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2015年の銀行サービスに向けて

より少ない労力で、より多くの成果を

掲載月:2006年3月

ソリューション概要

欧米に拠点を置く「IBMビジネス・バリュー研究所」では、IBCSコンサルタントによる調査・提言の発信を続けていますが、このたび「2015年の銀行サービス」に向けた考察と提言「The paradox of Banking 2015, Achieving more by doingless*1」を発表しました。ここにその抜粋をご紹介いたします。

銀行業界の5大動向

業界動向図
popup業界動向図

IBMビジネス・バリュー研究所は、市場調査と業界の経営層へのインタビューを通じて、リテール・バンキング業界に影響を与えると考えられる5つの主要な業界動向をとらえました[図]。

顧客がゲームのルールを見直す
金融機関を利用する顧客の人口動態や、考え方、行動の変化が顕著になると同時に、あらゆる情報がWebなどから自在に入手できることで、顧客側はこれまで以上に、自分のニーズへの対応力や透明性を銀行に強く求めるようになっています。
2015年には、情報武装し眼力を身につけた顧客が、さらなる顧客重視の姿勢を銀行に求め、自らが主導権を握ることを求めて、ゲームのルールを見直すようになっているでしょう。
多様性と個人主義が購買行動に浸透し、顧客は基本的な商品には低い価格を求める一方、自分にとって個人的に大事な商品やサービスには高い価格でも支払うようになります。
多岐にわたる顧客の要求や行動パターンを迅速に感知し、競合先に比べて明確に優れている価値を提供すべく、商品とサービスの品揃えと個人ニーズへの対応を充実させることが不可欠ですが、銀行が真に顧客重視の姿勢を確立するには、顧客情報を利用して、生活やライフスタイルのニーズを満たすバンキング・ソリューションを予測し、先手を打って提案する必要があります。

ユニバーサル・バンクと、対象を極端に絞り込んだニッチ・プレーヤーが繁栄する
2015年には、大手プレーヤーが他を圧したスケール・メリットを活かして累積利益を増やしていく一方で、業種特化型銀行やノンバンク各社も急増し、コストやサービス・レベルで新たなスタンダードを打ち立てると予想されます。
一連の大手銀行の買収展開後、地方銀行同士の統合の検討や地方銀行が外資を導入して強力なグローバル・プレーヤーへの転身を図るようにな るでしょう。
このような金融機関は、業務機能、利用しやすさ、リスク管理、資金管理の面で優れており、大手プレーヤーが現在享受しているスケールと効率のメリットを、少なくとも部分的にはカバーします。

営業要員の構成変化が新しいアプローチを決定づける
営業要員が高齢化し機動性と多様性を高めつつあることで、管理の複雑性が高まり、報酬と業績の評価に対して柔軟なアプローチが求められるようになります。この課題には、2つの面があります。

  1. 卓越したノウハウを社内に残して戦略的な業務を推進する。
  2. 社外との提携における人材面を効果的に管理する。

高齢化など人口統計上の傾向も、銀行が人材不足の解消策を大きく変える要因となります。人数が減り多様性を増した環境で従業員を管理するには、生産性と有効性の最適化を目指す中で、新たなスキルと業績評価制度の見直しが必要になります。

規制負担が激化する
プライバシー、セキュリティー、提携リスク、業務リスクなど銀行がコンプライアンスに関する課題に対処するにあたり、プロアクティブで全行的なアプローチを採用することが必要になります。
透明性を求める市場の声や、規制当局からの監督圧力も高まります。銀行は態勢を整え、コンプライアンスのための投資を全行で活用し、その同じ資産を利用して、事業の効率性と有効性の管理に役立てる必要があります。

テクノロジーの発展により、従来考えられなかった価値が実現する
テクノロジーの発達により、銀行は旧来型の業務モデルとインフラに、過去に例がないほどの機能性を注入できるようになります。
グリッド・コンピューティング、SOA、データやストレージの仮想化、高度な予測ロジックを備えた情報処理などの最新テクノロジーにより、自社内システムに関する固定観念は消え、提携モデルが発展して特化型企業が繁栄していきます。
コンピューターの処理能力の向上、SOA、ビジネス環境全般にわたる共通ソリューションの登場により、ソフトウェア開発期間が短縮して、変化するビジネス・ニーズに対応できるようになる一方で、ブロードバンドやワイヤレス化といったグローバルなテクノロジーの進歩が、業種特化を促進する市場環境を生み出し、支えるようになります。
グリッド・コンピューティングなどの先端テクノロジーにより、銀行は既存の情報資源をフル活用して、リアルタイム分析へのニーズに対応可能となるでしょう。セキュリティーとビジネス継続性に対する脅威は増しますが、最新テクノロジーによって、個人を保護するセキュリティーや認証方法は、より優れたものとなります。
セキュリティーのしっかりした、レジリエンス(回復力)に優れたインフラを実現できるため、銀行は、内部の不正行為や悪意のある攻撃など、セキュリティーに対する脅威や脆弱性を防御できるようになります。
オートノミック・コンピューティングをさらに活用すれば、基礎となるインフラのレジリエンス、柔軟性、効率を一層高めることができます。

優位に立つ顧客、変化し続ける市場環境、台頭する競争相手といった脅威に対抗するために、銀行に求められているのは「変化への即応性」の大いなる強化です。
自行にとって「非中核」と考えられる業務はその業務に特化した外部のサービス・プロバイダーに委託し、自行の優位性を確保するための重要なビジネス機能に注力・専念する「特化型企業」に自らを変えていくためには、新たなビジネス・モデルが必要です。

2015年に競争優位を確保しているための4つの提言

2015年までに確固たる競争優位を確保して「変革」を実現し、期待どおりの効果を手にするために、IBMは下記の4つの重要課題に今すぐ着手されることを提言いたします。

提言1
中核分野に全力を注ぎ、それ以外の分野は提携で乗り切ることから始める必要があります。自行のビジネスをコンポーネント単位で把握し評価することで、自行の優位性を確保する戦略的なコンポーネント(ビジネス・モジュール)を選別・特定することができます。

提言2
「完全なる顧客中心型のビジネス」への変革に向けCRMの可能性を最大限に活用する必要があります。
顧客を的確に分析・理解し、顧客サービスの充実に絶えず努めることにより、最も収益性の高い顧客の特定や、適切な顧客との最適な関係 構築に全力を注ぐことができます。

提言3
リテール・バンクでは、効果的な業績評価を通じて、営業要員の潜在能力を活用する必要があります。
人事部門の管理者は、既存の人材開発制度を抜本的に変更し、予想される業界動向を反映しやすくし、効果的なインセンティブ戦略と業績評価戦略を確立することが求められます。

提言4
テクノロジーが成功を左右することを認識する必要があります。
技術力を包括的に評価し、技術投資分野の優先順位を付け、非中核業務のアウトソーシング活用にむけた検討・判断が必要となります。
SOAによる柔軟な連携、オープン・スタンダード上でのアプリケーション構築による拡張性、コンピューターの高度な処理能力、グローバルな接続の強化などの基盤要素が、競争力実現の中心的な役割を果たします。

大いなるチャンスの到来

2015年には、「ターゲット顧客層に独自の価値ある提案を行えるユニバーサル・バンク」と、大量に市場に登場すると予測される「業種特化型銀行」や、ノンバンク各社との競合の中で、従来型の銀行は特化型企業にならざるを得ないものと考えられます。
逆に言えば、このことはリテール・バンクにとっては絶好のチャンス到来ともいえます。特に、顧客サービスの充実、競争相手のひしめく市場での優位性の確保、商品とサービスの競争力の強化手段として、商品、サービス、プロセスを革新させる大いなるチャンスです。
銀行業界のリーダーの皆様が自行の変革に今、取り組むことによって将来の優位性の確保が可能になるとIBMは考えます。
「より少ない労力で、より多くの成果を」という逆説は、この2015年に勝ち残る金融機関への施策としての大きな意味を持っています。

本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

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