掲載月 : 2009年6月
金融ビジネスを取り巻く環境が厳しさを増す中、企業同士が連携することで経営を強化する「ビジネスECOシステム」という考え方が注目を浴びるようになってきました。これまで以上に企業連携による処理を拡充させ、お客様にとって効率的かつ効果的な金融サービスの提供を実現することで、金融機関自身の企業体質の強化を図ることが求められています。IBMでは、外部システムを含むシステム間連携を可能にするソリューションの開発・推進への取り組みの一つとして、金融機関の相互連携による新たな金融サー ビスの実践段階に向けて、実証実験を開始しています。
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企業間バリューチェーンを実現する「ビジネスECOシステム」
本来、「ECOシステム」は生物学において生態系を意味する言葉ですが、近年では企業間バリューチェーンを実現するビジネス形態を表す言葉としても用いられるようになりました。複数の企業同士がパートナーシップを組み、バリューチェーンを作り、それぞれの強みを生かせるような仕組みを「ビジネスECOシステム」と呼びます。これは業界を超えた新しいサービスを提供する多角的なネットワークの構築、リスクを軽減するための広範囲な協業や提携の促進に生かそうとするものです。
次世代金融システム SOA RER for FSS体系の推進とIBM金融SOAコミュニティーとの連携

図1 SOA RER for FSS
体系図
(391KB)日本IBMでは、金融機関における新商品・サービスの柔軟かつ迅速な開発および提供の促進に向け、これからの情報システムに求められる能力(実現手段)を整理し、その実現手段を、SOA(サービス指向アーキテクチャー)に基づくソリューション群「Rapid Enterprise Renovation for Financial Services Systems(以下、SOA RER for FSS)」として体系化しています。SOA RER for FSSには「サービスの連携/提供」という機能があり、これは提携企業、グループ企業や代理店などの外部システムを含めたシステム間連携を可能にするものです(図1)。今回の実証実験(名称「ビジネスECOシステム実証実験」)は、技術検証とともに、金融機関の皆様が安心して利用できること、今後の方向性を見出すことを目的としています。この実証実験システムは、次世代金融システムについて研究・事例紹介・情報交換を行うコミュニティーとして、昨年5月に設立した「IBM金融SOAコミュニティー」の分科会の一つである「金融サービス連携検討分科会」によって検証されていきます。
目指すはお客様の利便性向上
「サービスの連携/提供」の機能実証として、今回検証の対象となる業務は、複数の金融機関での処理が必要となるものであり、お客様視点に立ち金融機関の連携で解決していくべきものを挙げています。具体的には、本人実在確認、住所変更、情報発信、商品購入・旅行保険、投資相談・貯蓄商品提案といったお客様向けのサービスになります。 例えば住所変更の業務では、ある金融機関が住所変更を行うことで、お客様の意思に基づき、他の金融機関においても瞬時に変更が反映されるようにします。これにより、お客様は一つの金融機関に依頼するだけで変更手続きを済ませることができ、利便性が大幅に向上します。また、複数の金融機関が関連する事務処理を進める場合、各金融機関がお互いの処理状況の進捗を共有可能にすることで、円滑な処理とお客様への的確な対応ができるようになります。
SOAの活用により、業務拡張や企業間での連携が容易に

図2 実証実験のシステム
全体図
(458KB)ビジネスECOシステムは、SOAを活用した基盤により構築しているため、サービス・メニューの追加や変更を柔軟かつ迅速に行うことができます。また、各社の社内実装の違いを意識することなく、共通サービスを持ち合う仕組みを提供しています。これにより、共通のインターフェースを介してサービスを利用できるため各社との連携が容易になり、複数のサービスを組み合わせることも容易となっています(図2)。設計においては、SWIFTが活用しているISO20022を参照しています。これは標準化の動きを踏まえながら、業務の拡張を可能にするためです。また、セキュリティー対応においては、パフォーマンスを考慮したうえでSSL/WS-Securityを組み込んでいます。
IBMの上海のグローバル・デリバリー・センターとインドのクラウド・センターを活用
ビジネスECOシステムはIBMで設計したものをIBMのグローバル・デリバリー・センターの一つである中国・上海で開発し、インドのIBMクラウド・コンピューティング・センターで稼働させています。クラウド・コンピューティングは、CPU、ストレージなどのコンピューター資源やアプリケーションをユーザーの要求に応じて提供する“クラウド”から、いつでもどこでも、どんな機器でも、サービスを利用することができる次世代のコンピューティング・モデルであり、現在、大きな注目を集めています。クラウド・コンピューティング・センター側にはハードウェアやソフトウェアの各種リソースが用意してあり、ユーザーは必要な時に、必要な容量だけのリソースを組み合わせたアプリケーション環境を利用できます。今回、このセンターの設備を利用し、将来のシステム構築、システム運用における検証を行っています。
IBMは地球がより賢く進化していくことを示す「A Smarter Planet」というビジョンの下、スマートな社会の実現を目指しています。今回の実証実験は、各金融機関の相互連携による革新的な次世代金融サービスを検証するものであり、金融業界におけるスマートな社会への一つの提案を示すものとなります。
ご参考情報 2009年5月18日付プレスリリース
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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