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成長する企業に共通するCIOの特徴とは

Global CIO Study 2009の結果より

IBMグループでは、2004年より「CxO Study」シリーズとして、世界中の企業のChief Executive Officer(CEO:最高経営責任者)やChief Human Resource Officer(CHRO:最高人事責任者)、Chief Financial Officer(CFO:最高財務責任者)の方々にインタビューを実施させていただき、その結果を調査報告書としてまとめています。

ここでは、2009年度にグローバルのChief Information Officer(CIO:最高情報責任者)に対して実施した「Global CIO Study 2009」について、日本における実施責任者であるIBMグローバル・ビジネス・サービスの加藤 陽一が、流通業の視点を交えながら報告します。

高成長企業のCIO方々に共通する行動特性とは

を両立させながら、「イノベーションの具現化」、「IT投資対効果の最大化」、「ビジネスへの貢献拡大」に意欲的に取り組んでいることが明らかになりました。
それでは、個々に詳しく見ていくことにしましょう。

「イノベーションの具現化」に向けて

イノベーションを具現化するには、CIOは「洞察力に富んだ先見者:Insightful Visionary」として事業部門とともにInformation Technology(IT)による変革を推進しなければなりません。もちろんビジョンを示すだけでなく「有能な実務者:Able Pragmatist」として、具体的な計画を作成・実行することも求められます。

「洞察力に富んだ先見者」という側面では、高成長企業のCIOは「事業および企業ビジョンの具現化」「ビジネスとITの融合」が不可欠であると認識し、イノベーションを実現するために、事業部門に対して積極的な支援を行っています。こうした取り組みにおいて、安定成長企業のCIOとは大きな差があります。

「有能な実務者」という側面では、高成長企業のCIOは、自社のIT部門や全社でのコラボレーション・情報共有に積極的に取り組んでいます。また、社内のリソースだけではなく、外部のITリソースも積極的に活用しようとしています。ただし、外部リソースに求める要件はITスキルだけではありません。例えば、スペインのアパレル小売業のCIOは「ビジネスの知識を持たないITサービス提供者はもはや受け入れられない」と語っています。

この領域の成功事例としては、ドイツの大手小売業METRO Groupの取り組みを挙げることができます。Radio Frequency Identification(RFID)を用いて、商品の動きをリアルタイムに追跡し、顧客の各購入プロセスにおいて、最も関心があると思われる情報を自動的に提供する仕組みを構築しました。自社のビジネス・モデル全体から、価値をいかに最大化できるかという観点で、テクノロジーを戦略的に活用した事例と言えるでしょう。

「IT投資対効果の最大化」に向けて

IT投資の効果を最大化するには、CIOは「見識ある価値創造者:Savvy Value Creator」として顧客ニーズを把握し、自社のビジネスに有効な企画を立案すると同時に、「あくなきコスト削減追求者:Relentless Cost Cutter」として徹底的にコスト削減に取り組まなければなりません。

「見識ある価値創造者」としてのポイントは、社内外に偏在している顧客データをいかに情報として統合し、経営に役立つように透明性を確保するかが大切です。

「あくなきコスト削減追求者」という観点では、高成長企業・安定成長企業のいずれのCIOも「IT基盤の統合・集中化によるコスト削減」の重要性を認識しています。一方、「ビジネス・プロセス標準化による低コストなオペレーション」については、高成長企業のCIOがより強く認識しています。この点について、日本の流通企業のCIOは「ITの全体最適化が重要であり、Return on Investment(ROI)の明確化・投資の優先順位付けなど、ITガバナンスの必要性を痛切に感じている」とおっしゃっています。

この領域の成功事例としては、フランスのスーパーマーケット・チェーンであるCarrefourの取り組みが挙げられます。これは、ビジネス・インテリジェンスを活用したブランド再活性化の例であり、店内販促キャンペーンを展開して顧客ロイヤルティーを高めることで、売り上げ増大と同時にコスト削減を実現しました。また、P&GやKraft Foods、Sara Leeの取り組みも参考になります。いずれも、バリュー・チェーン全体を差別化業務と非差別化業務に分類し、差別化業務に自社リソースを集中して競争力を高め、非差別化業務はアウトソースしてコスト削減を徹底するというものです。

「ビジネスへの貢献拡大」に向けて

ビジネスへの貢献拡大のためにCIOは、CEOやCFO、各事業部門の責任者などとともに「協働するビジネス・リーダー:Collaborative Business Leader」として経営に直接関与しながらも、「組織を活性化するITサービス提供者:Inspiring IT Manager」として新たな取り組みを進め、組織の専門能力を高めることが求められています。

高成長企業のCIOは、「協働するビジネス・リーダー」として、ビジネス戦略により深く関与することで、経営層からも高い評価を得ています。例えば、カナダの家庭用製品小売企業のCIOは「ITは経営の一部であり、あらゆる分野に及んでいる、というのが当社のCEOの考え方である。バリュー・チェーンにおけるITの位置付けは高まる一方である」とコメントしています。

「組織を活性化するITサービス提供者」の役割として、高成長企業のCIOは、IT組織を、全社のビジネス・プロセスを最適化する専門家集団(センター・オブ・エクセレンス)と考え、「変革と創造の推進」に、多くの時間を振り向けていることが分かりました。そのための課題として、アジア/太平洋地域の輸送関連企業のCIOは「慢性的にIT人材が不足している。OJT(On the Job Training)によりスキル向上を図っているが、ITとビジネスの両方を理解する人材の育成が急務である」と語っています。

この分野のケース・スタディーとしては、世界最大の花屋/ギフト・ショップである1-800-FLOWERSの取り組みを挙げることができます。同社が持つ14のギフト・ブランドの相乗効果を高めるために、統合化されたe-コマース・プラットフォームを構築し、全社的な情報共有を実現しました。

地域/業種による共通点と相違点

一方、業種による差異もありました。IT部門に大きな影響を与える外的要因として、ほとんどの業種で「ビジネス・モデルの変化」「予算」が挙げられていますが、それ以外に、例えば金融・保険業やライフサイエンス業では「法規制対応」の影響が上位にあり、製造業では「グローバル化」が上位にあるなど、業界ごとの違いも明らかになりました。消費財産業・小売業においても今後は、「グローバル化」の影響が大きくなると予想されます。

また、今後活用したいテクノロジーとして「ビジネス・インテリジェンス」が最上位にくるのはほぼ共通していました。注目したいのは消費財産業・小売業で「モバイル・ソリューション」が上位にきている点です。例えば、Kraft FoodsのiFood Assistantという取り組みは、今後の参考になるでしょう。

日本のCIOが認識している重要課題

皆様が重要課題として挙げている項目を図に示します。日本のCIOの方々は「ITを活用したビジネス革新の推進」や「情報の戦略的活用」「CIOの役割の再定義」「ビジネスとITの融合を促進する人材育成」「ビジネス・プロセスとITのグローバル最適化」といった課題を特に重視されていることが分かりました。

その具体的な施策としては「先進技術を採用したビジネス革新のアイデア・事例調査」や「先進技術を活用した新規ビジネス・モデル、業務革新実現案の提案」「競争力強化に向けての施策へ資源を集中するために非差別化業務の外部委託化の推進」「ITポートフォリオ管理による投資対効果の最大化」「ビジネス・プロセスの標準化推進によるシステムの重複投資の回避」「CEO、Chief Operating Officer(COO:最高執行責任者)、CFO、業務部門との戦略連携強化とビジネス強化策提言」「専門集団によるイノベーション提案の組織的推進能力強化」などが検討されています。

多くの課題がある中で、すべてを一気に解決することは困難です。優先順位を付けて取り組んでいかなければならないでしょう。日本IBMでは、課題解決に向けて支援メニューと適用シナリオを用意しています。ぜひお問い合わせください。

また「Global CIO Study」については、専用のCIO Webサイトでさまざまな情報をご提供しています。自社の取り組みについて今回のCIO Studyと同じ質問項目に回答することで自己診断できるツールも用意していますので、参考にしていただけるのではないかと思います。

高成長企業のCIOの行動様式

図1 高成長企業のCIOの行動様式

グローバルと日本におけるCIOの行動特性の違い

図2 グローバルと日本におけるCIOの行動特性の違い

日本のCIOが認識している優先課題

図3 日本のCIOが認識している優先課題

日本のCIOの主要課題とIBMの支援メニュー

図4 日本のCIOの主要課題とIBMの支援メニュー

著者情報

加藤 陽一の顔写真


日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業
アプリケーション・マネジメント・サービス
ビジネス・イノベーション・サービス担当
パートナー
加藤 陽一

本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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