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よりスマートな鉄道事業を支えるために

鉄道事業のお客様のチャレンジを支援するIBM Global Rail Innovation Center

6月11日、中国・北京にIBM Global Rail Innovation Centerが開設されました。このセンターでは、IBMが長年にわたって鉄道業界のお客様向けに提供してきた技術やサービスを集約し、「よりスマートな鉄道」の実現に向けての活動を始めています。ここでは、鉄道事業のチャレンジとそれをご支援する当センターについて、ご紹介させていただきます。

鉄道、それは極めて今日的なテーマ


鉄道事業は、欧米各国で19世紀前半にスタートし、瞬く間に陸上輸送の主役の座に着きました。その後、アジア・アフリカの各国でも鉄道建設が進み、日本においても1872年に新橋・横浜間で開業しています。

19世紀後半には、世界中で鉄道網が張り巡らされ、欧米の第二次産業革命や、米国の西部開拓、そして世界経済の誕生などにおいて大きな役割を果たしました。鉄道は世界中をネットワーク化し、ビジネスに欠かせない存在となり、人々の暮らしに浸透していったのです。

「終着駅」「夜汽車」「蒸気機関車」といった言葉に、人々は旅情や哀愁を感じるかもしれませんが、鉄道はけっして過去のロマンではありません。

今日、年間で100億トンもの貨物と、210億人もの旅客が、世界中の鉄道によって運ばれているのです。しかも、そのニーズはますます高まっています。2006~2007年における鉄道需要の伸び率は約9%であり、新興国を中心に爆発的に増え続けると予測されています。今後5年間で3000億ドルもの投資が必要という調査報告もあります。

鉄道は、極めて今日的な事業領域ということができるのです。

IBM Global Rail Innovation Centerの設立

世界的な鉄道需要の増大に応えるのが、高速鉄道の建設です。その一方で、さらなる安全性・効率性の向上も求められています。

2008年にIBMが実施した調査によると、グローバル鉄道企業のエグゼクティブが挙げたトップ4の課題は、「輸送力と混雑緩和」「業務効率と信頼性」「業界構造と競合」「安全性とセキュリティ」であり、このような課題を解決するために、2009年6月11日、中国・北京に開設されたのがIBM Global Rail Innovation Centerです。

このセンターでは、IBMが長年にわたって鉄道業界のお客様向けに提供してきた技術やサービスを集約し、「よりスマートな鉄道」の実現に向けての活動を始めています。具体的には、新たな高速鉄道の実現にむけて、チケットの注文から保守・整備のスケジューリングにいたるまで、輸送力増大への対応、より効率的な鉄道システムの運用、旅客・利用者の満足度向上、といった付加価値の高いソリューションを提供することで、鉄道業界の発展に貢献していきます。

センターでは、IBMがワールドワイドに展開する基礎研究所、ソフトウェア研究所などから集まった鉄道システムの専門家が研究・開発にあたっていますが、さらには世界各国から、鉄道業界の経営層や、鉄道分野の学者・研究者、鉄道関連のビジネス・パートナーの専門家に、参加していただくこともあります。

鉄道システムの最先端の知見を共有化

今日の鉄道には、資産管理、保守整備、スケジューリング、鉄道ネットワーク管理、車両およびインフラの無線監視、サプライ・チェーンとエネルギー利用の最適化、安全性とセキュリティ、旅客サービスといった、幅広い領域におけるソリューションが求められています。

世界各国の鉄道事業者は、IBM Global Rail Innovation Centerを介して多種多様なソリューションの利用やソリューション開発にむけた協業の可能性を検討することができます。例えば、イタリアの高速鉄道網の開発により得られたノウハウを、中国やカリフォルニアのチームで活用できるかもしれません。また、ロシアの鉄道プロジェクトにおいては、米国におけるインターモーダル(交通システム全体で環境負荷を軽減する取り組み)を参考になるかもしれません。

世界中のパートナーが、鉄道システムについての最先進の知見を共有できるようになるのです。

地球環境にやさしい鉄道システムを

IBMが、このセンターを開設した大きな理由のひとつが、環境問題への対応です。

鉄道輸送は、大量輸送によるコスト削減や、定時運行による確実性といったメリットをもたらしますが、さらに温室効果ガスの排出量抑制にも効果的であり、モーダルシフトの観点からも注目されています。

例えば、鉄道輸送のエネルギー消費量は、トラック輸送や航空機輸送の半分から5分の1程度といわれています。1リットルの燃料を使用することで、1トンの鉄道貨物160キロメートルも運ぶことができ、貨車1両は280台分のトラックに代替できるといわれています。CO2の排出量についても、鉄道は自動車や航空機の3分の1から10分の1に抑えることが可能です。

地球環境の保全のためにも、センターの活動が期待されています。

スマートな鉄道の姿とは?

センターでは、よりスマートな鉄道の実現に向けて、Instrumented(機能化)、Interconnected(相互接続)、Intelligent(インテリジェント)の3つの観点から、研究・開発を進めています。

Instrumented(機能化)
今日の鉄道システムは監視装置を導入するなど、車両のトラブルを防ぐ努力を続けてきましたが、まだまだ十分とはいえません。

IBMが考える「よりスマートな鉄道」とは、例えば、各車両の車軸ベアリング・ユニットに無線センサーを搭載し、異常が発生する前にブレーキ機構を取り換えるタイミングを知らせ、トラブルの発生や事故を未然に防ぎことを可能とすることです。また、運転席前方のデジタル画像情報により、自動的に危険を察知したり、さらには、Web、携帯電話、その他の媒体を使用し、旅客・利用者が自分たちの旅行体験を自由に管理することを可能とするものです。

Interconnected(相互接続)
輸送需要がますます増大する中で、既存の鉄道システムでは、ターミナル駅での乗り換えや荷物の積み替えに支障が生じたり、単線において本来は不要な待避が行われたりしています。また、多くの荷主のニーズにきめ細かく対応するには、種類の異なる荷物を混載された貨車を編成するブロック・トレイン方式が有効ですが、必ずしも最適化されているとはいえません。

IBMの「よりスマートな鉄道」では、例えば、ブロック・トレイン・スケジューリングにより、貨物列車のみならず旅客列車を含む鉄道運行を最適化し、又、スケジューリングに加え、発券や各種サービスを提供するシステムを高度に連携させることで、より効率的で快適な移動手段を旅客・利用者へ提供することを目指します。

Intelligent(インテリジェント)
鉄道利用者の多くが、現状の予約システムやチケット発行システムの恩恵を受けているものの、さらに充実したサービスを求めています。

IBMが考える「よりスマートな鉄道」とは、モバイル監視システムにより、車両の点検状況や、集荷目録(マニフェスト)・旅客名簿、輸送状況などの業務情報をリアルタイムで収集・分析し、鉄道のインテリジェント化を促進し、何百本もの列車が安全かつ定刻通りに運行される仕組みの実現にむけたものです。インテリジェント化されることにより、各種サービスの実施順位の決定や、保守部品の発注、保守のスケジューリング、リモート点検の実施などを自動的に実施することができるようになれば、より効率的な鉄道の運行を可能にするでしょう。

IBMは、鉄道のイノベーションを支援します

鉄道の重要性は、さまざまな輸送手段が高度に発達した今日においても、列車が文字どおり時代をけん引した19世紀当時に劣るものではありません。むしろ、果たすべき役割はさらに大きくなっています。

IBM Global Rail Innovation Centerは、今後とも、よりスマートな鉄道システムの実現に向けて努力を続けてまいります。

鉄道のイノベーションは、さらに続きます。

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