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金融機関にとって真のグローバル化が、生き残りのための必要条件


著者   上田 聡、日本アイ・ビー・エム株式会社 金融サービス事業
掲載日 2007年12月4日

金融市場系業務のグローバル化についての調査・分析レポート概要

ここでは、そのレポートの概要についてご紹介します。

レポートは大きく二つのアプローチより作成されています。
一つは、経済モデルを使った市場予測です。2025年までの長期的な世界金融市場の予測を行うために、各国の国内総生産などの経済指標だけでなく、市場洗練度という指標を定義しました。その中に社会政治的環境や関連制度の整備具合、交通インフラの充実度、テクノロジーの普及率などを採りこみ、経済指標と市場洗練度指標とによる独自の二次元のマクロ経済予測モデルを使い、市場 予測を行いました。

もう一つは、金融機関とその顧客へのインタビューとアンケートです。
約850名の金融機関の上級管理職、さらには約100名の金融機関の法人顧客を対象に、これから10年~20年先に向けたグローバル化経営について、直接のインタビューやアンケートを実施しました。

当レポートは、昨年のレポートと同様、英国で「The Economist」誌を発行しているEconomist Groupのリサーチ部門であるEconomist Intelligence Unit(EIU)の協力の下、作成しております。

まず、市場の予測につき、2015年までに全世界の投資可能資産は現在の2倍、さらに2025年には5倍に拡大するとのモデル分析結果が得られました。ただしその将来的成長の60%は新興市場から、すなわち従来とは異なる地域からもたらされます。これまでの成熟市場も引き続き成長し巨大ではあるものの、新興市場は今後成熟市場と肩を並べるほどの資産基盤を持つと予測されます。

その一方、関係者へのインタビューやアンケートの結果から、金融機関は、グローバル化により生じるこれらの新興市場を、ビジネス・チャンスとして とらえる準備態勢が十分にはできていないことが判明しました。
今回インタビューを行った皆さまの実に9割以上が自社はグローバル化されていないと答えています。ここで問われている「グローバル化」とは単に「グローバルに拠点を持っている」という意味ではなく、「グローバルに統合化されて事業運営されているか」という観点から質問しています。

また、上級管理職の皆さまが、科学的な根拠からというよりは、横並び的な判断からベストであると信じているビジネス・モデルが必ずしもそうではないことも明らかになりました。直感的な反応としては、多角経営を展開する大規模なユニバーサル・バンクがグローバル化の競争上、最も優位な立場にあると考える方が多かったのです。しかし、グローバル化に向けどのような能力が必要であるかをさらに深く問いただしていくと、投資銀行など専門特化型の金融機関の方が高い評価を受ける分野もありました。今後グローバル化が進み、顧客の要求水準が高度化していくと、顧客が重きを置くあらゆる分野において、自社 が最強の存在であり続けることは困難であると考えられます。

最後に、グローバル化において、最大のバリアーとなるのは、「企業文化」の問題であると思われます。多くの金融機関では、グローバル化に向けた業務やシステムの効率化などの取り組みに比べ、人的側面の取り組みが軽視されている懸念があります。金融機関にとって、グローバル化というのは単に物理的な資産やビジネス・プロセスだけにとどまらない「よりビジネスのソフトな側面」のイノベーションに取り組んでいく必要があります。

レポートでは今後検討すべきアクションとして以下の5点を挙げています。

以上がレポートの概要となります。

日本の金融機関にとっても、国内市場は成熟化が進み、さらなる成長を続けるにはグローバル化は重要な問題です。言語の問題など欧米金融機関と比べ、ハンディを背負う部分もありますが、一方では今後期待される市場はアジアが中心となります。外資系金融機関も含めた他社との協業が重要となる中、まさに自らの強み弱みを見極めて、今後の業務展開を練る必要があります。

著者について

上田 聡
日本アイ・ビー・エム株式会社 金融サービス事業
IBM Institute for Business ValueのFinancial Markets Thought Leader

お届けする内容は海外での動向をお伝えするものであり、日本国内では適用されない内容も含まれております。また、記事内容は、本記事発表時のものです。

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