掲載月:2007年12月
昨今、セカンドライフ※に代表される、インターネット上に構築された3次元仮想空間のオンライン・コミュニケーション環境を利用する動きが高まっています。IBMではこの分野の重要性をいち早く認識し、すでにIBM's Next 5 in 5(IBMが考える、今後5年間に生活を一変させる5つのイノベーション)の1つに3次元インターネットを取り上げ、将来のv-Business(Virtual-Business)の進展にも準備を進めています。
グローバル企業では、セカンドライフのコミュニケーション機能やSNS(Social Networking Service)機能を使って、会議やセッションなどのコラボレーションや、教育・訓練、グローバルなイベント開催などに利用し始めています。これは単にセカンドライフの機能を使うといったことではなく、より一層業務プロセスにWeb2.0的な仕組みを取り込んでいこうとする試みと言えます。
※ セカンドライフ(Second Life)とは、米国のリンデン・ラボ社が運営するオンライン3Dの仮想世界のこと
IBMの3次元インターネットへの取り組み
IBMの3次元インターネットへの取り組みは、2006年から始まっています。同年9月にIBM社内でのコミュニティーであるIBM VUC(Virtual Universe Community)が設立され、時を同じくして2回目になるInnovation Jam※が行われました。その中で最も評判を得たイノベーション・アイデアのコンセプトがv-Businessでした。
セカンドライフにおけるIBMの活動は多岐にわたります。お客様のプロジェクト支援とともに、IBM自身のビジネスへの利用も試みています。具体的には、IBMはセカンドライフ上に多くのSIM(セカンドライフ上の土地の単位)を持ち、コンファレンスセンターや事業部門の仮想オフィスなどの施設を設置し、グローバルなイベントの開催や、セールス・トレーニングなどに利用しています。電話会議の機能を拡張する試みも行われ、IBM社員や退職者のコミュニケーションのために、セカンドライフ上でのソーシャル・ネットワークの展開も図られています。
また、お客様プロジェクトをご支援するために、3次元インターネット支援サービスとして、ビジネス開発・企画、コンテンツ制作、アプリケーション開発、ビジネス運用支援および3Dインターネット導入支援などのサービスを提供しております(図1)。

図1 IBMがご提供する
サービス
IBMは、3次元インターネットが今後さまざまな分野のビジネスに極めて重要なインパクトを与えるものと考えており、産業化に向けてさまざまな取り組み・実験を行っていく意向です。本年10月、米国でIBMやシスコが中心となって3次元インターネットの仮想世界の相互運用性の確立を目指すコンソーシアム結成が合意され、それに続いてサンノゼで開催されたVirtual World Conference and Expoにおいて、IBMとリンデン・ラボ社がアバター(仮想世界におけるユーザーの分身)の標準化など仮想世界の相互運用を推進するために協業を進めることを発表しました。今後、オープンソース化、標準化がさらに進展し、ビジネス基盤としての普及が進み、統合されたメタバース(インターネット上に存在する3次元空間)がインターネットを基盤化して、本格的なv-Businessの展開期を迎えることでしょう。
※ 全世界十数万人のIBM社員がネットワーク上でイノベーション・アイデアを出すセッション。直近では2006年7月と9月に開催し、IBM社員社内のみならず67社のお客様企業を含む104カ国15万人以上の参加者を集め、4万6,000件以上のアイデアが提出されています。
国内外におけるお客様の取り組み
当初は、製造業やメディア、リアルの店舗を持つ流通業の関心が高かったセカンドライフですが、次第に銀行や証券、保険などの金融機関でも取り組みが広まりつつあります。
[海外事例]
海外では、ドイツ銀行が、顧客の結婚や出産、住居の購入などライフタイム・イベントに応じた顧客コミュニケーションを行う未来店舗をドイツ国内に展開しています。この実験店舗をセカンドライフ上にも設置し、リアルとバーチャルとを連携した新しい顧客コミュニケーションの在り方や方法について実験を試みています。リアルの実験店舗に近い、店舗のレイアウトや備品、内装となっており、ライフタイム・イベントに関連するコーナーではアイテムやコンテンツが提供されています。また、実験店舗に置かれたPCで、コンサルティングなどを行うモデル商談室を事前に体験することも可能です。
[国内事例]
国内でも複数の金融機関において、特に顧客コミュニケーションのためのチャネルの1つとしてセカンドライフを活用しようという試みが始まっています。
なかでも保険業界では、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)において、リスクに関する研究をセカンドライフ上で行うプロジェクトが開始され、そのセカンドライフ進出においてIBMの3次元インターネット技術、セキュリティー技術、オンライン・ビジネスにおける豊富な経験を採用いただくことができました。

図2 東京海上日動様事
例ご紹介
東京海上日動の取り組みは、セカンドライフ上に安心と安全をコンセプトにしたリスク研究所「マングローブ・ワールド(mangrove-world)」を設立し、仮想世界におけるリスク研究を行いセカンドライフの中でのリスクに関する情報収集と提供を通じて、豊かで快適な社会生活の発展に貢献することを目指すユニークなものです。この仮想世界においては、リスクの擬似体験や関連セミナーなども実施していく予定です(図2)。
IBMは、今後も仮想世界におけるビジネスの実現に必要な3次元インターネットに関するあらゆるサービスについて有益な経験と知識を積み重ねていきます。そして、これらのプロジェクトをはじめとするお客様のv-Businessへの取り組みをご支援してまいります。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM, IBMロゴは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
