全米小売業協会(National Retail Federation、以下NRF)が毎年ニューヨークで開催する年次総会が第96回目を迎え、大小約70のセッション/セミナーと、約530社以上のソリューション展示をもって実施されました。2007年のテーマは「Setting Retail in Motion」です。
毎年1月に開催されるこの年次総会は、その年の小売業と関連ITソリューションのトレンドを占う意味で、非常に重要視されており、世界中から数多くの出席者を集めます。
年を追うごとにソリューション展示は拡充しており、今年の出展社数は5年前の倍以上となっています。日本の流通業界での最大のイベントであるRETAILTECHの出展社数が、併設のIC CARD WORLDを合わせても237社であることを考えると、その規模の大きさがうかがえます。ここでは、「IBMのソリューション展示」を中心に、いくつかの「スーパー・セッション」、NRFが提唱するStore of the Futureを具現化した「X07 Pavilion展示」などをご紹介しましょう。
スーパー・セッション
大小約70のセッション/セミナーの内、1階大ホールで開催されるスーパー・セッションは、特に多くの出席者を集めました。その中で特に印象に残ったスーパー・セッションはメトログループCEOのハンス-ヨハシム・ケルバー氏の講演である、「利益ある成長への戦略?ある小売業の現在の挑戦と展望」という演目でした。


スーパー・セッション
会場の様子
「唯一の普遍的な事は、変化することである!」という言葉から始まるこの講演は、内容的にも今回のスーパー・セッションの中で最も秀逸なものの一つでした。
メトロが、いかに変化し続けることでグローバル・リテーラーとして生きてきたのか、また今後どのような視点で変化していくのかを分かり易く具体的に解説をしていました。
とかく今までメトロと言うとStore of the Futureの先駆者として「先進テクノロジー」の部分のみが注目され、かつ、喧伝されていた感がありましたが、
他に「消費者行動」、「小売業界でのダイナミックス」、「グローバリゼーション」を加えた4つの視点から解説した画期的な講演だったと思われます。
また、IBMグローバル・ビジネス・サービス、グローバル・リテール・リーダーのフレッド・バルボニが司会を務め、メインのスピーカーとして、ニューヨークのファッショナブルな靴専門店として有名なケネス・コール・プロダクションの会長兼CEOであるケネス・コール氏を迎えて、「流行の最先端を行く」という題で1時間の講演が行なわれ、こちらも未来の小売業を考える上で非常に参考になるものでした。
ソリューション展示
ブースエリアにおいては、約530社のソリューション展示が行なわれました。各企業のブースは勿論のこと、NRF主催ブースや、業界団体のブースなど様々な企業・団体が出展しています。ここではIBMブースでの展示ソリューション、またNRF主催ブースである「X07 Pavilion - Store of the Future」と、NRFの傘下団体である「ARTS (The Association for Retail Technology Standards)」のブースをご紹介しましょう。

X07 Pavilion(NRF主催ブース) - Store of the Future
まず、主催団体であるNRFのX07Pavilionですが、一昨年の本屋、昨年の市場(いちば)に続き今年のStore of the Futureの舞台は、環境に優しい「究極のポップ・アップ・ブティック」で、ターゲットとする17歳から24歳のヤング・アダルトを、いかに次世代のロイヤル・カスタマーにするか、ということをテーマとしていました。具体的には、いわゆる「tech savvy」なヤング・アダルトを引き付けて「ショッピング体験」をしてもらうには、ということを主眼に置いて、革新的なライティング、デジタル・サイネージ、キオスク、RFIDを展示していました。たなびく煙(湯気?)に映像を出すデジタル・サイネージなど目を引くものもなどに人気がありました。
また、NRFの傘下で、小売業のData Modelの標準化などを推進しているARTSのブースではUnifiedPOSを中心に各社標準化に則った最新テクノロジーの展示を行なっていました。

IBMブースの様子

IBMブース見取図
正面入り口に面するIBMブースには二日間とも非常に多くの来場者で溢れかえっていました。
今回のIBMブースのメイン・テーマは「Integrate to Innovate. Retail Solutions from IBM」で小売業のお客様に総合的にソリューションをご覧になっていただくことを目的としています。
ブースは大きく5つのゾーンに分かれており、架空の若者向けカジュアル衣料専門店 - VTeen(1)と、同じく架空のエクステリア専門店 - VTLiving(2)を舞台として、そこで活用されるソリューションをメイン・ストーリーとして、それを支えるインフラ・ソリューション(3)、POS関連ソリューション(4)、最後に店舗内不正防止関連ソリューション(5)を展示/説明していました。
特に「顧客動線分析ソリューション」や「Bottom-of the-Basket分析ソリューション」など先進的なソリューションなどには非常に多くのお客様で身動きできないほどの盛況ぶりでした。

(左)顧客動線分析ソリューション/(右)Bottom-of-the-Basket分析
特に「顧客動線分析ソリューション」や「Bottom-of the-Basket分析ソリューション」など先進的なソリューションなどには非常に多くのお客様で身動きできないほどの盛況ぶりでした。
今後の日本においても大変参考になる小売業ソリューションが数多く展示されており、そのいくつかはRETAILTECH JAPANなどでもご紹介させていただく予定です。また、これらのセッション内容や展示ソリューションでご興味のあるものがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
筆者紹介
日本アイ・ビー・エム株式会社
流通事業 マーケティング
部長(ICP主管マーケティング・マネジャー)
黒沢 浩司
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