掲載月:2007年3月
欧米に比べ取り組みが遅れていた富裕層向けサービスが、今、国内でも注目され始めています。今後迎える“団塊世代の退職”という社会背景に伴い、サービス活性化への動きは加速しつつあります。
富裕層向けサービスとは
一口に、「富裕層」といっても、その対象はいくつかの層に分類されます。ここでは、以下のような分類を前提とします。
- 超富裕層(HNW=High Net Worth)(金融資産5億円以上)
- マス・アフルーエント(金融資産1~5億円)
- 準富裕層:団塊世代の退職者等(金融資産数千万円規模)
欧州におけるいわゆる伝統的なプライベート・バンキングは上記1のHNWを対象としてきましたが、近年、顧客層を2のマス・アフルーエント層に広げる動きが本格化しつつあります。 国内においては、2007年より始まる団塊世代の退職増加等のニューマネーに対する金融機関の取り込みがフォーカスされており、上記2・3の市場規模が見過ごせない規模と認識されています。これら団塊の世代は、投資に関わる知識不足や、投資に関する相談ができる相手がいないことも考えられ、各サービス提供機関にとって、ニューマネー取り込みの非常に大きな機会となっています。
また、一般に、プライベート・バンキングの顧客層に対するサービスと比べ、2・3の、より「マス」に近い層に対するサービス・レベルは劣後してしまう傾向があります。その大きな要因は、運用資産規模そのものが小さい(収益性の問題)ためですが、一方で、対象となる顧客数が増えることによって、人的リソース(たとえば、優秀なファンド・マネージャーの数)や情報基盤の整備が追いつかない(顧客数が増えることで顧客メンテナンス・レベルが低下する)ことにも一因があるものと考えます。
このため、これらの顧客を戦略的に攻めていく場合、業務全体の収益性・効率性を考慮したモデルの構築、ITの適用の検討が必要となってきます。
富裕層ビジネスのコンポーネント
富裕層向けのサービスを構成するコンポーネントとしては、以下 の3つが挙げられます。
- 顧客マネジメント
- 商品・サービス
- バック・オフィス(ポートフォリオ・マネジメント)
より「マス」に近い層に対して、より高いレベルのサービスを提供しようとした場合、これら3つのコンポーネントを有機的に結合する情報基盤の整備が有効です。そうすることで、セールス(顧客管理)とプロダクト・チーム、およびポートフォリオ・マネジメントとの協業が可能となるからです。
また収益性の観点からは、より高い利鞘を確保するためには、商品・サービスを外部から調達することが有効とされています。以上から考えた富裕層取引のモデルについて、SMAを例に考察してみます。
IT基盤整備の必要性と効果

図1 概要図
より「マス」に近い層に金融資産管理サービスを提供するにあたって、証券会社等のサービス提供機関(スポンサー)は、内部の専門家では足りないスキルやサービスを外部から調達し、総合的な商品・サービスの提供に結び付けられる基盤を整備することが有効であると考えます[図1]。
提案力の向上、モニタリングの実現
顧客との接点となるリレーションシップ・マネージャー([図1]内、FA/IC)に対しては、スポンサーが提供するプランに関わる顧客の資産状況について、継続的なモニタリングを可能とする情報を提供します。
外部リソース、ナレッジ、商品の活用によるサービス・レベル、収益性の向上
スポンサーは、より高い商品提供力をつけるために、運用の専門家である運用会社と連携し、顧客のポートフォリオ情報を共有しつつ、運用判断を外部専門家に任せ、個々のポートフォリオのメンテナンスに関するアドバイスを受けることを可能とします。
顧客満足度の向上
顧客に対しても、自身の資産を管理/モニタリングできるような環境を提供します。
富裕層取引向けソリューションOdyssey社のご紹介

図2 概要図
日本IBMでは国内における富裕層向け取引をご支援するべく、プライベート・バンキングの本場スイスを本拠地とするOdyssey Financial Technologies社のソリューションを提供しています[図2]。
同社は、世界24ヵ国125社以上で実績を持ち、HNW層に提供してきたサービスをアフルーエント層に拡大して実績を上げてきています。
Odysseyソリューションの特徴は、顧客リレーション管理とポートフォリオ管理のコンポーネントを統合して提供し、助言/一任取引等複数のビジネス・モデルをサポートする情報基盤を提供します。
Odysseyの特徴
1.サブ・ポートフォリオ単位での管理が可能
- サブ・ポートフォリオ単位での収益率評価、リバランシングが可能
- 同時に、顧客資産全体のモニタリングを容易に実現
2.オート・リバランスの実現
- 一任勘定取引における、オート・リバランスを実現する等、リバランス業務を効率化
- 優秀なファンド・マネージャーが、より多くのポートフォリオを管理可能
3.CRMとポートフォリオ管理の融合
- 高度な顧客/ポートフォリオのモニタリング/アラート発信の機能を統合して提供
- リレーションシップ・マネージャーとポートフォリオ・マネージャーとの情報共有
- タスク管理、コンタクト管理情報の活用
4.既存システムとの統合基盤
- Odysseyでは、既存システムとの統合基盤として、IBM WebSphere® TX(transformation extender)を採用。Odyssey Gatewayとして提供
5.レポーティング機能も一体化して提供
IBMは、Odyssey導入により、プライベート・バンキング、SMA等のビジネス・モデルに対応できるシステムの整備をご支援します。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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