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GDSとマスターデータ管理ソリューション

更なるデータコラボレーションへ IBMが提供するマスターデータ管理 ソリューションにより実現される企業の変革

ここ数年流通コラボレーションにかかわる活動が活発になってきていますが、その一段階として商品マスターデータを企業間で同期させるいわゆる商品マスターデータ同期化(GDS)が、国外はもちろん国内でも始まっています。一方、企業内においてもマスターデータ管理の重要性は増す一方です。ここでは流通業界でのマスター同期化の動きや企業内でのマスター統合の方向性をご説明しながら、IBMが提供するマスターデータ管理ソリューション 「WebSphere® Product Center(WPC)」をご紹介します。

商品マスターデータ同期化(GDS)の動向

日本の流通業におけるサプライチェーンでは、メーカー、卸、小売りといった企業が複雑に絡み合いさまざまな企業間取引改善のための試みが繰り返されてきました。特に、1990年代後半より新たな取引のモデルとして企業間がインターネットを基盤とした取引および商品マスターデータの同期化を新たなテーマとしていく中、グローバルでは1999年UCC(Uniform Code Council) が米国においてUCCnetを設立し、2000年にはGNX, WWRE, Transoraといったサービスプロバイダーが相次いで出現しました。当初これらのデータプールプロバイダーに参加する企業は極めて少なく、GDS(Global Data Synchronization)に向けた動きは失敗するかに見えましたが、コンサルティングサービスを提供するA.T. カーニー社があるプロジェクトの報告書で、「サプライチェーンにおけるデータが不正確であることによる売上げ損失が毎年400億ドルにものぼる」といった内容を明らかにしました。この内容を受け、データプールへの各社の参画が加速し商品マスターデータ同期化プロジェクトが現実のものとして動き出しました。その後、2005年にはヨーロッパ,日本中心で構成される国際EAN協会の傘下にUCCが加わり名称がGS1に変更、データプールプロバイダーもUCCNetとTransoraが統合されて1Sync、WWREとGNXが統合されてAgentricsとなるなどデータプールプロバイダーの周囲でも大きな動きいくつかありました。日本でも経済産業省が中心となって日本版データプールの仕様策定が現在行なわれており、GS1の定めた流通業界の次世代標準であるGTIN/GLNについても2007年3月からの3年間で順次導入が行なわれていく予定です。

図1.商品マスターデータ同期化に向けた基盤整備
商品マスターデータ同期化に向けた基盤整備を説明している図です。

IBMの提供する商品情報管理ソリューション

流通業の次世代標準が整備されていく中、企業内のシステムにおいて商品情報は物流、在庫管理、販売管理など多岐にわたるシステムで使用されています。しかし、これらの各システムでは同じ商品であってもコードの採番ルールが異ったり、正しいルールに基づいて一元管理されていないケースが多数見られます。このような中、各システム間で商品情報の同期を図ろうとした場合、多対多の同期が必要となり、かつ各サブシステムに情報が渡ってから本来使われてはいけないコードが使われているなどのエラーが見つかり、問題の判別やデータのクレンジングに大幅な労力がかかっているというのが実情です。他のケースでは、本来適切な権限を持ったユーザーが商品情報の登録/変更を行ない、価格情報やマーケティングのための販促情報などが各オーナー部門によって追加されるべきところが管理されていないケースもあります。このような状況から、商品情報を一元化し、登録時のデータの品質を保つためにクレンジングや妥当性検証のルールをきっちりと明文化した上で、各社内関連部門が商品情報の共有、管理を行なうのが望ましいといえます。このようにして社内の商品情報が整備されることで、3.1で述べた企業間での商品情報の同期化が実現され、企業を超えた取引の効率化が図れるようになります。「WebSphere Product Center(WPC)」は、このような商品情報管理ソリューションに対して、図2にあるような6つの特徴を持っています。

図2.IBMの提供する商品情報管理ソリューション
IBMの提供する商品情報管理ソリューションを説明している図です。

(1). 属性の柔軟な管理が可能なデータモデル
(2). 複数の階層への商品情報の紐付けと分類
(3). 他システムとの柔軟な連携機能
(4). ワークフロー機能
(5). 消費者との接点となるチャネルへのデータの提供
(6). GDSや社外の取引先とのマスター情報の同期

まず(1)のデータモデルについては、例として家庭用品、薬品など複数の商品カテゴリを製造しているメーカーを想定した場合、各商品カテゴリ毎に求められる属性は大幅に異なります。このような多様な属性を商品情報のハブとして柔軟に保持するためには柔軟なデータモデルが必要になります。同様に、1つの属性において属性値が1つだけではなく複数の値が保持可能であることも求められます。

(2)の複数階層での管理については、社内では商品が社内の組織階層に合わせて分類される一方で、一般顧客向けにはウェブページで公開される商品カテゴリやブランド別での分類などに対応する必要があります。同様にGDSに対応する場合には、データプールへの登録に求められるGPCなどの階層への対応が更に必要になります。

(3)については、後述の「マスターデータ統合」と密接に関連し、情報統合、アプリケーション統合を行なうためのミドルウェアと組み合わせることで、多様な連携形態が実現可能です。

(4)のワークフロー機能は今後ますます重要になるエリアです。法規制への対応などから、企業においては適切な権限を持った担当者が適切なビジネスプロセスにおいてマスターデータの管理を行なうことが求められます。その結果、行なわれた変更が常に正しく記録され、誰がいつどのような変更を行なったかが速やかに抽出できることが必要になります。また、部門を越えた連携により、これまで開発,営業,マーケティングなど複数の部門間で困難であった商品情報の共有が促進され業務が効率化されます。

また、(5)の例にあるように、Webサイト,カタログ等社外の消費者へ向けた情報発信や、(6)のGDS等に基づく取引先との商品情報の同期を行なう上でも商品情報の社内での一元化が重要であることが分かります。

更なるコラボレーションへ

標準化が浸透し、商品マスター情報の同期化が図れるようになるとEDI標準化の基盤が整い、サプライチェーンにおける受発注を中心とした企業間取引の効率化が加速されます。GS1ではGDSの標準化に加え、RFIDの標準化を行なうEPCglobalを2003年秋に設立するなど関連する取り組みをリードしていますが、RFIDにおけるEPC(Electronic Product Code)はGTINをベースに各商品固体に対して割り当てられるように、RFIDとGDSには重要な接点があります。また、EPCglobalのSAG(Software Action Group)では、各商品のトレーサビリティを実現するためのインフラとしてEPCIS(EPC Information Service)を仕様として定めており、IBMも仕様策定に関わっています。各商品単体毎のトレーサビリティ情報が把握できるようになると、薬品の偽造防止やサプライチェーンにおけるCPFR(Collaborative Planning Forecasting and Replenishment)を通じたメーカーと小売の協業を通じた需要予測、在庫最適化、さらにはメーカーと小売りが一体となった新商品の開発などが加速されていくことになります

図3.流通サプライチェーン変革に向けたステップ
流通サプライチェーン変革に向けたステップを説明している図です。
(この記事はIBM ProVision No.52/Winter 2007 掲載「マスターデータ管理」を編集したものです)

筆者紹介

  • 樋口 正也の顔写真

    日本アイ・ビー・エム株式会社
    ソフトウェア開発研究所
    情報マネジメント技術 課長
    樋口 正也

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