掲載日 : 2009年5月18日
保険金の支払い対応に伴う一連の顧客対応が終息しつつある昨今、保険業界各社では次のステップとして、さらなる顧客サービス向上に向けた取り組みの検討が始まっています。
そのアプローチの1つとして、現在保有されている情報の一層の活用と、不足情報の収集・管理の強化がクローズアップされています。従来も顧客情報の有効活用に向け、データウェアハウスや分析用データベースの構築に対して数多くの取り組みがなされてきましたが、実際の顧客対応に効果的に活用されることが少なかったのが現状です。
しかしながら、保険金支払いの精度向上に向けた名寄せの精緻(ち)化や顧客とのコンタクト履歴管理の強化が注目されている現在、保険会社にとって情報活用の基盤強化は業務品質の向上、ひいては顧客ニーズを把握し満足度を高めるために喫緊に取り組むべき戦略的課題として重要視されています。
サービス品質強化のステップと情報活用基盤の課題

図1.サービス品質強化の
ステップ (382KB)
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サービス品質強化のステップ(図1)を見てみると、保険金支払いの対応に伴い、保険会社各社では漏れなく支払うことをご案内するために、まず契約者名寄せの強化が行われました。
次に顧客に一貫性のあるサービスを提供するための基盤として、コンタクト履歴の共有への取り組みが最近のトレンドとなっています。
今後そうして集約され、整備された情報を戦略的に活用し、サービス品質の向上のステップへと進んでいくことが想定されています。また、情報が質・量の両面で充実してきたことにより、より精度の高い、顧客の嗜好(しこう)やニーズをとらえる環境が整いつつあると言えます。
顧客対応の実業務に密着した情報の戦略的活用が、一層、重要視されるようになった現在、従来の分析・マーケティング用のデータよりも高い精度や鮮度が要求されるようになっています。また、情報を活用する部門が多岐にわたるため、個々の部門から入力されるデータの整合性も求められています。データの正確性を確保しつつ、各部門のビジネス要件に応えることができるデータベースの項目と設計、すなわちデータ・モデリングが必要となります。
このように高度な情報基盤を築いていくためには、長年議論されている、以下のような課題を解決していかなくてはなりません。
- 業務システムごとに異なる仕様でデータが作り込まれており、顧客情報の統合が困難である
- 直近の業務に関係ないデータは保持されていない、または保持されていても現場で容易に参照できない状況にある
こうした課題は各社の事務プロセス、ビジネス・モデルにも密接にかかわっているため解決は容易ではありませんが、IBMでは課題解決の一助となるべく、既存システムへの影響を最小限にとどめつつ、情報の統合管理が可能なソリューションをご提供しております。
顧客情報統合ソリューション「MDM Server」

図2.情報統合ソリューション
「MDM Server」概要 (408KB)
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IBMでは、早期に情報活用基盤を構築し、さまざまな顧客接点において、きめ細かい保険サービスを実現いただくための顧客情報統合ソリューションとして、「Master Data Management(MDM) Server」をご提供しています(図2)。
MDM Serverは、国内外の金融機関のお客様数十社で10年近く採用いただきながら刷新してきた実績のあるデータ・モデルと、そのモデルに最適化されたビジネス・サービス(WebサービスAPI群)が含まれており、最小限のカスタマイズとチューニングで業務にご使用いただけるパッケージです。
MDM Serverのパーティー管理モデル
MDM Serverは、契約者単位の情報管理ではなく、ビジネスに登場するあらゆる当事者を中心とした「パーティー管理モデル」を実装しています。パーティー管理モデルでは世帯での役割(配偶者、親、子など)、ビジネス上の関係(顧客と営業など)、契約上の関係(契約者、被保険者、受取人など)など、多岐にわたる登場人物のそれぞれの役割と、人物同士の関係を管理できるようになっており、より多角的に顧客情報を管理・把握することができます。
情報活用基盤の採用によるビジネス効果
一人一人の顧客への適切な対応を実現
従来の契約単位あるいは契約者単位での情報管理では、顧客一人一人、または世帯ごとに必要な保障がどの程度カバーできているかを十分に把握することができません。個人単位で見た場合には、保障は被保険者の視点で把握する必要があります。
視点を世帯に広げれば、家族に何かあった場合に十分な保障が得られるか(例えば世帯主が入院した場合の入院費および所得の保障)を把握することで、的確な提案と助言が可能になります。MDM Serverのパーティー管理モデルは、こうした多角的な視点から情報を得るための機能を実装しており、顧客への適切な対応とサービスの提供が可能となります。
投資対効果の検証
顧客情報管理、CRMの領域は、コスト削減など定量的な投資効果が出にくい領域と言われていますが、顧客にアプローチした際の活動の効率を上げることを効果として見た場合、以下のような視点で投資の価値を検証することが可能です。
- 顧客ニーズを把握した上で初回コンタクト実施
ニーズ確認の時間削減、ニーズに合致していた場合、電話や訪問の回数を削減 - 訪問可能な時間帯、希望チャネルなどの把握
空振りコールの減少による訪問可能なお客様の増加(提案機会の創出) - 訪問の効率向上による営業担当者のコア業務への集中化
お客様からの訪問依頼などへの迅速な対応や成約率の高い案件への注力によるビジネス効率の向上
情報活用基盤を最大限かつ有効にご活用いただくため、IBMはシステム構築のほか、「顧客接点改革コンサルテーション・サービス」や営業部隊を後方から支援し活性化する「営業支援業務アウトソーシング」などのサービスもご提供しています。
基盤を構築し、情報が「見える」ようにするだけでなく、「使いこなす」ことを実現いただくために各種サービスを拡充し、お客様の成功に向けてご支援いたします。
