掲載月:2006年6月
ソリューション概要
1990年代に大きな潮流として始まった金融機関におけるMCIF(顧客データベース:Marketing Customer Information File) によるデータベース・マーケティングでは、勘定系システムや情報系システムなどからのお客様属性情報や取引履歴などの情報をバッチシステムで取り出し、企画ご担当者が、商品・サービスの拡販に最適なお客様情報を複雑な条件でテラバイト級の大容量のデータから抽出する仕組みが、高速なデータ抽出に機能特化された高価な専用システムで構築されました。
一方、昨今の劇的なテクノロジーの変化によるTCO削減への期待や、オープン・システム環境で使える高機能なツールの増加による業務の質とスピードの向上、商品・サービスの広がりや顧客の金融行動の変化に伴うマーケティングの質とスピードの変化、セキュリティーやコンプライアンスへの対応要請の強化など、金融機関を取り巻く環境は大きく変動しています。
株式会社秋田銀行(以下、秋田銀行)では、日本NCR社のTeradataで構築されていた既存の「データベースマーケティングシステム」の更改時期にあたり、検索専用機と同等のパフォーマンスを持ちながら、オープンで汎用的なシステムを検討された結果、高性能UNIX® サーバー「IBM eServer® p5 570」と、データベース管理ソフトウェア「IBM DB2 Universal Database™ (以下、DB2® UDB)」をご採用。
高速検索、最新機能ツールの活用、将来に向けた柔軟な拡張性、TCO最適化に向けたプラットフォーム選択の自由度向上、最新のセキュリティー、運用自動化ツールの活用による負荷軽減とサービス向上などを実現する新システムが、本年4月1日から本格稼働しています[図]。
高速検索と、価格性能比を同時に実現するオープン化への変革
既存のシステムは、勘定系/情報系システムのみならず、テレフォンバンキング・コールセンター・システムとのデータ連携など顧客中心志向によるリテール業務の推進
を支援するための情報検索機能を提供し効果的に活用されてきました。その一方で、専用機では、業界標準の開発ツールを活用できない、IT資産の維持・運用管理が困難、専門に技術者を育成する必要がある、といった課題も存在していました。
高価で機能限定された専用機以外にも、価格性能比に優れ、最新のツールを活用できるオープン・システム上で高速なデータ検索機能を提供するシステムが
市場に登場し、選択肢が広がったことで、真に求められる機能を重視した更改の検討が実現しました。
新システムの主な特長は、次のとおりです。
従来の専用機に比べ2~10倍の高速検索を実現
「IBM eServer p5」と「DB2 UDB」の組み合わせは、従来の専用機に比べ、検索条件によっては、約2~10倍のパフォーマンスを実現しました。
また、DB2は、複雑で時間がかかる検索処理の実行中に、シンプルな検索処理が入った場合には、短時間で終わる処理を優先させるなど、ユーザー利便性に配慮した機能を提供し、全体のスループット向上を実現します。
IBMは2001年に買収したInformix®社のデータベース事業部門が保有していた優れた検索専用ソフトウェア「RedBrick™」の機能をDB2 UDBに移植。
現在、DB2はオンライン業務処理に優れたパフォーマンスを発揮する汎用データベース・ソフトながら、専用機を上回る高速検索を実現しています。
業界標準の開発ツール利用による生産性向上
新システムはオープンであり、業界標準の各種開発ツールが利用可能になることから、開発生産性の向上も期待されています。
高度なセキュリティーを実現
昨今の個人情報保護法への対応や、内部統制強化の視点から求められる、情報にアクセスするユーザーの権限管理による不正アクセス防止や、検索処理に対するセキュリティー・ログの取得機能による不正アクセス検知の機能は、DB2が標準機能として提供しています。
既存システム環境からの情報資産と操作性の継承
既存の専用機は、ベンダー独自の検索ツールが、エンドユーザーのPC上に独自の検索オブジェクト形式で保管されていました。
新システムへの移行にあたっては、Microsoft® Excel上で同等の機能を提供すると同時に、前ツールのオブジェクトを新システム環境へ変換・移行することで、エンドユーザーに負担をかけることなくスムーズな移行を実現しました。

システム図
柔軟なシステム基盤の拡張性
オープン対応であることから今後、さまざまな業界標準ツールやアプリケーションが搭載されていくと予想されます。基盤プラットフォームの検討に際しては、IBM eServer p5が提供する高い拡張性も採用の理由の1つとなりました。
システム要件に応じて、CPUやディスクを段階的に増強することが可能です。
運用自動化ツール導入による負荷の大幅な低減
IBMの運用管理ソフトウェア「Tivoli® Storage Manager」を活用したことにより、システムのバックアップ取得が、従来の「運用ご担当者による手動にて、数日間に分散
して夜間に作業」していたものから、「自動的に数時間」で取得できるほか、高度なシステム監査機能の導入など、負荷の大幅な低減と、運用サービス品質の向上が実現しました。
障害に強い、柔軟性の高い運用を実現
p5は、論理区画を動的に構成できるPOWER5™ プロセッサーを搭載した柔軟性のあるサーバーです。
今回、秋田銀行では、待機サーバーにバックアップ環境(図中:LPAR#1) と開発環境(図中:LPAR#2)の論理区画を割り振っていますが、本番サーバーに何らかの障害が発生した場合は、待機サーバー内で開発環境の資源を動的にバックアップ環境へ割り振り、本番環境同様の処理能力を提供する柔軟性の高い運用を実現しています。
さらなるコスト最適化と、サービスレベルの向上へ
汎用のUNIXサーバーとRDBへの更改により、従来は活用できなかった業界標準の開発ツールや、最新機能を提供するミドルウェアなどのIT資源を有効に活用できる環境
が実現しました。
今後、期待される開発生産性の向上により、他の業務システムとの連携強化、基幹システムとのディレード等のより即時性の強いデータ連携など、さらなるコストの削減と、サービスレベル向上に向けた基盤構築への布石として、新データベースマーケティングシステムは大きな1歩を踏み出しています。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM, IBMロゴ, DB2, DB2 Universal Database, eServer, Informix, POWER5, Red Brick, Tivoli は、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
Microsoftは Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標。
UNIXはThe Open Groupの米国およびその他の国における登録商標。
Adobe, Adobeロゴ, PostScript, PostScriptロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
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