
タブの始まり
- 「サプライ・チェーンの可視化」全体を見る仕組み、人材を
- 「コストの抑制」コストとサービスのバランスが重要
- 「グローバル化」企業戦略とリンクしたSCMの構築を
- サプライ・チェーンが大きく変化する中で
- 関連情報
- 筆者情報

よりスマートな
サプライ・チェーンを実現するために
世界中の約400人のCSCOに実施したインタビュー結果をまとめた「Global Chief Supply Chain Officer Study」では、サプライ・チェーンを取り巻く5つの大きな課題が浮き彫りになりました。また、グローバルと日本での認識の違いも注目されます。
ここでは、前編で紹介した「リスク・マネージメント」「顧客との親密性」という課題に続き、「サプライ・チェーンの可視化」「コストの抑制」「グローバル化」という課題について、近藤倫明と安瀬和博が分析していきます。
「サプライ・チェーンの可視化」全体を見る仕組み、人材を
近藤 : 3番目の「サプライ・チェーンの可視化」については、先ほども出てきた「先読み」が重要です。顧客の在庫や需要を可視化し、リスクを踏まえた上で補充していくということです。図5に示したように、顧客向け連続補充プログラムや、Vendor Managed Inventory(VMI:ベンダー管理在庫)、Collaborative Planning Forecasting and Replenishment(CPFR:製造業と小売業による協働の販売計画・需要先読み・在庫補充)など、顧客の在庫状況を見ながら商品を補充していく仕組みに課題があるということです。
安瀬 : 国内では、卸や配送センターが在庫に対するバッファーの機能を果たしていますが、逆に言えば、余分な在庫を抱えていることにもなりますし、営業店が不安にならないようにあえて在庫を持つということも実際にはあるようです。そういう意味では、グローバル・リーダーと比べると、国内の企業の取り組みはまだまだ遅れています。

図5. 実施されている
コラボレーション手法 (99KB)
Adobe® Reader®が必要
近藤 : テクノロジーが発達したことで、在庫や需要の情報収集は容易になっています。とはいえ、その情報を整理したり、次のアクションを取ったりするのは別の問題です。調査結果を見ても、可視化やコラボレーションを阻害する要因は「縦割り組織が協働を妨げている」「個々人が忙しすぎる」「そもそも協働そのものが重視されていない」といった声が多数を占めています。テクノロジーを積極的に活用するとともに、サプライ・チェーン全体のことを考えながら、協働への取り組みをリードする人材が求められているということでしょう。
安瀬 : 可視化とそれに基づくアクションのことを、IBMでは「センス&レスポンド」という言い方をしていますが、「センス」するだけではなく、「レスポンド」に注力していく必要があるということですね。確かに、人材が育っていないのは大きな課題です。物流担当者は物流だけ、製造担当者は製造だけを考えがちです。それを解決するためにSCM企画部などが設置されていますが、今度は需給計画だけを考えがちです。サプライ・チェーン全体を考えられる人材の育成が急務です。
「コストの抑制」コストとサービスのバランスが重要

図6. アウトソース領域と
ロジスティクス施策 (102KB)
Adobe® Reader®が必要
近藤 : 4番目は「コストの抑制」です。消費財業界では、いわゆる定番品がなくなって、今まで売れていた商品が急に売れなくなったりするという状況が頻繁に起こっています。こうした変化に柔軟に対応しつつコストを抑制するには、アウトソーシングにより固定費を変動費化することが考えられます。
安瀬 : 物流なら3rd party logistics(3PL)を導入するといった…。
近藤 : そうです。企業が実際にSCM分野でアウトソースしている機能を図6に示します。やはり「輸送」や「倉庫・流通センター」が多く、「通関・輸出管理」「返品物流」などを含めロジスティクス関連が上位を占めています。それ以外では「製造」や「コールセンター」などの業務がアウトソースされ、「調達」は意外に少ないという結果となっています。
また、ロジスティクスで採用されている施策としては「会社としての物流戦略の立案」「3PLとの間の協働および統合」などが挙げられていますが、それなりに成果を上げていると見ることもできるでしょう。
ただ、アウトソースを採用することで、今度は業務プロセスやノウハウの把握が薄れるということになりかねません。例えば、物流をアウトソーサーに任せてしまうと、支払い物流費に包含されてしまい、コストの分解ができなくなるので、個々の業務プロセスにどんな問題点があるのか分からなくなってしまうという問題があります。
安瀬 : そこで、Key Performance Indicators(KPI:重要業績評価指標)の対象を協力会社にまで広げ、いかにコストとサービスのバランスを取っていくことが重要になります。これも今後の課題ですね。
「グローバル化」企業戦略とリンクしたSCMの構築を

図7.グローバル化に
よる課題 (92KB)
Adobe® Reader®が必要
近藤 : 5つ目の課題は「グローバル化」、すなわち「グローバル化による相互接続の複雑さ」です。海外からの調達が増え続けていて、今後は今まで以上にアジアや東欧からの調達が急成長すると予想されています。その結果、納期やリードタイム、品質、サービスなどの外部の管理が必要となり、業務はますます複雑になってきています。
安瀬 : 何か問題が発生したときには、原因を調査して、的確なアクションを取らなければいけませんが、海外からの調達では、トレーサビリティーと呼ばれる履歴管理の仕組みづくりが重要です。
近藤 : 特に食品や化粧品は、安心・安全の取り組みで失敗すると、自社のビジネスそのものが崩壊してしまう恐れがありますから、海外からの調達に危機感を持って取り組んでいる企業が増えています。
その一方で、グローバル化を、規模の拡大のみにフォーカスしていて、グローバル・サプライ・チェーンによるシナジー効果やグローバルな効率化にまで視野に入れていない企業があることも事実です。
安瀬 : そういう意味では、海外企業の買収といった企業戦略に、サプライ・チェーンの戦略やアクションが追いついていないといえるかもしれません。後追いでサプライ・チェーンの構築を考えているというのが、国内の企業の大きな課題でしょう。
サプライ・チェーンが大きく変化する中で

図8.5つの課題と
3つの取り組み (67KB)
Adobe® Reader®が必要
近藤 : 5つの課題以外にも、幾つか興味深い調査結果が出ています。例えばグリーンへの取り組みがあります。いわゆる環境問題は、国内ではかなり意識して取り組まれています。また、先ほども話題になった人材マネージメントも、今後のSCMのキーワードのひとつでしょうか。
安瀬 : そうですね。5つの課題に話を戻すと、サプライ・チェーンが大きく広がり、激しく変化している中で、起点となる顧客やパートナーとのリレーション、そしてグローバル規模でのサプライ・チェーンの可視化や統合が不十分なことが、大きな課題となっています。また、可視化の範囲を拡大するだけでなく、見える化された情報に基づいていかにアクションを取っていくかが重要であり、そのために関係者やリソース全体の調整と協働の促進を図る役割がCSCOには求められています。今後、CSCOが取り組むべきテーマについては、図8のように整理できるのではないかと思います。
近藤 : それでは今回はこの辺で終わりたいと思います。IBMは、こうした仮説に基づき、よりスマートなサプライ・チェーンを構築するさまざまなソリューションを用意しています。ぜひIBMにご相談ください。
関連情報
プレスリリース
お客様向け資料
このレポートについてもっと詳しくお知りになりたい方は、右上「フォームでお問い合わせ」をクリックのうえ、件名を「サプライ・チェーンを取り巻く5つの課題」としてお問い合わせください。
筆者紹介

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社
流通事業本部 コンシューマー・プロダクツ インダストリー
執行役員 パートナー
安瀬 和博

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社
SCMコンサルティング ロジスティクス・購買コンサルティング
部長 シニアマネージングコンサルタント
近藤 倫明
本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM、IBMロゴ、ibm.comは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれの各社の商標。

