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チェーン・ストアにおける品揃え最適化(後編)

精度の高いクラスター分析で 店舗グループごとの品揃えを最適化

IBMの店舗クラスタリング・ソリューションは、クラスター分析という手法を用いて、全店舗をグループ化。「食料品・飲料ともに購入率が高い」「菓子の購入率が高い」「新聞・雑誌の購入率が高い」といった店舗グループごとの特色を明らかにした上で、店舗グループごとに品揃えを最適化していきます。

今回のソリューションの仕組みと、導入後の展開について、ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション(Business Analytics and Optimization:BAO)に所属するマネージング・コンサルタント 渡辺 圭吾が解説します。

全店舗をグループ分けするために、詳細なデータを収集

渡辺 圭吾の顔写真 ――売れ筋商品を揃えて売上を伸ばすという手法は、以前からあったと思いますが、今回のソリューションは、従来の手法とどのように異なるのでしょうか?

今までですと、例えば最もプリミティブなケースとしては、全店舗の実績を集計して売れ筋を出すという手法があったかと思います。この場合、店舗ごとの立地が考慮されないため「自店舗では売れない」ということが起こりがちです。また、本部のスーパーバイザーの方が、「駅前立地」「オフィス街立地」などといった形で店舗を分類するケースもよくありました。ただしこの手法は、新規出店時に用いることが多く、周りの環境の変化によって売れ筋ががらっと変わってしまうことが少なくありません。

一方、今回のソリューションは、主観の入らないデータを用いるという前提条件から、従来の手法と異なります。しかも1日当たりの売上を基にするのではなく、平日/休日別、時間帯別といった観点できめ細かく分析して、各店舗をグループ化していきます。今までにない精緻なグループ分けが可能になるということです。もちろん、定期的にグループ分けも見直していきますから、立地環境の変化にも柔軟に対応できます。

架空のコンビニの例で説明すると、まず、すべての店舗で、平日/休日別および時間帯別に商品ごとのPI値を入力し、その情報を基に、クラスター分析を行うと図の上側に示したようなデンドログラム(樹形図)になります。隣同士に並んでいる店舗はお互いに似通っている店舗であり、さらに店舗を結ぶ棒の高さは、似通っている度合いを示しています。この例を見ると、丸の内店2号店と有楽町店はよく似ていて一つのグループになっていますし、一方、千葉店に似ている店はないことが分かります。こうして、すべての店舗をここでは5つのグループに分けて、似ているグループをそれぞれつなぐことで、全体像が分かるようになっています。

なお、図の上側の例は分かりやすく模式化したものであり、実際には図の下側のように詳細なデンドログラムが描かれることになります。

クラスター分析により詳細なデンドログラムを作成

各店舗の商品ごとの時間帯別の客数やPI値から、すべての店舗間の距離(似通っている度合い)を算出し、最も小さい距離の店舗またはグループを新たに一つのグループにまとめていくという作業を繰り返していきます。

――IBMによるクラスター分析にはどのような特色がありますか?

私が所属するビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーションでは、さまざまな分析手法を用いてお客様のデータ活用をお手伝いしていますが、その中で、私のように流通のお客様を専門に担当している専門家がコンサルティングを行います。つまり、小売業の業務知識を豊富に持つコンサルタントが対応するという点は大きいのではないかと思います。

しかもIBMは、統計解析ソフトウェアのスタンダードと呼ばれているIBM SPSSを提供していますから、こうしたツールを活用するスキルを持っていることも見逃せないかと思います。

――ここでは5つのグループに分けていますが、どの程度に分けるのが一般的なのでしょうか?

クラスター数についてはさまざまな議論があります。ただ、仮に1000店舗のチェーン・ストアを100グループに分けたとするとどうでしょう?その分類に基づいて、実際に商品部が100種類の品揃えのパターンを作って運用できるでしょうか?反対に、あまりにも少ないと分類する意味がなくなります。5~10グループというのが現実的ではないでしょうか。

――グループ化した後の作業はどうなりますか。

時間帯ごとに来店者数のピークなど、店舗グループごとの特徴を分析していきます。つまり、店舗グループごとに、商品カテゴリー別のPI値を分析することで、ほかのグループに比べて「食料品・飲料とも購入率が高い」「菓子の購入率が高い」「新聞・雑誌の購入率が高い」といった特色を明らかにし、グループの特徴を表す適切な名前を付けていきます。これを、私は「店舗プロファイリング」と呼んでいます。

その結果を基に、グループ別に商品ごとのPI値を設定し、PI値が高いのに自店に置いていない商品や、逆に、PI値が低いのに在庫している商品の入れ替えを検討していきます。

「店舗の特徴分析」「品揃えの最適化」から「供給最適化」へ

――実際にこのソリューションを導入する場合、どのような手順となりますか?

3つのフェーズを考えています。最初の「期待効果算定」のフェーズでは、お客様のデータをお預かりし、どの程度の効果が期待できるのか試算します。次のフェーズが「店舗実証実験」で、実際に幾つかのお店で、分析結果に基づいた品揃えの変更を提案させていただき、実施した結果を検証します。最後のフェーズが「全社展開」で、実際にシステムを導入して本格的に運用していくことになります。

今回のソリューションは、店舗の特徴分析と、それを踏まえた品揃えの最適化ですから、図のStep0~1がその範囲となります。この仕組みがうまく回るようになれば、Step2として「店舗在庫最適化」が可能となります。それによりチェーン全体で仕入れの条件が改善したり、あるいはメーカーに対する価格交渉力が上がったりすることも期待できますから、最終的にはStep3の「供給最適化」に進むことになります。

もちろん、お客様によっては、いきなりStep2の「店舗在庫最適化」から取り組むといったことも可能でしょう。どのようなプランで展開するかといったロードマップ作成も含めて、お客様に合った最適なアプローチの検討をぜひご支援させていただきたいと思います。

筆者紹介

  • 渡辺 圭吾の顔写真

    日本アイ・ビー・エム株式会社
    グローバル・ビジネス・サービス事業
    コンサルティング&SI
    ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション
    マネージング・コンサルタント
    渡辺 圭吾

本記事中に記載の数値や固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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クラスター分析による店舗グルーピング(分析例)と実際のデンドログラム

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店舗グループ別来店者数と商品カテゴリーPI値(分析例)

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店舗クラスタリング後の展開例

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