
山九株式会社(以下、山九)では、物流基幹システムを再構築し、2010年4月から第一弾システムの運用をスタートしました。新システムには、今まで蓄積してきたノウハウを組み込み、物流の基幹業務を支えるとともに、多様化するお客様のニーズへの対応が可能になります。この10年先を見据えたシステムの構築により、今後のさらなる事業拡大が期待されています。
日本IBMは、今回のシステム再構築に際し、プロジェクト全体および顧客情報提供サービスシステム、顧客ポータルサイトの構想策定からシステム定着化までを支援するプロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)を提供して、プロジェクトの推進を支援しています。また、ITインフラにおいても、本プロジェクトの開発を手がける株式会社インフォセンス(以下、インフォセンス)へ統合サーバーとしてIBM Power Systems、データベースにはDB2® 9.7を提供しています。
お客様ニーズが多様化する中で
――現在の物流業界をどのようにとらえていますか?
以前の物流事業は、正確かつスピーディに物を運べば、それだけでお客様にご満足していただけましたが、今日では、お客様に貢献する価値を提供することが重要です。例えば、お客様と一緒になって、在庫を減らしたり、あるいはサービス・品質のレベルを上げていったりすることが求められています。いわば「お客様のニーズに応える物流」に取り組んでいかなければ、生き残っていけないという状況がますます顕著になってきています。

――そのような業界環境の中で、山九としての企業戦略と課題は?
当社は、物流サービスと機工サービスを事業の柱とする総合物流企業です。物流サービスでは、東南アジア・中国地域に拠点を持つ強みを生かしつつ、物流情報を駆使することで、お客様のニーズにお応えしています。一方、機工サービスでは、お客様のプラント建設・工場建設などにおいて、機械設備の据え付けやメンテナンスなどを提供しています。「機工」は一般の方に聞き慣れない事業かもしれませんが、大規模製造業のお客様には欠かせないサービスであり、海外も含めて幅広く事業展開しています。そこで、物流サービス、機工サービスを融合させた独自の事業展開を進めていくことが、他社との差別化につながるのではないかと考えています。
それと同時に、物流事業においては、全国に展開する倉庫の在庫管理やオペレーションを、今まで以上に的確に行い、お客様の満足度を高めようと考えています。実際、多くのお客様が、受発注も含めた効率的なロジスティクスを構築したいというご要望をお持ちです。当社は、国内物流を中心に3PLに取り組んできましたが、最近では、外資系のお客様を中心に国際3PLへのニーズが高まっています。そうしたニーズに応えていけるように、国内・海外でのオペレーションの統合も必要になってきます。
蓄積した運用ノウハウを取り込んだ基幹システムを目指す
――その戦略を実践していくために、今回IT(情報技術)にも大きな変革が求められたということですか?
当社では、Sankyu-Logistics Integration Network Computing System(S-LINCS)という名称の物流基幹システムを2000年から運用してきました。とはいえ、構築当時には「3PL」という言葉すらそれほど一般的ではなく、お客様のニーズはここ10年で大きく変化しています。また、今年2月にオープンした首都圏物流センター(神奈川県川崎市)のスケール・メリットを生かすためにも、情報システムの全面見直しは必要だと考えていました。もちろん今抱えている課題を解決するだけでなく、10年後までを見据え、グローバル対応や、お客様対応力の強化、現場力の向上、人財育成なども必須で、その実現のためにも今まで蓄積してきた運用のノウハウを取り込んだ新しいシステムが必要になってきたのです。
新システムは、図に示したように、新物流基幹システムのWEB-LINCSと、顧客向け物流情報提供サービスのCustomer Information Service System(CISS)に大別されます。EDI-SANCSは既存の海外向けの基幹システムです。

山九新物流基幹情報
システム全体像
物流基幹システムであるWEB-LINCSは、5つのサブシステムと、全サブシステムの共通基盤となる「共通マスタ」、「共通売上(会計システムインターフェース)」で構成されます。一方CISSは、WEB-LINCS上の情報をお客様にお見せするための仕組みです。これまでもWebでお客様への情報提供サービスは行っていましたが、「『見える物流』から『見せる物流』へ」を合言葉にお客様の必要な情報を積極的にお知らせするというコンセプトで全面刷新を行いました。
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