タブの始まり
- 教育業界における状況と課題解決のステップ選択中,
- オープン・エデュケーションの将来
掲載日 2009年3月12日
この記事は、Michael King(vice president of IBM Education Industry)が外部サイトに寄稿した文を、転載許可を得て翻訳したものです。
Originally published in University Business magazine, January 2009. Used by permission.
教育業界の状況
1960年から1980年の間に社会人となった、8000万人近いいわゆる「ベビーブーマー」が、2010年から2025年の間に退職すると言われています。この集団退職が起こると、現代の多くの仕事に要求されるスキルを持っている労働者は、残っている労働者のたった2割です。全世界で見ると、米国、欧州連合、日本、中国、インドで、3,200万人という深刻な技術専門職不足に直面します。世界中で、訓練された専門家の需要が飛躍的に伸びており、それに対して必要な技術者の養成は追いついていません。
教育業界は、今までにない大きな転換となる課題に直面しています。
1. 人材育成能力の拡大要求
多くの発展途上国では、人口の半分が25歳以下です。インドでは、人口の半分以上が25歳以下ですが、この10年以内に労働人口が8億人のピークに達すると見られています。こういった国においては、持続的な経済発展に教育と能力開発は不可欠です。主要経済大国でも、多くの労働者が一生のうちに数回転職をするようになり、再訓練と継続的学習といった、更なる教育の需要があることを意味しています。
2. 多くの先進国における労働人口の減少
日本の現在の労働人口は、米国の2.5分の1ほどです。そして、2050年までには5分の1になると予測されています。また米国国勢調査局によると、欧州連合では2030年までに、労働者数が現在より14%減少する可能性があると見込まれています。多くの先進国において労働人口が減少する中、継続的な生産性を保つために、教育におけるイノベーションは非常に重要です。
3. 教育システムのパフォーマンス低下
2006年3月のマンハッタン研究所(Manhattan Institute)の調査によると、米国の9年生100人に対して、68人が落第せずに高校を卒業し、40人が大学へ進学し、その1年後にも大学に在籍しているのはたった27人です。そして3年以内に準学士(2年制大学卒業資格)または、6年以内に学士(4年制大学卒業資格)を取得するのは、たった18人です。すなわち今後米国が、国際的な競争に対峙するために必要なスキルのある労働者を保持し続けられるかどうかは疑わしいのです。
概して財源不足の今日、教育システムはより少ない資源でより多くの成果を上げねばならず、必要なスキルとのギャップを埋めるには設備も不足しています。何十億ドルもの投資をしたにもかかわらず、技術は整合性の取れない結果を生み出しています。—孤立し連携の取れない機関、巨大なアプリケーション、データの相互運用性の不足、所有するためのトータルコストの上昇、業界標準の欠如による非効率的なプロセス、コラボレーションとイノベーションを阻む障壁の形成—。
課題解決のステップ
これらの課題に取り組むために、教育業界は次の3項目を提供する必要があります。
- 所属する機関や、住んでいる地域、またはその他の要因に制約されない、より多くの学生のためのよりオープンな教育へのアクセス。
- 質と成果達成度を改善するための、機関内および機関同士のよりオープンなデータとプロセス
- 再利用と共用を支援する、よりオープンなコラボレーション文化。結果的に業界内の業務と運営のコストを下げることになります。
これらのオープン化とともに、セキュリティーとプライバシー配慮への対応は、特に重要な意味を持ちます。上記の変化は、さらにオープンな技術によって実現可能となります。これらを併せて、この新しいパラダイムは”オープン・エデュケーション”と呼ばれています。
多くの教育機関が、質と実績を向上させるために、コストを減らしながらもよりオープンでフレキシブルなプロセスとデータアクセスを構築し、オープン・エデュケーションを採用しつつあります。以下はK-12(Kindergarten to 12th grade: 幼稚園から高等学校教育まで)の事例です。
2005年、ペンシルバニア州フィラデルフィア学区では、270の学校におけるデータ・ドリブン・マネジメント・プロセス、”SchoolStat”を実装しました。このシステムは、エリア内の出席率や校風といったパフォーマンスを測定し、学校の管理者に、IBMが提供する学区内のデータウェアハウスからすぐに使えるデータを提供します。実装後学区では、停学の児童・生徒や休職する教員が減るといった効果がありました。
フロリダ州ブロワード郡(Broward County)の公立学校では、IBMのOn Demand Workplace for Educationを基盤にした同様のシステムを構築しました。231の学校に在籍する274,000人の児童・生徒と19,000人の教員に対し、児童データと成績データ追跡するのは大変な挑戦でした。そして、No Child Left Behind(米国の初等中等教育改正法。いわゆる落ちこぼれ防止法と呼ばれる)は、地域の教育技術の再編成を義務付けています。IBMのデータウェアハウスとポータルで、コストが削減され、郡の管理者たちは、児童・生徒それぞれの可能性をより理解し、より適切な進学指導をし、児童・生徒、親、教育者間の対話をより実りのあるものにすることができます。
