掲載月:2006年12月
ソリューション概要
ダイヤモンドコンピューターサービス(以下、DCS)は、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)のコンピューター受託計算部門を母体とするシステム・インテグレーターで、金融業界を中心に、さまざまな業種・業態のお客様にシステム構築や情報処理サービス、アウトソーシング・サービスなどを提供しています。
DCSは、IBMをはじめとするITベンダーの支援を得て、最先端のグリッド技術を活用し、サーバー資源を効率的に活用して「止まらない&待たされない」Webアプリケーション環境の実現に向けた実証実験に成功しました。
課題はWebアプリケーションのサービス品質向上と効率的運用
インターネットの普及とともにWebアプリケーションが増加する中、Web特有のシステム運用上の課題の解決を求められることが増えてきました。アクセス数の予期せぬ急増でサーバーに過剰な負荷がかかりサイトダウンすることを防ぐため、通常時に必要な台数以上のサーバーを用意することによる運用管理費の増加や、24時間365日稼働への期待からアプリケーションのメンテナンスなどのために一時的にシステムを止めることが、顧客満足度の低下やビジネス機会損失の要因となっていました。
DCSではこれらの課題を解決し、さらに、取引金額の多いお得意様からの注文のトランザクションを優先したり、課金処理といった重要度の高いアプリケーションのために資源を優先的に配分するといった「Webトランザクションの優先順位制御」や、負荷状況に応じたサーバーの動的な配置などの効果をもたらすソリューションとしてグリッド・コンピューティングに注目。
サーバーなどのIT資源を最適に配分し、自律的な資源管理を行い、システムを止めずにアプリケーションの更新ができる環境を実現するための実証実験を行いました。
WebSphere XDによる、Webアプリケーション環境の仮想化
今回の実証実験プロジェクトの概要は、以下のとおりです。
試行システムの概要
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概要図
システム構成
グリッド・コンピューティングに求められる高い処理能力や、優れたスケーラビリティーと信頼性を備えたIBM eServer® xSeries®336をDCS本社内に8台設置。Linux®、DB2®、ビジネス・グリッドを実現するWebSphere® Extended Deployment(WebSphere XD)のすべてを64ビットで稼働させました[図]。 - 使用データ
より現実的な条件での検証を目的として、DCSのお客様の了解のもと実際にお客様が運用している複数のWeb用アプリケーションを対象として、個人情報などにマスクを掛けて保護した上で、実データを用いてWebアプリケーションを運用しました。
ビジネス・グリッドの核となるのがWebSphere XDです。WebSphere XDにより仮想化されたアプリケーション・サーバー環境では、アプリケーションが動的に配置され、サーバー資源の有効活用と、全体最適化、管理の単純化を図ります。
サーバーへのリクエストは、アプリケーションごとに設定するサービス・ポリシーに基づき、クライアントのIPアドレスやクッキーの値などで分類され、それぞれに設定された平均応答時間の目標値や優先度によって制御されます。リクエストは、各サーバーの能力や、現在の負荷状況に応じて適切なサーバーに送られます。
WebSphere XDは、大量のWebトランザクションを高速に処理するため、データ範囲を分割し、各範囲をそれぞれのサーバーが専任でリクエストの処理を行う区分化(パーティショニング)機能や、高機能のオブジェクト・キャッシングの機能を提供します。区分化により、キャッシュを有効に働かせて、データぺージへのアクセス集中によるパフォーマンスの低下を回避することができます。また、ポリシーに基づきサーバーの非正常状態を感知して対処するオートノミック機能も備えています。
J2EE™バッチも搭載されていることから、Java™環境におけるバッチ的な処理が実行できます。例えば、Webアプリケーション・サーバーを、リアルタイムのWebトランザクションが減少する夜間に限りバッチ処理に活用するといった資源の最適化が行えます。
主な検証項目
実証実験では主に4つの項目について検証を実施し、サービス・レベルを確保しながら、資源を有効活用し、保守・管理を効率化できることを確認しました。
- Webトランザクションの優先順位制御
ユーザー種別や業務アプリケーションごとの優先順位を判断し、かつ目標とするサービス・レベルを維持するためにWebトランザクションの量を制御したり、IT資源を自動的に配分したりする機能を検証。 - サーバー資源の動的な最適化
サーバーの負荷に応じて処理を割り振ることでシステムからの応答時間を短縮し、資源の利用効率の向上を図れるかどうかを検証。また特定のアプリケーションの処理量が急増した場合には、システムを停止させることなく、自動的に対象アプリケーションのサーバー数を増強して対処できることを検証。 - 稼働中のアプリケーション更新と複数バージョン同時稼働
サービスを中断することなく、アプリケーションの修正適用や機能変更が行えることを検証。複数サーバーで順番にアプリケーションの更新を行っている間も、正常稼働しているサーバーにユーザーが適正に振り分けられることや、更新後のアプリケーションを公開する前に、限定したテスト・ユーザーまたはテスト・クライアントにのみアクセスを許可し、旧バージョンと同時に稼働できることを確認。 - 運用管理機能
システムからの応答時間や負荷状況などをグラフで表示する機能や、ハードウェアやOSの保守の際に、ユーザーに影響を与えずにサーバーを停止するなど、大規模なサーバー群の集中監視/管理を容易に行えることを検証。また、応答時間の極端な悪化など、システム停止を起こしかねない異常を検知し、障害を事前に防ぐオートノミック・コンピューティング機能について確認。
TCO削減に効果を発揮 今後の有力なソリューションとして期待
今回の実証実験により、ビジネス・グリッド技術がWebアプリケーションの信頼性とサービス品質を向上させるとともに、運用面での機能向上や、TCO削減に貢献することが実証されました。具体的なコスト削減効果は条件により異なりますが、DCSは今回の検証から、従来のシステムに比べて20~30%のトータルコスト削減が可能であり、活用領域も今回実験に協力いただいたお客様にとどまらず、多様な業種や用途で展開・利用できると考えています。
今後DCSでは、瞬間風速的に大量のトランザクションが発生するケースや、そのピークがなかなか予測できないケースで、ビジネス・グリッドをソリューションの1つとして積極的に提案される方針です。
IBMはグリッド対応製品のご提供をはじめとするさまざまな取り組みで、お客様のグリッド技術の活用をご支援していきます。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM, IBMロゴ, DB2, eServer, WebSphere, xSeriesは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは Sun Microsystems, Inc.の米国およびその他の国における商標。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
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