掲載日 2008年9月5日
2006年、IBMは全世界共通による金融業界の分析結果として、10年後のリテール金融に関するグローバル・メガトレンドと課題をまとめた「リテール金融2015」を発表しています。今回、日本IBMではこれを踏まえ、日本の金融機関を取り巻く経営環境の変化を基に2015年の金融ビジネス・ビジョンを策定し、ビジネス・モデルと情報システムの両面による金融サービスの変革を実現するロードマップとサービス指向アーキテクチャー(SOA)に基づく全体体系「金融ビジネス変革への提言 ビジョン&アーキテクチャー」を発表いたしました[図1]。
金融機関が直面する4つの環境変化
日本IBMは、日本の金融機関に大きく影響する環境変化を「少子高齢化」、「チャネルフリー」、「キャッシュレス」、「ボーダーレス」の4つととらえ、金融ビジネスが備えるべき主要な能力を金融ビジネス・ビジョンとして策定しました。
具体的には、例として、日本の金融機関では次のようなビジネス変革が求められると考えています。
- 加速する少子高齢化に伴い、世帯での囲い込みを強化する
- あらゆるチャネルを自在に活用し、お客様への価値を高める
- 電子マネー時代に対応した小口決済を取り込み、新たな金融マーケットを創造する
- 提携・合併を主動し、ビジネス戦略の重要な選択肢とする
変革の鍵はビジョンの策定とSOAの活用
グローバリゼーションの加速による競争の激化や、次世代ネットワーク(NGN)や無線の高速化、Web2.0や3Dインターネットによる新たな顧客接点の出現、商品・サービスの多様化と高度化など、金融業界はかつてないほど激しい環境変化に対応するため、ビジネス変革とそれを迅速に実現する柔軟な情報システムの構築が必要となってきました。
日本IBMでは、お客様が各々のビジョンに基づいて商品やサービスの開発および提供をより短期間で行うために、これからの情報システムに求められる能力(実現手段)を整理し、その実現手段をSOAに基づくソリューション群「Rapid Enterprise Renovation for Financial Services Systems(以下、SOA RER for FSS)」として体系化しています。
SOAでは業務アプリケーションを「サービス」の単位に分解します。分解したサービスの統合、あるいは順番の組み替えにより、新しい機能を構築します。サービスの部品は再利用ができるため、すでに開発された部品を組み立てることでアプリケーションを迅速に開発することが可能となり、一から開発するより、高い生産効率が得られるだけでなく、アプリケーションの信頼性も向上します。
また、SOAによりアプリケーションは連携先のシステムを強く意識せず、標準化されたインターフェースで呼び出すことが可能となり、柔軟なシステム連携を行いながら開発生産性や再利用性の高いシステム開発が可能となります。
SOA RER for FSSにおける代表的なソリューション群としては下記の5つが挙げられます。
- 基幹系ラッピング
既存基幹系業務システムなどのお客様のアプリケーション資産を活用しながら、外部のサービスや外付けのパッケージを利用した新商品・新サービスの開発などを可能とします。 - チャネル統合
これまで個別に構築されてきたチャネル・システムのサービス機能を集約・統合し、チャネル共通サービスの提供を可能とします。 - ビジネス・プロセス・サービス、モニタリング
金融業務向けのプロセス・モデルに基づき生成されたプロセスの標準セットを提供することにより、ビジネスや市場の変化に柔軟に適応する基盤構築を実現し、お客様の迅速なビジネス展開に寄与します。 - サービス連携、サービス提供
グループ企業、Software as a Service(SaaS)などの外部システムを含めたシステム間連携を可能とします。アプリケーションは、連携先のシステムを強く意識せず、標準化されたインターフェースで呼び出すことが可能となります。 - 仮想統合データ・サービス
さまざまなシステムに分散されて保有・管理されている情報を疎結合のまま整合性を保って一元管理することを可能とします。データは要件に応じて物理的・仮想的にそれぞれ実装することで、厳格性を保ちつつ変化に柔軟に対応することを実現します。
業態を超え、企業間バリューチェーンを実現する「ECOシステム」
昨今、「ECOシステム」という言葉がビジネスで使われ始めました。本来、「ECOシステム」は生物学における生態系を意味する単語ですが、近年ではビジネスにおける特定の業界全体のビジネス形態を意味する単語として用いられることが増えてきています。複数の企業同士がパートナーシップを組み、バリューチェーンを作り、それぞれの強みを生かせるような仕組みを「ECOシステム」といい、今後、このような発想が重要となってきています。
金融ビジネスの変革を実行するには業態を越えた新しいサービスを提供する多角的なネットワークの構築、リスクを軽減するための広範囲な協業や提携の促進が必要です。
IBM金融SOAコミュニティーの設立と推進
「ECOシステム」の実現をご支援するための、ひとつの方法として日本IBMはコミュニティー活動を推進していきます。「IBM金融SOAコミュニティー」は参加企業におけるお客様サービスの向上とシステムの効果的な利用を促進するため、SOAサービスの活用に関する研究・事例紹介および情報交換を行い、会員相互の利益ならびに親睦を図ることを目的としたコミュニティーであり、基幹系システムにIBMを採用いただいているお客様を中心に、20社(行)以上に参加いただくこととなりました[図2]。
日本IBMは「金融ビジネス変革への提言 ビジョン&アーキテクチャー」と併せて、金融サービスの変革を実現するSOAソリューション群をロードマップとともに提供し、日本の金融機関のビジネス変革をコンサルテーションから、製品提供、システム構築および運用まで一貫して支援していきます。
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