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小売業はますます賢くなる消費者にいかに対応していくべきか

消費者の変化が、小売の世界を変化させる

いま、小売業を取り巻く環境に大きな変化が訪れようとしています。IBMが2年ごとにグローバルに実施するCEOスタディーの今年のレポートにおいても、小売業のCEOの多くが、小売りの世界は「より不安定になる」「より不確実になる」「より複雑になる」「構造が変化する」と考えているという結果が出ています。

中でも、消費者の変化をけん引しているのが、テクノロジーのコンシューマライゼーション(消費者向けへの広範な適用)です。インターネットとモバイル・デバイスを介して、いつでも、どこでも消費者同士が交流したり、対話したりできるようになった結果、消費者はよりスマートになっています。

小売業は、よりスマートな消費者にどのように対応していけばいいのか、IBMグローバル・リテール・ビジネス開発ディレクターのジョン・ブラックバーンが解説します。

消費者はよりスマートに

彼らは、日常生活の中で複数のデバイスを使いこなし、小売店とのコミュニケーションを行っています。また、デバイスを介して友人や家族とつながり、商品や店舗、ショッピング体験について対話するする能力を持っています。ある調査によると、オンライン・ショッパーの77%が、口コミの評価やレビューを参考にして商品購入を決定しています。そして、回答者の約3分の1が、自分にとって関心のある小売店については、Facebookをはじめとするソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログ、Twitterなどでフォローする可能性があるとしています。

スマートな消費者は、小売店に対し、自分が何を求め、何を期待しているのかを明確に理解しています。彼らは、小売業に対し、高品質かつバラエティ豊かな品ぞろえや、在庫切れをなくすことを求めています。そしてそれ以上に、自分に対しパーソナル化されたメッセージの発信、すなわちターゲットを絞ったプロモーションを展開することを期待しています。

彼らにとって、あまりにも一般的な情報は、読まずに捨ててしまう対象となります。また、店員に対しては、商品に対する知識不足や、自分の好みなどの個別化された情報を持っていないことに失望していることも、留意しなければなりません。

解体する従来型ショッピング・プロセス

従来の消費者は、欲しい商品があるときには、店舗を訪れ、自分の好みの商品を探し、気に入ったものがあれば購入して、自宅に持って帰りました。そして、その商品に関するアフターサービスが必要なときは、再びお店を訪れました。

従来のショッピング・プロセスはこうした直線的なつながりであり、小売店側で各プロセスをコントロールできました。ところがよりスマートな消費者は、電車・バスでの移動時間や、行列に並んでいるときなどの空き時間に、モバイル・デバイスを用いて通販サイトにアクセスします。従来のショッピング・プロセスは解体され、消費者は自分のパターンで買い物を楽しんでいるのです。消費者にとって、お店は、いつでもどこにでも存在し得るのです。

今後の小売業は、こうしたよりスマートな消費者にどのように対応し、関わり、そしてサービスを提供していくかを考えていかねばなりません。

先ほどのCEOスタディーでも、小売業のCEOのほとんどが、今後5年間に注力すべて分野として「顧客に近づくこと」を挙げています。それこそがよりスマートな消費者に対処し、ひいては自社のビジネスの差別化に通じるポイントとなるからです。

シームレスかつ容易に買い物ができるように

IBMは、よりスマートなショッピング経験を効果的に提供するためには、下記に示した4つのコア・コンピテンシーに注力すべきであると考えています。中でも、1番目と2番目は重要です。

4つのコア・コンピテンシー

よりスマートなショッピング経験を効果的に提供するために、小売業は4つのコア・コンピテンシ−に注力すべきである

  1. 顧客が複数の接点やブランドにわたって「シームレス」かつ「容易に」買い物ができるようにする
  2. 顧客との対話が「タイムリー」かつ「適切に」行われるようにする
  3. ブランド価値を「常に」提供することで、顧客の期待に「継続的に」応えていく
  4. 顧客がそれぞれの「関心」と「ライフスタイル」を反映する形でブランド経験を「作り上げる」ことができるように支援する

1番目のコア・コンピテンシーは、複数の接点やブランドにわたって、シームレスかつ容易に買い物ができるようにするということです。例えば「オンラインで買った商品を、店舗で返品できる」といったように、顧客がWebサイトで買い物をしても、店舗で買い物をしても、一貫性のある関係を構築していかねばなりません。

そのためには、カスタマー・インタラクション・プラットフォームという論理的なプラットフォームの構築が必要です。

具体的には、顧客をショッピング経験の中心に置き、その顧客がどんな好みを持ち、例えばWebに行くのを好む人なのか、その後で店舗に来る人なのか、そういった顧客のペルソナを基にサイト・デザインを行います。加えて、さまざまなSNSを介して一貫したメッセージを発信していきます。Webサイトでも、店舗内のキオスク端末でも、一貫したブランド経験を提供していくということです。

例えばオフィス・サプライ用品のStaplesは、カスタマー・インタラクション・プラットフォームを構築して、商品も顧客も一元的に見えるようにすることで、顧客ニーズをあらゆる対話の中心に置くことに成功した企業と言えるでしょう。

IBMは今後、カスタマー・インタラクション・プラットフォームを、モバイル・デバイスの領域にまで拡充していきたいと考えています。例えば、モバイル・デバイスの位置情報機能を利用して、顧客が野菜のコーナーにいるのか、鮮魚のコーナーにいるのかを確認し、それぞれ最適な情報を提供するといったことが可能になるでしょう。さらにモバイル・デバイスを顧客や店員向けのPOSとして活用することも検討しています。

こうした取り組みの一環として開発したシステムがSolution for‘Making Retail Smarter’(SMRS)です。このシステムは、カメラ付き携帯電話を商品の電子棚札や紙棚札にかざすだけで買い物ができる仕組みであり、消費者はレジに並ぶ必要がなく、重い商品はそのまま宅配してもらうこともできます。一方、小売店側は、消費者の詳細な購買行動や動向を簡単に取得できるようになり、よう充実したサービスの提供が可能になります。

顧客との対話をタイムリーかつ適切に

2番目のコア・コンピテンシーは、顧客との対話がタイムリーかつ適切に行われるようにすることです。

例えば、顧客が買い物をする気分ではないときに、小売店からプロモーションのメールが送られてきても、意味のないメッセージになってしまいます。それどころか「適切な情報が、タイムリーに提供されていない」とマイナスに考えてしまうかもしれません。

こうした課題を解決するには、顧客中心でマーチャンダイジングとサプライ・チェーンのモデルを考えていく必要があります。具体的には、さまざまなチャネルを通じて顧客と対話し、それによって生成されたデータを利用して、カスタマイズされた品ぞろえや、パーソナル化された個人対応のサービス、ターゲットを絞り込んだ商品提示を行います。

例えばファッションブランドのElie Tahariでは、売り場から届く売れ行きや在庫に関するリアルタイムの情報を分析することで、商品の品ぞろえを店舗レベルで最適化できるような仕組みを構築し、在庫管理コストも下げることができました。まさに、顧客との対話をタイムリーかつ適切に行った事例といえるでしょう。

顧客中心型の戦略や組織が求められている

小売業は、よりスマートな消費者からの要求に対し、顧客中心型の戦略や組織をつくることで対応していかねばなりません。先に紹介した2つの事例だけでなく、小売業界をリードずる企業は、下記に示した4つの取り組みを通じて、顧客からの困難な要求に対処しようとしています。

消費者の要求に対処するために

よりスマートな消費者は新しい困難な要求を小売業に突き付けており、リーダーは以下を実行してそれに対処しようとしている

  1. 顧客中心の戦略と組織を開発する
  2. カスタマー・インタラクション・プラットフォームを開発して、シームレスなクロスチャネルのショッピングを実現し、自社ブランドへの顧客の関与を強める
  3. 顧客に焦点を合わせたデータ・コンピテンシーを構築することで、パーソナル化された商品提案を推進し、品揃えをカスタマイズし、消費者の要望に即応する
  4. 顧客中心の戦略と組織を軸として、注文管理・履行、コミュニケーションの業務機能を整合化する

IBMは、その実現に向けてお手伝いできるように準備を整えています。よりスマートな消費者にどのように対応するべきかお悩みのようでしたら、ぜひIBMにご相談ください。

よりスマートな消費者はお互いに交流・対話する

よりスマートな消費者はお互いに交流・対話する

筆者紹介

  • ジョン・ブラックバーンの顔写真

    IBMコーポレーション
    流通事業
    グローバル・リテール・ビジネス開発ディレクター
    ジョン・ブラックバーン

本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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