するのですが、とくに商品開発という面で強さを発揮するための変革を求めているということがいえるでしょう。日本IBMでは、そのエリアで効果を発揮するR&D NPDI(New Product Development & Introduction)、ブランドイメージを評価するCOBRAといったソリューションをご用意していますので、ぜひご活用いただきたいですね。

――消費される商品を作って供給していくという面では伝統的で保守的な業界ですが、今後生き残っていくためには、やはり未来を見据えた変革が必要ということですね。本日は、ありがとうございました。

関連セミナー

食品・消費財メーカー向け新商品開発支援セミナー

開催日時:2008年10月22日(水曜日) 14時から17時(受付開始 13時30分から)
会場:IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社 セミナールーム
(東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 18階)

筆者紹介

宮崎 信秀の顔写真



日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業
コンサルティング&SI
流通サービス事業部
コンシューマー・プロダクツ・インダストリー
パートナー
宮崎 信秀

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