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第3回展望編 「顧客接点の強化」が生み出す心をとらえる真のサービス

金融マーケティングの潮流-EBM実践への道のり-

(当記事は、日本金融通信社発行「ニッキン」2009年7月10日号に掲載されたIBM紙上セミナーの内容と同一となります。)

EBMが広げる顧客コミュニケーションの可能性
顧客から発せられるわずかなサインを収集・分析して、適確な商品情報を提供するEBM(イベント・ベースド・マーケティング)。すでに金融機関でも導入の動きが広がり、新たな顧客との関係構築が進みつつある。EBMは、金融機関の顧客コミュニケーションにどのような変化をもたらすのか。アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社のコンサルティングパートナー二人が、その可能性を語った。

金融機関でこそEBMが効果を発揮

蓑輪圭樹金融コンサルティング事業本部長(以下蓑輪):
金融業界のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の現状をどうご覧になりますか。

浅野智也執行役員・CRMサービスパートナー(以下浅野):
こんなに恵まれた業界はないと感じています。顧客に関して金融機関が知ることができる情報は、他の業界に比べて圧倒的に多いですから。

蓑輪:たしかに金融機関は、顧客との最初の取引時に住所や電話番号はもちろん、ローンの申込などを通じて、職業や年収まで知ることができます。量はもちろん、情報の質という面でも金融業界は傑出しています。

浅野:加えて、顧客のバランスシートもあって、クレジットカードの情報を分析すれば、顧客の趣味趣向、ライフスタイルまで把握することができます。

蓑輪:そうですね。入出金や残高照会、ウェブページのアクセス状況などの情報も上手く活用して紐付けられれば、顧客がいまどんな金融商品を望んでいるかを十分予測できます。EBM(イベント・ベースド・マーケティング)がもっとも効果を発揮できる業界だということですよね。

顧客サービス強化へのヒント

浅野:潜在的な顧客ニーズ発掘に効果がありそうですね。

蓑輪:その通りです。たとえば、いかに斬新な住宅ローン商品を開発したとしても、いま住宅ローンを借りたいという希望を持った顧客の目に留まらなければ、申し込まれることはありません。顧客の誰もが一生に少なくとも一度は住宅ローンを検討しているタイミングがあるはずです。そのタイミングを逃さずアプローチすることで、レスポンスは大いに高まるでしょう。

浅野:ある通信会社で「光回線」の販促を目的としたコンサルティングを実施したことがあります。以前までは、光回線を既に導入している顧客に対してお勧めしたり、ADSLの苦情を訴えているにも関わらずお勧めして、さらに感情を損ねてしまうということもありました。このような例では、大変な機会ロスをしていました。そこで、コールセンターに顧客側から電話をかけてきたタイミングで顧客の発言内容を即座に判断し、問題解決・成約に結びつけるシナリオとそれを支援するシステムを構築しました。これもEBMの一つと言えます。

蓑輪:たしか導入後、約6倍の契約増につながったコールセンターもあったとか。こうした顧客とのコミュニケーションの強化事例も金融機関のマーケティングに生かせそうですね。

浅野:そう思います。また、EBMに限りませんが、インターネットへの顧客アクセスに対し、個々の顧客ごとに最適なページを表示する技術や、ブログなど顧客参加型のウェブメディアの情報をマーケティングに活用することも期待できます。

蓑輪:たしかに、退職された方の「年金をどうやって活用したらいいか」という悩みを共有し、話し合えるようなウェブ上のコミュニティーが作れたら、そこから商品紹介サイトにアクセスする顧客も増えるでしょう。すでに一部の金融機関で導入されている手法ですが、技術の進歩により、金融商品の多様化や幅広い顧客層にも対応できるようになっています。

EBMが可能にするマーケティング新時代

浅野:金融商品の取引事情は国によって異なり、日本では認可されたばかりの金融商品も、海外では既に何年も前から運用されていたりします。EBMの導入に際しても、アイ・ビー・エムのグローバルでの経験が生きる場面は多そうですね。

蓑輪:日本の金融機関にとって参考になりそうな先行事例は多いです。それらをもとにして信頼性の高いイベントルールを定義できることや、ウェブサイト、コールセンター、店頭施策などこれまでのコンサルティングのノウハウを総合的に組み合わせてEBMとして提供できることが私どもの強みといえそうです。

浅野:当初のご提案から、システムの開発・実装、その後も継続したご支援を実施し、お客様の経営に貢献するのが私どもの基本姿勢です。

蓑輪:一つのツール、一部のノウハウを導入しただけでは、せっかくのEBMも十分な効果を発揮できません。それぞれの金融機関、顧客、商品にとって最適のEBMの形があるはずです。その構築に、私どもが蓄積したノウハウがきっとお役に立てると思います。


浅野 智也の顔写真
CRMコンサルティング 執行役員/パートナー
浅野 智也

IBM ビジネスコンサルティング サービスのCRMコンサルティングのリーダー。銀行、証券会社をはじめ、さまざまな業界のお客様に対して、上流から下流に渡り多数のコンサルティング・プロジェクト実施の経験を所有。


蓑輪 圭樹の顔写真
金融コンサルティング 事業本部長/パートナー
蓑輪 圭樹

銀行において国内外の経営企画・事業企画業務を担当した後、1997年に日本IBMコンサルティング事業部へ入社。2001年PwCコンサルティング株式会社との統合を経て現職。米国ニューヨーク大学スターンスクール(MBA)卒。


金融マーケティングの潮流—EBM実践への道のり—