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物流の最適化を実現するSmart Workの実践

よりスマートな物流とは

よりスマートな物流とは

今、世界では数え切れない無駄や非効率がまん延していますが、物流の分野においてもそれは決して例外ではありません。この問題を解決し、一人一人が快適に仕事ができるようにするとともに会社の生産性の向上につなげるのがIBMが提唱する「Smart Work」の考え方です。

ここでは、流通事業 航空・運輸・旅行の領域で長年にわたりグローバル企業の成長をお手伝いしているIBMグローバル・ビジネス・サービスの渡部 達が、物流の最適化を実現するSmart Workの考え方と、その事例から導き出された共通要素についてご説明します。

今、世界で起きていること

最近IBMが実施したSmarter Planetの調査によれば、物流の分野ではさまざまな無駄や非効率が発生していることが判明しています。例えば北米では物流全体の22%以上が空のコンテナーのまま運ばれている、あるいはニンジンが産地から1600マイルも運ばれてから店頭に並んでいるなど、その枚挙には暇がありません。

こうした状況の中で、企業の中では何が起こっているのでしょうか。
次にあげられるような課題と実態があることが同調査で判明してきました。

  1. 縦割り 全世界の60%のプロセスは縦割り(サイロ)で管理され、91%のChief Executive Officer(CEO:最高経営責任者)はビジネスの再構築に取り組んでいます。
  2. 受動的・慣例的 会社は、非効率なプロセスのために1人当たり毎週5.3時間を失っており、毎年、数十億ドル相当の生産力を失っています。
  3. 硬直 42%の役職者は、少なくとも週に一度は間違った情報に基づいた意思決定を下しています。
  4. 孤立 従業員の3人に2人は、自らの仕事を手伝ってもらえる適切なメンバーを見つけ られないでいます。

このような問題は、今や看過できないほど深刻化しているといえるでしょう。

Smart Workの考え方

IBMは、この状況を解決する仕事のやり方として、Smart Workを提案しています。

表1に示したようにSmart Workでは、「縦割り」には「横断」で、「受動的・慣例的」には「能動的」で、「硬直」には「俊敏」で、「孤立」には「人間中心」で対応します。

表1. どのように変えていけばよいのか

縦割り

横断
縦割りで分断された組織とビジネス・プロセスから、グローバルに接続され流動的で統合されたビジネス・プロセスへ


受動的/慣例的

能動的
受動的、慣例的な管理体系から、能動的にチームがより速く主要な人材を活用できるようにはっきりと「見える化」できる環境へ


硬直

俊敏
固く変化のない環境から、俊敏に人間、プロセス、技術がお互いに機能し合って、迅速に変革を導く環境へ


孤立

人間中心
近視眼的で孤立的な関係から、人間中心による多くの価値創出のための専門技術の関係へ

そう考えると、Smart Workとはわれわれ一人一人がそれぞれの役割の中で持っている専門性・創造力を最大限に活用して、自身が快適に仕事をできるようにするための取り組みであり、結果的に、会社にとっても生産性の向上につながることになります。

では、実際にどのような方針でSmart Workに取り組んでいけばいいのでしょうか。企業により、考え方はさまざまでしょうが、図1に示したように「コスト」と「品質」の2軸で表すことができると思います。ここでは「品質」は「効率」と読み替えることも可能です。

例えば、景気が良いときには、多くの企業は競合他社を出し抜こうと考え、コストを掛けても差別化していくという「戦略展開型」のポジションを取るでしょう。ところが昨今のような厳しい経済環境下では、品質を維持したままコストを下げるというポジションを選択せざるを得ない企業が多いでしょう。特に海外企業と厳しいコスト競争をしている企業は、多少品質を落としても十分に競争力があるのだから、なんとしてもコストを下げたいと考えるかもしれません。

いずれにせよ、このコストと品質をうまくバランスさせていくことがSmart Workの実現につながると、IBMでは考えています。

図1. 現在、あなたの企業はどこにいるのか

利益の出ない企業や倒産する企業が増える中、最近では、品質とコストの見方について、品質を最大にするのでなく利益を最大にすること(最適品質)が必要と言われている。

景気で左右される企業のポジション:現在維持型/利益追求型/戦略展開型/現状改善型

Smart Workの実践例

ここで、Smart Workに実現に成功したグローバル企業の事例を幾つかご紹介します。

アトラス・エア・ワールドワイド・ホールディングス社 (航空貨物輸送事業)

ユーベンチ・インターナショナル社 (ビジネスサービスプロバイダー事業)

DHL社 (国際宅配便事業)

トレードメリット社 (SCPM業者)

成功事例から学べること

IBMがお手伝いしてきたSmart Workの事例を見ていく中で、われわれは次に挙げるの4つの共通要素があることに気付きました。

すなわち、スマートな物流とは、一部門でできないことを会社レベルで考えたり、あるいは一企業でできないことを複数の会社(お客様や荷主様、パートナー企業かもしれませんし、場合によっては競合他社かもしれません)と一緒になって考えたりすることで、皆が快適に仕事ができるようになることです。

具体的には、Radio Frequency Identification(RFID)や、さまざまなセンシング技術を用いて、サプライ・チェーン上のモノ・ヒトに何が起こっているのかを正確にとらえられるように、メーカー・荷主・物流業者が一緒になってその仕組みを構築し、情報を皆でシェアできるように相互接続していきます。当然ながら、企業間で利害関係が発生することもあるでしょうが、それを越えた関係を構築することで、輸送・配送の大幅な効率化や、無駄な輸送や在庫の圧縮、渋滞・事故の解消、労働力不足・労働時間短縮への対応、CO2などの排出削減、災害発生時の緊急輸送手段の確保など、物流にかかわる諸問題を解決していきます。

こうした取り組みの一例として、今、IBMでは、あるお客様と協働して、スマート・ロジスティックス・センター構想に取り組んでいます。これはドア・ツー・ドアでモノを運ぶ際に、物流業者・荷主・倉庫業者といった複数のパートナーで情報を完全に一元化し、仕事のやり方をより合理化して、生産性を上げていこうという取り組みです。

多くの企業の皆様が「本当はこんな形で仕事ができるといいな」という思いをお持ちだと思います。それを実現しようというのがSmart Workです。企業が単独で解決できない問題も、複数の会社で一緒に取り組むことで道が開けるはずです。ぜひ、日本IBMにご相談ください。

筆者紹介

渡部 達の顔写真



日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業
コンサルティング&SI
流通サービス事業部
航空・運輸・旅行
インダストリー・リーダー
渡部 達

本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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