掲載月:2007年3月
ソリューション概要
IBMは2003年よりニューヨーク・ウォールストリートにある14の大手証券会社と投資銀行のお客様に対し、先進テクノロジーの共同研究を行ってきました。収益確保に向けた市場競争の勝者となるため、迅速かつ正確な意思決定を行って投資ポートフォリオを最適化し、高度なリスク管理を実現するための基盤テクノロジーが求められたのです。
OAI(Optimized Analytic Infrastructure)は高速・大容量処理に最適化された分析用インフラストラクチャーで、これらの金融機関様向け要件に応えるために構成・開発されると同時に、IT資産の有効活用を促進するもので、以下を目的に設計されています。
- 高利益率と収益拡大の促進
- 当日中、ほぼリアルタイムの意思決定実現
- インフラストラクチャーの適応性の強化
- コストの削減、および分析インフラストラクチャー標準化の推進
ビジネスが現在直面しているチャレンジ
今日の金融市場で競争力を維持するためには、デリバティブ、仕組み債などの債券商品、リスク管理、プログラム・トレーディング、保険数理分析、ヘッジ分析、ポートフォリオ・リバランスなど、さまざまな商品や業務のポートフォリオについて、複雑な分析や計算をほぼリアルタイムで実行することが必要です。
ビジネスの観点では、より短いライフサイクルで複雑な金融商品の開発を進める必要があります。アプリケーションをグローバルに展開するためには、反復可能で一貫性のあるプロセスも必要です。これらにより、刻々と変化する顧客の要求を満たし、利益率の改善や収益拡大の追求が可能となります。
技術的な観点では、ビジネス要件の変化に迅速に対応できるダイナミックなITインフラストラクチャー、すなわち効率的に運用でき、データの増加や複雑化に対して拡張性のある分析インフラストラクチャーと、さまざまな計算の実行能力が必要です。
このインフラストラクチャーは、レイテンシーが少なく、極めて高速な処理が可能で、かつ標準化され、高い柔軟性を備えたものでなければなりません。
さらに、今日の課題である、データセンターのスペース・電力・冷却能力といった制約にも対処する必要があります。OAIは、これらの要件に応えるため、グリッドおよび高性能コンピューティング分野におけるIBMの長年の経験を活かし、金融機関のお客様に、アプリケーション・ワークロード・データ・システムの管理を統合してお届けします。
グリッドの利用拡大に伴う課題

図1 概要図
ここ数年、グリッドはさまざまな分野で活用され始めましたが、利用が進むにつれて、柔軟性・拡張性を確保しながらの新規ビジネス対応における課題も顕在化してきました[図1]。
グリッドは、一般に「大量・大規模の計算を多数のハードウェア上で分散・並行実行させ、高いスループットや資源利用効率向上を図る」方法として導入されてきましたが、多くは特定の部門(あるいは業務)への適用から始まりました。このような限定的な利用では、ワークロード管理を担うスケジューリング機能と、既存・新規のアプリケーションをグリッド上で適切に分散並行実行させるアルゴリズムやプログラムのデザインが特に重要な課題でした。しかし、用途や利用部門を広げていくには、企業インフラストラクチャーの管理方針や手法に、より一層適合する必要があります。一方、対象とする業務を、より広範なデータを扱うリアルタイム性の高いものに拡大するには、必要なデータに高速にアクセスできる仕組みも必要となります。刻々変化するデータの整合性への考慮や更新の検出なども重要です。また、アプリケーション開発では、プログラムのポーティングや開発・保守を効率良く行い、異種混合環境において適材適所のプラットフォーム上での実行を可能とする支援機能が求められます。
OAIの概要

図2 概要図
Application Web
Application Webは、IBMの研究所で開発されているアプリケーションのグリッド化を支援する技術で、開発環境と実行環境から成ります。開発環境では、反復可能で一貫性のある開発プロセスを実現する工夫がなされています。既存アプリケーションのグリッド化やテスト・デバッグ作業を支援し、業務を迅速に展開します。また、グリッド特有のプログラミングの詳細を隠蔽してプログラムの標準化を高め、業務に精通した開発者による開発の促進や保守性の向上を図ります。実行環境は、既存または新規に展開される種類の異なるグリッド・ミドルウェアや、フロントエンド側(例:Windows®)とバックエンド側(例:Linux®
on Intel®)の異種混在環境での業務稼働環境を提供するものです。これらにより、既存資産の活用や適材適所のプラットフォーム選択が容易となります。
ワークロード管理においては、Application Web実行環境と主要なISVグリッド製品との連携を通じて、グリッドの維持・拡大を支援します。
IBM GPFS™ (General Parallel File System)/キャッシュ技術
IBM GPFSは、AIX®用の並列高速ファイル・システムとして科学技術計算での長年の実績がありますが、近年は、マルチメディア・データなどの高速・大容量データ用ファイル・システムとして企業での利用が増加しています。これに伴い、たとえばLinuxサポートや複数サイトのGPFSの統合、ILM(Information Life Cycle Management)機能など、機能が大幅に拡張されています。WindowsやSolarisサポートの開発意向も表明されており、さまざまな分野での利用が見込まれています。また、特に低いレイテンシーが重要な業務においては、ISVソフトウェアのキャッシュ技術の活用も重要な構成要素となります。
IBM BladeCenter® / IBM Systems Director
ハードウェアやシステム管理においては、お客様から高いご支持をいただいているIBM BladeCenterやIBM Systems Directorファミリーの管理ソフトウェア群を中心に構成されます。
IBMは、アプリケーション・ワークロード・データ・システムの管理を統合する総合的ソリューションであるOAIのご提供を通じて、金融機関様の戦略実現をご支援いたします。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
IBM, IBMロゴ, BladeCenter, GPFSは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標。
Windowsは Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標。
Intelは Intel Corporationまたは子会社の米国およびその他の国における商標または登録商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
